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やっぱりバイオリンは楽しい!

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結月でございます。

昨日はレッスンで生徒とパッヘルベルのカノンを一緒に弾いたけれど、こんな曲でもバイオリンを弾くと楽しいのである。

バイオリンは楽器だから弾けなきゃ楽しくない。しかし弾けるようになるまでが簡単ではない。だから根気が必要で、でも根気だけでも弾けるわけもなく、今の力で弾いて楽しめるものを増やしながら上達するしかない。

そうやって少しずつ、少しずつ弾けるようになっていく。

楽器というのは形から入ると上達しないもので、欲望で弾いたほうがいい。弾きたいという欲望。

女のひとに多い誤りとして、自分がバイオリンを弾いているルックスに憧れてしまうこと。そこを目標にすると上達しない。

ルックスへの憧れだと、まず練習の取り組み方も勘違いしたものになるからうまくならない。

漠然とした型にはまろうとするから音楽の理解が得られないし、憧れと比較して自分の音がひどいと嫌になってしまう。それに目標がルックスだと、音楽的な気持ち、つまりどんな音が出したいかという気持ちがないから練習も空回りする。

楽器を習い始めたのに思いのほか音楽を聴こうとしない人が多いのはそこに理由がある。

だから、バイオリンを弾けてる自分なんか求めないで、下手くそでもいいから音を出そうと思うことが大事。

そもそも下手くそのほうが音楽を楽しめる。

プロの連中なんて見てごらんよ。仕事のコンサートを弾き終えると、さっさと着替えて帰りやがるから。

プロというのは演奏が仕事だから、世間のバイトやサラリーマンのように仕事が終わると早く家に帰りたいのである。だって業務だから。

もちろん、演奏会によっては演奏者も大感動するしみじみとしたものもあれど、それは会社員が、

「今日はいい仕事したな!」

と、満足することが少ないのと同様なのである。

いや、それは言い過ぎか。音楽そのものが楽しいから、サラリーマンよりは精神的な充実の回数は多いか。

ともかく、下手くそのアマチュアのほうが楽器をやっている楽しさがある。

しかし、アマチュアはプロと違っているでも辞められる。上達しなければ辞められる。そうなる故に音楽の楽しさまで到達できず、それを体感できずに終わってしまう。

だから楽器はファッション感覚でやらぬほうがいい。洋服は金さえ出せば洒落たものは買えるが、自分が出す音は金で買えない。自分でいい音を出すしかないのだから。

あとは「うまくなんなきゃ」と思うと楽しくなくなる。これもよく見かける勘違い。

だって、

「一体、誰のためにうまくならなきゃいけねーんだよ!?」

でしょ。

学校の勉強や受験じゃあるまいし、うまくなんなきゃなんて思わなくてもいい。

ただ、音程がズレまくっていたら旋律に聞こえないし、リズムが悪すぎると他人とアンサンブルにならない。それじゃ楽しめないから、そういったところは合理的に練習するってだけで。

さて、レッスンで生徒と弾いていてもわたしは楽しいのだけれど、どうして楽しいのだろう?

多分、自分が弓の持ち方から、いやいや肩当ての付け方から教えた人が何か曲を弾けるようになって一緒に弾けるから。

でも、わたしも栃木にいて、もう昔のように店舗も持ってないから、コロナに関係なくそんなに生徒はこれから増えないだろうなってわかっていて、だからレッスンも銀座時代の名残りなんだろうけど、ずっと来てくれている人は付き合いも長くなって、お互い生き証人だよね。

一番古い生徒は銀座5丁目のときからだから、そうなるとざっと計算して17年目の付き合い?

これはすごい。いろんなことがあったよね。

社会的にはリーマンショックがあったり、東日本大震災があったり。震災直後は銀座の街も節電で真っ暗になっちゃって、そんな中、バイオリンケースを持ってレッスンに来てくれて、時々余震にビビりながらバイオリンを弾いたよね。

そして今はコロナ禍だね。

まあ、いろいろあるもんだよ。社会的にも、個人的にも。

バイオリンを介して、そういう長い付き合いがまだあるっていうのは素敵なことだと思う。そして月に何度か、バイオリンを一緒に弾いている。

家族なんかだと毎日ツラを合わせなくちゃいけなくて、これはウザいものだけれど、バイオリンは音楽が仲介してくれて、そして「たまに」程度だからいい。

ところでうちの4歳の愛娘は3歳の頃からバイオリンを習っている。もちろんまだ小さいからまだまだ弾けない。そうは言っても、少しずつ上達が垣間見れて、

「あれ?ちょっとボウイングがまともになってんじゃん…」

なんて思うことがある。

わたしとしては愛娘とバッハの「2つのバイオリンのための協奏曲」を一緒に弾ければわたしのバイオリン人生も大満足。感無量だよ。

それが達成できたらわたし自身はもうバイオリンは辞めちゃってもいいかなって思う。もちろんそれは何年も先のことだけれど。

でも、小学生になったうちの愛娘がバッハを弾けるようになったとして、その頃も生徒が来てくれていたら辞めるわけにはいかないね。もしそうなったら、とことんまでやろう。付き合い歴がさらに更新されて、30年とか40年になったらすごい。これ、まさしく人生だよ。

とはいえ、愛娘のほうはバッハが弾けるようになるまでちゃんとバイオリンを続けられるかはわからない。「バイオリンはもう興味ない!」って途中で辞めちゃうかもしれない。

そうするとわたしの将来的感無量はなくなってしまうけど、まあいいか。銀座の頃から来てくれている人がいるのだからもうすでに感無量だよ。

まだまだ楽しみは尽きないってことで。

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