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方程式を解く毎日

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結月です。

一日4時間クルマを運転しているので、運転中は宇宙物理の話をYouTubeでラジオ代わりにして聞いていたりする。

ブラックホールやダークマター、ビッグバンやビッグバン以前の話、超弦理論などだが、興味深くて大変おもしろい。

例えばこの宇宙で解明されている物質はわずか5%で、残りはダークマターとダークエネルギーでこれがどういうものなのかはわかっていない。しかし、計算上はダークマターとダークエネルギーがないとこの宇宙は成り立たないのであるから、あるにはある。でもそれが何なのかはわからない。

そんな宇宙物理は観測結果と数学的に矛盾のない方程式を導くものであるが、それは膨大な数式で物理学者たちはその謎解きをしている。

思えば、公演を成功させるにはどうすればいいか? ホールを満席にするにはどうすればいいか? 予防医療を啓蒙して人々を健康にするにはどうすればいいか? そんなことを日々考えていて、これは方程式を解くのと同じなのである。

考えてみた方程式に企画の予測結果という数値を代入してみる。しかし思うようにいかない。そもそもその予測が間違っているかもしれない。過去の経験に基づいたものも時代の変化で使い物にならないことも多々あるし、希望的観測は排除しなければならない。

それゆえに新しい企画を考えてみる。そして代入する。おおよその目処はついたりもするが、それも最終的にはやってみないとわからない。

まるで加速器を用いて素粒子実験を繰り返し、ヒッグス粒子を見つけるようなものなのである。

その企画ができるかどうか、実現させるにはいくらかかり、どれくらい時間がかかるかなどそれに関連する業者に電話して調べたり、会いに行ってみたりするのは観測に似ている。

音楽の仕事をしているはずなのに、音楽でないことばかりになるのはそのせいで、つまり音楽だけやっていても音楽の場を作ることはできない。

とまあ、そんな世界に生きている。

さて、予防医療を広めるために自分が病気のことを最低限のことを知っていないといけないので、医者が発信しているYouTubeなどはよく見る。

しかし、医者といってもYouTube的にしようと大袈裟なのもいるし、演出がウザいのも多いから情報は精査する。

今日は糖尿病のことを調べていた。おもしろいのはコメント欄で、病気系のコメント欄はあまり荒れることがない。

なぜなら、現段階で糖尿病で苦しんでいる人が現状を真摯に書き込むからで、強烈なリアリティである。あるいは親や親戚がどういう症状だったかなどもリアル。

中には動画で説明された糖尿病の症状に該当する人が、自分がこんな状態なのだが大丈夫でしょうか?なんてコメントを書き込んでいて、それがかなり重症だったりするので、

「病院、行けよ…」

と、呆れるのであるが、そういう人は病院に行かないからそこまでひどくなっている。

しかし、わたしも人のことが言えたものでなく、人間ドックに初めて行ったのはわずか3年前だし、それまではひどい生活習慣で病気を予防する意識はなかった。たまたま愛猫を抱いて畳の上で寝たらひどい寝違いをして整形外科に行ったら極度の高血圧が発覚してから、自分のヤバさを理解したきっかけがあったからだ。

ちなみにその猫の名は「ラッキー」。ラッキーは命の恩人というか、恩猫というか、その名の通り幸運をもたらしてくれた猫である。

あのとき寝違いをしていなければ、今頃生きていなかったかもしれない。脳出血で死んでいてもおかしくないし、死んでなくても体半分が付随なんてこともあり得た。事実、医者にもそう言われた。

それをきっかけに人間ドックへ行くようになったが、それでも今年の1月末に減量を始めるまでは生活習慣の悪さで体重は増えて、人生2番目の肥満になってしまっていたのは栃木に来て運動不足だったとか、公演で忙しかったとかはただの言い訳にすぎない。

であるからして、本格的に生活習慣病のヤバさを勉強し、予防医療の重要性を知ったのはわずか半年前からである。

しかし、この半年で生活習慣病の基礎的なことはほとんど理解はした。もちろん、医者のような専門知識や治療経験はないけれど、病気になるまでの仕組みは概ねわかった。

それゆえ、解を求める方程式も高度になってきて、今から思えば昨年までは足し算引き算程度だったのが今では√くらいは使えている。

何でもそうだが、自分が詳しくなると詳しいことが当たり前になる。だから、知らなかったときの感覚を忘れてしまう。

マニアの話のつまらなさは、マニアが自分の話がマニアックだと感じていないところにある。

つまり、メジャーな病気である糖尿病ですら、その仕組みやどういう生活を続ければ糖尿病になってしまうかを自分が理解した途端に普通はそれは知られていない事実を忘れる。

「そんなこと、知らなかった」

というのが一般的なもので、病気を理解すると当たり前なことが世間では当たり前でない知識なのである。

だから、少しずつでもいいから医者を呼んで講演会をするのは有意義で、例えばジェネオケのコンサートチケットを買ってくれた人は参加できるみたいなこともいいかもしれない。

そういったことで公演と予防医療がつながってくる。

とにかく自分が知ってしまうと知らない人の立場がわからなくなる。これはいけない。

病気の仕組みを知らないからこそ、糖尿病患者が予備軍を入れてこれだけの数になるわけで、わたしだって半年前はそちら側にいた人間なのである。

医者ではない素人だからこそわかってやれる立場にいるのだから、その啓蒙の試みはやったほうがよさそうである。こういうのは専門家になってしまった医者には無理なのである。

実はこんな話をするのも方程式を解いている行為で、こうして書き連ねているのは自分の思考のために他ならない。考え、思い描くだけではわかりにくいから書いてみるのがいい。

人に会ったときも「こんなこと、考えてる」なんて話をするのだが、それも話してみてどんな反応が返ってくるかでわかることがある。アンケートみたいなもので、自分がタコツボ化するのを防ぐようにしている。

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