結月でございます。
保育園が休みの土曜は、3歳の愛娘を連れて宇都宮にあるベルモールというショッピングモールに行くことが多い。
遊ぶところもあるし、ミスタードーナツもあるし、サーティーワンもあるから、アイスを食べたりできる。
そこであるジャケットが売られているのが目にとまり、それが気になって仕方がない。基本的にわたしは着物以外には服とかファッション的なものにはまるで興味がなく、自分で服を買ったこともほぼない。
着物という美的な、もっと限定して言えば、京友禅という美的なもので女のひとを綺麗にすることにかけては執念があって、だからこそ着物と言っても紬とか、ああいうものは自分の美的感性からは外れているので興味がない。
というわけで、他人に関しては着物以外に興味なく、自分のファッションにはすべてに興味がないわたしが、
「この服、ほしい!」
と思うことは隕石が地球に到達するくらいの確率なのである。
かなり昔、
「この服、ほしい!」
と思ったことがあって、それは池袋の西口でスカジャンを見たとき。そのあまりにも柄の悪いヤンキーファッションに感動してしまって、スカジャンがほしいと思った。でも、まだ買ってない。
と、そんなわけで、わたしが宇都宮で見て超絶ほしいと思っているものはこれ!
アヴィレックスのミリタリージャケット!
いろんなカラーがある中で、アタシがほしいのはこの色!
ネイビーだよねっ! そしてバックは、
赤もあるけどね。
TOP GUNとはトムクルーズの映画で有名になったけれど、アメリカ海軍の戦闘機パイロット学校で、その超エリート。だから、このジャケットの腕にはTOMCATと書かれていて、これはF-14戦闘機だよね。
アタシ、飛行機が大好きっ! やっぱさ、人間、空高く飛ばなきゃいかんよねっ!
旅客機に乗るのも楽しみだけれど、やはり飛行機の最高峰は戦闘機だよ。戦闘機に乗ってみたい!
戦闘機は乗るものであって、見るものじゃない。だから、ブルーインパルスの曲技飛行とかにはあまり興味がなくて、乗りたい。
さて、このジャケットを宇都宮の店で一目惚れして、いろいろ調べると、アヴィレックスというのはアメリカのミリタリーブランドとのこと。結構有名らしいけど、全然知らんやった。
そしてこのジャケットは、CWU-45P というアメリカ海軍に制式採用されたものをモデルにしたジャケットらしい。首のところにあるUSNは United States Navyで、アメリカ海軍。
と、アタシはアメリカ海軍が好きというわけでなく、戦闘機そのものが好きであって、戦闘機で言えば、アメリカ軍よりソ連空軍のミグが大好きなんだよ。ソ連の戦闘機って冷たい美しさがあるよ。
だから、もしソ連空軍のフライトジャケットが売っていたら、そっちを買う。でもないから、アメリカ軍でいいや。
でも、このアメリカンなテイストってわたしの真逆のものだから、そのアンビバレントがおもしろいと思ってる。
京友禅着てるひとがミリタリージャケットっておもしろいよね?
とは言え、わたしの血脈にないこのジャケット。これを着て、外に出るとなると、
「ドキドキ…」
と緊張しそうで、ビビってる。
「恥ずかしくて、知り合いに会えないよー!」
と思いつつ、これから駒込での着付けレッスンの際にはこのトップガンジャケットでやろうかな。
と、まだ買ってない。
宇都宮の店でこのカッコよすぎるジャケットを手にとっていると、店員がやってきて、
「どうですか〜 試着できますよ〜」
なんて言われてしまい、キャラが違いすぎることに小心になってしまい、
「大丈夫っす…」
と、3歳児の手を引いて売り場を離れてしまった。
ああ、なんてダメなアタシ!
でも、もしこのジャケットを着て、知り合いに会ったらなんて言われるだろう? きっと頭がおかしくなったと思われて、そのことには触れないスルーに違いない。
だって、背中にアメリカ合衆国の国旗が貼り付けられているしさ。仏教徒の坊主がイエス様の絵が描かれたシャツを着るようなものだよ。
ところでこの魅力的すぎるジャケットはお値段が3万円ほどでなかなか高い。と、何十万の着物を売っているくせに、キャラが違うものだと3万円でビビるわたし。
そもそも自分の服には金をかけず、常に最安値で済ませてきたから、服に3万円となると背徳感がある。
とは言え、宇都宮の店で店員が来るまで手にとってみると、さすが有名ブランドとあって生地も縫製もしっかりしていた。それにこれだと真冬でも暖かそう。
でも、これを着るとなると、やっぱ下はジーンズ? アタシ、ジーンズってほぼ穿いたことがない。これはアメリカ軍のジャケットを着るよりハードルが高い。ジーパン穿くくらいならパンツとTシャツで外出るほうが恥ずかしくない。
そう言えば、あの三島由紀夫が美輪明宏に相談したことがあったらしい。
「俺、ジーンズ、はいてみたいんだ…」
って。
すると、美輪さんは、
「ジーンズなんか上野のアメ横行ったら売ってるわよ」
って。すると三島は、
「怖いから一緒について来てくれないか…」
と言ったらしい。
わかる!わかるその気持ち!
三島由紀夫って元大蔵官僚だったくらいの家柄だったから、彼にとってジーンズを穿くなんて勘当ものだったんだよね。
と、わたしにとってミリタリーファッションはその感覚に近い。京友禅売ってて、ミリタリージャケットなんて、京友禅を語るに説得力が台無し!?
と言いながらも、やっぱり飛行機、特に戦闘機は好きだし、戦闘機に乗れないくせにTOP GUNという文字には憧れるし、これを着たらお得意のアンビバレントも主張できる。でも、ジーパンだけはNG。正直、穿きたくない。ジャケットは着たいけど、ジーパンは穿きたいものじゃない。
さて、自己破壊ともいえるこのジャケットの購入に戸惑っているわたし。誰か、一緒にこのジャケットを着てくれる人、いないかな?
うちの生徒の誰かに頼むか?
そんなことを考えつつ、わたしにはこのジャケットが似合わないのはわかってる。そもそも体型もルックスもアメリカンから程遠い。
ジーパンも脚が短すぎて似合わないどころか、笑える。
でも、このTOPGUNジャケットは似合わなくてもいいと思ってる。着たいから。
と、スカジャンも同じような状態でほしいと思ってからかなりの年月が経っているのにまだ買ってない。
しかしアメリカ合衆国の国旗がある服なんて、アタシ史上初だから、やっぱ人間、新しいことやんなきゃいけないって思ってる。
だってさ、これ、誰しもだけど、普段着ている服って、みんなそれぞれにたくさん持っているだろうけど、どれも同じようなものばかりだよね。だから、この人はこんなタイプってわかる。
そう。人は服の数はたくさんあれど、自分のキャラだと思う同じようなものばかり買ってる。
そのマンネリを破壊するには、このミリタリージャケットというわけで。
でもさ、このジャケット着て、髪を金髪にして、ポニーテールにしたら、完全に田舎のヤンキーだよね。そして車はミニバンとか。
ブハッ!笑える!