結月でございます。
「信用は貯めるもの、お金は使うもの」
と、書きつけてみる。
きっと多くの人は「お金は貯めるもの」だと思っていて、信用を貯めるという意識はそれほどないかもしれない。
確かにお金は大事で、貯めておかないといざというとき困る。だから必要最低限はないといけないけれど、お金を貯めることを目的にしてしまうと、それを何に使うのかという観点が薄れてしまう。ただ漠然とした不安からお金を貯めようとする。
でも、実は貯めるべきは「信用」であり、信用の貯蓄があれば困難を乗り越えられたりする。
お金で解決できる事例は大変多くて、お金でやってしまったほうが早くて楽なケースも多い。そういう時は、お金で片付けたほうがいい。
アルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』という映画に、
「金で幸福を買うんじゃない。金で不幸を追っ払うんだ」
というセリフがあるけれど、その通りということも多々ある。
ただ、お金で解決できないこともある。どんだけ金があってもどうにもならないことがある。
そういう時は信用の貯蓄を使うことで危機を脱することができる。
「顔を利かせる」というのも一種の信用の行使とも言える。
お金はあっても信用がないと、それは守銭奴。
金は天下の回りものだから、出たり入ったりする。そういう性質だから貯め込むことはそんなに簡単ではない。貯め込んでも病気でもすればすぐに出て行ってしまう。
ところが信用は天下の回りものとは言わない。
お金は一攫千金を狙えるけれど、信用は日々のコツコツとした貯蓄であり、その人の行いである。
例えば、いつも時間が正確という人は、時間に関して信用の貯蓄が高いからいい加減な人でないという評価を得られる。
そんな貯蓄が貯まっていると、何かの拍子で遅刻しても許してもらえるし、事故でもあったのかと心配もしてもらえ、助かる確率も高くなる。
お金の信用もそうで、金払いが悪かったり、滞納が多いとお金の信用を失う。お金はこの物質界を成り立たせているものだから、お金の信用を失うとすごく困る。
しかし、時間もお金もこれは最低限のことで、信用とはもっと人間的なところにある。
挨拶とかそうだろうか。
挨拶とは「こんにちは」とか「おはよう」のことではない。それも大事なことだけれど、挨拶とはその相手に対しての好意であるかもしれない。
行為だけが先走るとストーカーになるから、行為にはその裏側に気遣いがなければならない。
相手を放ったらかしにするのではなく、気にかけておくこと。
その気持ちが物品になることもある。
あとは好意があるのだから、困っている時には手助けを惜しまないこと。思考以前に手助けの行為ができること。
そういうところをきっちりとやっておくと、信用が貯まってくる。
貯まった信用は積極的に使ってはいけない。どうにもならない時に使う。
せっかく貯まった信用を安く使うと、信用を大きく失ってしまう。
実は信用はお金よりも強い。お金がなくても信用があればなんとかなることがよくある。
そして、信用があれば、お金を得られることもある。
意識的に信用を貯めようとすると人間はあざとくなる。それでは信用は貯まらない。もっと自然に、意識より先にあるべきで、それは無償の愛に近いものかもしれない。恩義という側面もある。
ところであまりよろしくないのは、他人の信用を使うこと。虎の威を借る狐はまずい。
他人が貯蓄している信用を用いて、自分の益を得ると後々うまくいかなくなる。もちろん、使われたほうからも嫌われる。
しかし、ビジネスシーンでは他人の信用を使わなければならないことが多々ある。その時はそれを補填するくらいの信用を別の形で返しておく必要がある。これをしていればそれほど問題にはならない。
トラブルの多くは、他人の信用を使ってしまって、その補填をしないまま言い訳したり、スルーするところにある。
上下関係があると、上の立場の人だから使っていいだろうと油断してしまう。だから、その補填に気づかなかったりする。
信用を貯蓄するには、時には打算も必要になる時がある。
その行為そのものは無償の愛に近いものがベストだけれど、物質界では時間やお金が強く関わるので打算での判断を強いられる時もある。
そこでは少し無理をしてでも信用を得る行動のほうが後々にいい場合がある。
さて、一番いいのはお金もあって、信用もあること。両方の貯蓄が多いほどいい。
お金と信用は連動しているので、お金を得たいと思うなら、信用を得ろという言い方もできるかもしれない。
またお金はなくとも信用の貯蓄があれば、それほど不幸せでないケースもよくある。
お金は使うもの。物質を得るためだけでなく、信用を得るためにもお金は自分がいいようになるために使うのがいい。
そして、信用は貯めておくもの。信用の貯蓄が多いほど、愛されるから。愛されていると、困難が訪れてもその信用でなんとかなる。
お金が信用に循環するようなお金の使い方がいい。