結月でございます。
思えば、モテ本っていうのを見かけないなってね。こうやったらモテるとか、モテるための鉄則30とか、異性を惹きつけるためのテクニックとか、そういうネタは少なくなっている気がする。
かく言うわたしも7、8年くらい前まではモテるテクの専門家で、メディアに書いていたりしていたけれど、今はそんなことしていない。
それはなんとなく世の中のニーズが変わってきたこともあるし、わたし自身もモテ術にあまり興味がなくなったりしていて、つまり自分が興味なくなっているということは世の中の動向と連動しているんだなと思う。
今はマッチングアプリなどでダイレクトに誰かと会うみたいな、つまり出会いが利便性となっていて、色気でどうこうするとかでなく、交渉的な感じがするよね。
まあそれでうまく行くのならそれでいいと思うし、ただ傾向としては文学的でないというか、ヒューマニズム的でないというか、出会いもメルカリでモノを買うみたいなニュアンス。
男女関係が長続きするかどうかは、その相性にもよる。だから相性さえ良ければ、どんな出会いの結果であれ、まあまあうまくいく。
しかし、人間的な色気をどう発揮するかを考えたことがない人間はなんだかおもしろくないなんてわたしは思うのだけれど、そもそも色気がある人間は男女共に少ないんだけどさ。
とはいえ、安っぽいモテテクをされるとあざとい感じがしすぎて、笑えるというか、気分は急下降ってことがある。
つまり、今は素の状態でいいってことかもしれない。
昭和の時代のテレビドラマや映画を垣間見ると、女優がなんとも色っぽくて、それはそれは頭がクラクラしそうな女の色香がムンムンで、
「ああ、人間臭くていいな」
って思う。
今は人間臭さがあまりなくて、サバサバとして、小綺麗なんだけど奥行きがないっていうかね、女優なんかも。
言ってみれば馬鹿さがない。人間的な馬鹿さ。みんな頭が中途半端に良くなりすぎて、頭で効率的に考えるから、色っぽさがないんだよなぁ。
そうそう、マッチングアプリって効率がいいんだよね。あとはアプリでないと出会うチャンスがないっていうのもあるけれど。
男女関係が深く長続きするには効率だけじゃ難しいと思う。やはり忘れられないような色気がないとね。
歳を取っても、あの時の色気が忘れられないからずっと付き合ってるとか。
しかし、色気っていうのは難しいね。出そうと思って出せるものじゃない。これは天性のものだから。
ダサくて、奥手な女は、いや男もだけど、色気を出そうとしてもこれは土台無理な話で、無理なものは無理だからねえ。
この間、井上尚弥のボクシングを見て興奮していたんだけど、ボクシングに来ている観客を見るとおもしろいよ。
ボクシング観戦に来ている女って、すごく色っぽくて、極上で、ゴージャスな女が多いから。
あれはボクシングが好きな、ちょっとヤクザな男についてきているんだけど、そういうヤバさとか危なさに惹かれる女って色っぽいんだよね。だからヤクザのスケとかいい女が多いんだよ。
普通のサラリーマンと付き合っているような普通の女はやっぱり考え方も博打しないし、普通の域を出ないから見た目も普通だし、やってることも普通だし、どこから見ても普通なわけ。色気なんか出やしない。
性的な色気もそうだし、人間的な魅力というか色気っていうのは、ヤバさが漂わないとね。少々ヤバいことでもやれるデンジャラスさがあって人は初めて色気が出る。
だから、サラリーマン社長じゃなく、起業家とか、そういう人種は色気がある人が多いよ。だって、無難なことをしていちゃ、事業なんてやってられないからね。
人を惹きつけるのって修羅場だからね。修羅場が魅力的だからボクシング見ちゃうんだよ。
異性を探すのも修羅場に行く覚悟があれば色気が出るし、それに応じてテクニックにも興味が出てくる。
今はそんなことが見受けられないのは、修羅場を恐るからかな。いかに無難路線で行くかってことを考えているからかな。
そのせいか知らないけど、話してもおもしろい人ってなかなか出会えなくなった。日本企業が世界から周回遅れで、新しい挑戦をまるでしていなくて衰退しているのも日本人が無難になったからだと思うよ。
そう考えれば、色気がないってのもわかるし、モテるテクを云々なんていうのは流行らないって当然だよね。