結月でございます。
鼻詰まりのときに鼻の穴にシュッとする鼻炎スプレー、わたしはそれをいつもバッグに入れている。
アレルギーがあるものだから鼻炎を起こしやすく、鼻が痒くなったりしたときは鼻詰まりでなくともシュッとやる。すると痒さがなくなる。
さて、鼻詰まりは苦しく、両方の鼻の穴が完全に塞がってしまうと口で呼吸をしなければならないものだから特に寝ようとするときはそこそこの地獄である。
そんなとき鼻炎スプレーをシュッとやるとわずか数分足らずで鼻詰まりが嘘のように開通し、快適に息ができるようになる。
思い起こせば、子供の頃から鼻炎であったわたしは毎晩寝るときに鼻詰まりで苦しんでいて、あの時代に鼻炎スプレーがあればさぞかしよかっただろうと思う。
薬学の進歩はありがたいもので、人間は随分と過ごしやすくなっている。
さて、そんな鼻炎スプレーであるが、毎度のことながらどういう構造で鼻詰まりが短時間で解消されるのだろう?と不思議に思う。
鼻腔のどこかに何かが作用しているに違いないけれど、その原理を考えると文学部卒のわたしには謎なのである。
その効き目はまるで魔法のようである。普通の錠剤なら効果が出てくるまでに最低でも30分はかかると昔、同じ大学の薬学部の人に教えてもらったことがあるが、鼻炎スプレーはたったの数分。下手すると30秒ほどで効いてくる。
それに鼻水によって完全密閉されている鼻腔の中でスプレー噴射で薬はどこまで届くのだろうか? 鼻水で薬がブロックされないのだろうか?
それにしても鼻の中のスプレーがなぜあんなにも手強い鼻詰まりを魔法のようになくしてしまえるのだろうか?
不思議で不思議でたまらない。もちろん、これは薬学に詳しい人に訊いたり、ネットで調べるとわかることかもしれない。でも、謎は謎のままにしておいたほうが楽しいこともあるので、あえて調べないことにする。
「なんでだろう?」
という疑問は残しておいたほうがいい。それが色気になるし、なんでもGoogleだと容易に知識が得られてしまって感動がなくなるから。
あと、鼻炎と共に小さい頃からわたしを苦しめたのは喘息である。特に小学5年生のときから本格化し、毎晩、夜間の救急病院に行って気管支拡張剤を吸入していた。
実はそれ以前から予兆はあって、床に着くと必ず鼻詰まりに合わせてものすごい咳が出ていたのである。
そんなわたしに母はヴィックスヴェポラップを胸に塗っていた。
今から考えれば、激しいアレルギー症状の鼻詰まりと咳にヴィックスヴェポラップが効くわけがない。焼け石に水というより、骨折治療に赤チンを塗るようなものである。
それくらい当時は知識がなかったし、そういうものしかなかった。
ともかく、毎晩止まらない咳はやがて本格的な喘息になった。
その頃は発作を止めるには病院へ行って気管支拡張の霧を吸いに行くしかなかったわけで、一応発作止めの錠剤はあったが、まるで効かなかった。
しかし、その後、携帯できるような気管支拡張剤スプレーが開発された。親指ほどの大きさでそれを口に咥え、シュッとやって薬剤を肺の奥まで吸い込むとたった数秒で喘息の呼吸困難が収まり、気持ちよく気管支が開通する。
初めてこれをやったときは感動したというより、不思議で仕方がなく、死にそうなまでに苦しい喘息がシュッとやるだけでなくなってしまうのだから、これまた魔法のようだった。
この魔法の喘息スプレーはどこに行くときもバッグに入れてある。いつなんどき起こるかわからない喘息の発作が出ると極端な呼吸困難になるから手放せない。でも今はちょっと発作が出そうになったらシュッとすぐにやるから、かつてのような死にそうになるほど大きな発作になることがなく、このスプレーはわたしの人生の中でも最大の救世主なのである。
そんな喘息用スプレーも鼻炎スプレーと同様にその効果がテキメンすぎて不思議に思う。一体、どういう仕組みであの苦しい発作が消えてしまうのだろう?
さて、新型コロナワクチンしかり、薬学は人間を快適に導いている。騒ぎ出した頃のコロナは重症化したら肺炎になって死ぬと恐れられていたのにワクチンのおかげでそんな心配はしなくてもよくなった。
体にちょっと異変があるとすぐに病院へ行く「趣味・病院」になったわたしは薬を処方してもらうことで大事に至っていない。
薬の効果の原理。その謎。
ともかく、今の優れた薬は魔法のようである。