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めっちゃ趣味の悪いTシャツ、買うてもうたデ

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結月でございます。

わたし、女のひとに着物を着せたり、着物をコーディネートするのは大好きなんだけど、自分が着る服には一切興味がなくて、服を買うことは苦痛。試着室に入るのも嫌だし、服を選ぶことが嫌。

だから、いい加減な服しか持ってないし、そもそも服を買わないものだから耐用年数を超えても着てる。

エンゲル係数はは消費支出の中で食費が占める割合のことをいうけれど、消費支出の中で服に使う割合の係数があるとするなら、わたしはダントツに低い。下手すれば3年間でゼロ支出、5年間でも1万円未満かもしれない。

そんなわたしが昨年、宇都宮のセレクトショップで買ってしまったアメリカ海軍仕様のジャケットは、自分のキャラ的にはあり得ないもので、でもハメを外すのが好きな性格のせいか、変なものだったら着たいと思うひねくれ根性の結果だった。

とはいえ、それはアメリカのちゃんとしたブランドらしく、変なものというと怒られる。

と、それを買ったときからセレクトショップの店員の兄ちゃんと仲良くなってしまった人たらしのわたし。

その店があるショッピングモールには最低でも2週に一度は行くのは、愛娘のバイオリンレッスンの帰りに必ず立ち寄り、リンガーハットのちゃんぽんを食べたり、サーティーワンのアイスを食べさせたりするからでお約束になっている。

そして、いつもセレクトショップには冷やかしに訪れていて、うちの4歳児は店員の兄ちゃんに営業妨害並みに懐いている。

と、そんなわけで冷やかしばかりじゃちょっとと思い、店を眺めていると猫柄のシャツがあって、愛猫家のわたしはそれが半額になっていたから買った。とりわけほしいわけでなかったけれど、何か買ってあげなくちゃね。

で、またそのセレクトショップへ行くと、というか愛娘が勝手に走って店の中に入り、店員の兄ちゃんのところに体当たりして遊んでいる。わたしは4歳児は店員の兄ちゃんに任せ、店を徘徊していると、

「ギョギョッ!趣味悪っ!このTシャツ!」

と、おそろしく趣味の悪いTシャツを発見し、それらは積み上げられ、2点買うと1点当たり1000円とある。

その趣味の悪さは、前も後ろも全面に龍が描かれていて、鱗は金色。まるでタトゥーでない古典的日本の刺青を柄にしたようなもので、ヤクザ柄。

他の店員がやってきて、

「どうっすか?」

と訊くので、

「これ、とんでもなく趣味悪いねー!めちゃめちゃ趣味悪いわー!」

と、わたし。

「でもどうせ着るならここまで趣味が悪いほうがいいのかもしれん」

と、買うつもりになっているわたし。

買うとなると色や柄を吟味してしまって、悩む。一枚はすぐに決まって、もう一枚をどれにするか。2点買わないと安くならない。

そこで龍だけでなく、そこに鯨が描かれた意味不明な柄に決定。

レジに並ぶと、愛娘と遊んでいた店員の兄ちゃんが、

「これ、買うんスか!!」

と、驚く。

まあね、ひと目見てキャラが違うもんね。そりゃ驚く。だってわたしのいつもの服装は本当に「無関心」などうでもよさだから。

それに一枚1000円だから買った。もし5000円だったら買わない。

さて、この強烈なまでに趣味が悪いTシャツ。まるでテキ屋が着てるか、あとはオフのときのチンピラ。

しかし、背中にまで全面の龍。ここまで派手な龍だと金運も上がりそう。

まあ、わたしは龍神系だからね。これはホント。だから、行事になると雨ばかり降るのは龍神系だからなんよ。性格も典型的にそうだし。龍は自然霊でもちろん物質的には実在しないよ。

あとは自然霊では天狗系とか狐系とかあるね。わたしは天狗が駄目でね。嫌なの。高尾山って結美堂山ガール部で知らずに登って、気持ち悪くて嫌な山だなって思ってたら天狗の山だった。通りでと思った。あんな山、二度と行かん。

もし天狗のTシャツだったら拒絶してたけど、龍には抵抗ないわけ。龍神系だから。

と、そんな金運アップのTシャツ。あまりに趣味が悪くて、でもアンビバレントに目立つのが好きなわたしには好アイテム。

それを栃木で着る気にはならない。だって人がいないもん。それに田舎者に見せたって意味ないし。

というわけで、レッスンで東京に行くときのアイテムにすることにする。

しかし、Tシャツだけはえげつなくて、それ以外はいつも通りヨレヨレのダラダラであり、完成度がまるでないのがわたしらしさ。

ファッションとして完成度を目指すなら、それにジーンズを合わせたり云々というのがあろうけど、そうなるとね、わたしの価値観としてはダサいわけ。なぜなら、それってそのTシャツのブランドのモデルが広告で着てるみたいなものになるじゃん? するとそれはありふれたものになるんだよ。定型ってやつ。

ありふれたものになると、この趣味が悪すぎるインパクトが薄れる。だから完成されたファッションであってはならず、

「なんでこの人、こんな格好してるんやろ?」

と、思われるところが狙い目。

しかも、わたしに似合ってない。そこがおもしろいわけで、いくら龍神系と言ってもTシャツが趣味悪すぎて、日頃、京友禅など美意識の上質な仕事をしている雰囲気とはまるで合わない。だからおもしろい。

ところで、そのセレクトショップにはこれまた趣味の悪いスカジャンが売られていて、とどのつまりこの店には趣味の悪い系がセレクトされているわけだが、わたしは昔からスカジャンがほしい。

ほしいと言いながら、まだ買ったことがないのはそれだけわたしが服に興味がないからで、冬はオーソドックスなコートを着てしまう。

ちなみにそのコートはおそらくは22年間くらい着ていて、さすがに袖がほつれてボロボロで、1930年代のアメリカ大恐慌の失業者みたいになっていた。それでもあまり気にしてなくて着続けていたのだけれど、だんだん袖が削られていくようで、これは直したほうがさらに長く着られると思い、今年直しに出した。

それもセレクトショップがある宇都宮のショッピングモールに直すところがあったからで、5000円ほど払うと見事なまでにきれいになってコートの寿命はさらに伸びた。

というわけで、そのコートもあるし、アメリカ海軍仕様もあるし、冬は殊更困らない。となると、やっぱりスカジャンは要らないと思いつつ、もしかして今年の冬にその店で買ってしまったりして。買うとしたら色はピンクがいいと思っている。

と、アメリカ海軍仕様が28000円ほど、そして猫柄シャツが1500円、さらに龍のTシャツが二枚で2000円。

3年間、服にかけた金はゼロ円。5年でも1万円未満のわたしにしてみれば、驚異的な出費である。しかも全部趣味が悪い。

でも、趣味が悪くないとおもしろくないし、

「なんですか、その服!?」

と、思わず尋ねたくなるものでないと話題にもならない。

着物は美意識で着てるけど、龍のTシャツはネタで着る。

個性ってそういうものだと思うんだよね。

ファッションとして整ってはいても、それが雑誌の読者モデルにありがちなものだとしたら、それは無個性ってことなんだよ。

どうせ着るなら、ハメを外さないと。

外さないなら、服に無関心ないい加減でいいと思うわたし。

と言いながら、Tシャツは買ってからそのまま下駄箱に置きっぱなしで、値札も取ってない。

それくらい自分の服には興味ないんだよね。

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