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本気のデタラメさ

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結月です。

さて、ジェネオケ公演も日々、近づいていて、とにかく目まぐるしく忙しいのである。いや、忙しいのはずっと前からだけど、日が近づくから精神的にも切羽詰まって割増でそう感じる。

「公演とは雑務である」

というのが本当のところで、音楽の仕事をやっているのに公演主催者は雑務ばかり。事務仕事やら、お金の計算やら、連絡やらで音楽とはかけ離れたところにいる。主催をやると音楽を感じられるのはリハーサルのときだけ。本番はまた雑務。誰よりも先にホールに行き、ホールの事務所で使用許可の書類を出して、当日窓口を設置したり、プログラムを運んで並べたり、その他諸々「あれ、どうしますか?」という質問を浴びに浴び、それに答えて音楽どころでない。公演が始まると客席にはいるが、無事に終えることだけを願い、心にゆとりもない。

とまあ、そんなわけで連日忙しい上に、考えなければならないこと、決断しなければならないことが度重なり、まるで積乱雲の中を飛び続けているようなものなのである。

と、一日一日が過ぎ、今日はジェネオケテーマソングをやっとジェネオケYouTubeチャンネルにアップロードすることができた。

それを案内する動画もアップしたのだが、これにテロップをつけるのが思いのほか大変で、iMovieでやろうと思ったらiMovieではテロップに融通が利かなさすぎてどうも駄目だということが判明。急遽、Final Cut Proをダウンロードし、とりあえずテロップのお使い方を特急で習得し、夜中の12時にやり始めたらわずか7分の動画にテロップをつけ終わるのに5時間半かかるというハーデストジョブであった。

テロップをつけるのは大変だとは知ってはいたが、本当に大変で、途中から要領を得てスピードアップはしたものの大変。

しかし、こういう動画の編集作業はやるとおもしろいので、中途半端に中断する気にもなれず、一気にやってしまう。

というわけで、動画はアップできたが、他のメディアに投稿するまではいかず、明日に持ち越し。

そんな作業をしつつ、いつもの動物病院で秋の健康診断がなされていて、今月末までである。キャンペーン期間だから毎年安くなるし、半年に一度は愛猫を診てもらっている。

公演で頭がいっぱいでキャペーンがまもなく終わることに気づくのが遅れ、動物病院に電話する。

すると、今は誰も待っている人はいません、という奇跡のようなことが起きており、一緒にいた愛娘を急かして猫たちをキャリーバッグに入れてダッシュでクルマを走らせる。

ひどい時は2時間待たされることがあるのに誰もいないチャンスを逃すわけにはいかない。

と、動画をアップし終えたと思ったら、今度は猫の病院というタスク。30分ほどで終わり、次は愛娘を連れて宇都宮まで夕飯を食べに。

公演と育児、さらに猫が同時進行でこなされる多忙ぶり。

というわけで、素敵すぎるジェネオケのテーマソングPVの紹介は明日改めて。ちゃんと紹介するには、ちょっとこの目まぐるしい脳みそ状態は落ち着いてできなさそうだから。

と、そんな状態でここで吐露するのは、こうして書き連ねていると気が紛れるからであり、こうして書くことは精神安定のためであったりする。あとは書いているとアイデアが出てきたり、漠然とした状態で頭の中に漂っていたガス状の思考が少しずつ惑星になるように固形になってくる。

さて、今日買った本はなかなかおもしろい。それは、

『成熟スイッチ』(林真理子著)

まだ読み始めたばかりで全部読んでいないけれど、年齢を重ねての変化が綴られていて、昔はわからなかったことが年を取ってわかるようになる話が書かれている。

林真理子は断然わたしより年上であるけれど、オマセなわたしはもうそのことに気付いているのである。だからすごく共感できる。

そう言えば今日、忙しいながら15年ぶりくらいに映画学校時代にお世話になった映画人に電話した。

今村昌平監督の助監督を務めていた人だが、単純豪快という男で、久しぶりに話しても「相変わらず」でおもしろかった。

言っていることは雑でデタラメ(本人はそう思ってない)なのだけれど、映画をやる人はいわばアホすぎておもしろい。これは映画人の特徴であり、映画のことが好きで好きで映画脳だから何にしても話がドラマ的展開(人のこと言えない)なのである。そして、やたらと熱い。特に今村組だからそうである。いや、黒澤組もやたらと熱い。

映画から離れたわたしであるけれど、そんな映画人と話すと盛り上がるわけで、映画的情熱によるデタラメは楽しいのである。

そんな映画人も74歳になったらしい。そりゃそうだ。毎日映画学校で過ごしたのは20年前。企画が違うのになぜか韓国のソウルでも一緒になった。わたしの脚本が日韓合作で映画化の話があり、同時に向こうも別の企画で日韓合作で映画化を進めていた。まったく別の企画なのにソウルの高級鍋店で韓国映画の重鎮と鍋を突いていた。

そんな単純豪快な映画人は酒タバコはやめ、趣味で畑を耕し、ゴルフに出かけ、自宅屋上に設置したゴルフ打ちっぱなしネットに1日200打はショットを打つという。

それは長寿の時代に自分がまだ死なないことを知り、しかし筋肉が衰えて動けなくなると誰も面倒を見てくれないことの防止のためだという。

その可能性には昔は気づかなかったが、70を超え気づいたとのこと。

わたしはすでにこの可能性に気づいていて、だから自分の死を一日一度は考えるのであるが、筋力の衰えがいかにヤバいかは栃木のクルマ生活によることで知り、エアロバイクを購入した理由である。

さらにその前には山登りをやってみて、いかに自分の肉体がクソであるかを痛恨に知った。忘れもしない結美堂山ガール部の本格的な初遠征、奥日光の社山。わずかに登っただけで絶望的なほどに息が上がり、胸は苦しいは脚は痛いはで、登り始めたばかりでギブアップ。これほどまでに自分の肉体が駄目駄目であったとは情けないというより、致命的であった。

自分の肉体のヤバさを知ったのはそれからだが、栃木に来て「趣味・病院」になり、肉体管理をしないと年を取ったときの人生的危機を知ったのである。

とまあ、一日一度は自分がいかに死ぬかを考えるわたしはすでに肉体の重要さに気づいている。

精神の老化、劣化も怖いが、肉体の老化、劣化のほうがもっと危険である。そもそも精神が老化するのは肉体が思い通りにならないからでもあり、それは連動している。肉体が不健康で精神が健康であるのは無理であり、精神を健康に保ちたいのであれば、肉体を健康にすること。

さて、肉体の重要さに気づいた74歳の映画人は、20年前と変わらずのトークで、あのバイタリティは話すだけでこちらも元気になるという魔法がある。

いい加減なことを話しているのにそれが本気なものだからおもしろい。

まともなことを話していても本気でない話よりもデタラメだけど本気の話のほうが人間を幸せにするのである。

そんなアホすぎる話(本人は真面目で本気)の続きをするために、公演が終われば久しぶりに会うことにした。

しかし、もう20年か…

次の20年もきっとすぐに終わってしまう。

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