結月です。
わたしは自分で全然似合ってないと思っているジャケットを昨年から着ていて、それはアメリカ製のアメリカ海軍戦闘機兵器学校、すなわち「トップガン」のジャケットなのである。
トップガンは戦闘機パイロットの超エリート養成。
そんなジャケットの背中にはデカデカとTOP GUNと書かれ、さらに合衆国の国旗。そして右腕にはTOMCAT、すなわちF−14戦闘機の愛称。
F-14は艦上戦闘機であって、つまり航空母艦から発着する。だから空軍ではなく、海軍、つまりUSN(United States Navy)なのである。
と、そんな話をしつつも、わたしはミリタリーマニアではなく、全然詳しくない。ミリタリーが好きなのではなく、飛行機が大好きなのである。
飛行機は速くて、空高く飛んで気持ちがいい。だから旅客機だって楽しい。
しかし、飛行機の中で戦闘機が最も速く、飛行機としては最高レベルのもの。だから、戦闘機が好き。戦闘機のフォルムは無駄がなくて美しい。とにかく速く飛ぶための形状をしていて、ストイックで余計なものがなく、性能を高めることだけに徹している。
とは言っても戦争が好きなわけではない。
でも、飛行機の最高峰である戦闘機が好きだから、トップガンと聞くとゾクゾクしてしまって、旅客機しか乗れないくせにアメリカ海軍仕様のジャケットを見て、一目惚れしてしまったのである。
しかし、似合っちゃいない。
積年の文化系で、仕事は京友禅の着物だし、身につける服としてはそういうジャケットなんて自分史上にはない概念。
そんな生き方をしてきたものだから、こういうミリタリー系は似合わなくて、ちょっと笑える。でも、笑えるところがいいと思っている。「らしく」ないことをやったほうが新鮮味があってよろしい。
とはいえ、あまりに似合ってないのが自分でもわかるし、あまりに「らしく」ないものだから、ジャケット購入は即買いではなく、ワンテンポ置いてのことだった。
あとは現実的な理由もあって、服がないということ。わたしは京友禅という美的なものに関心はあれど、その他の服にはまるで興味がなく、普段着は最低限以下しか持っていない。
栃木に来て冬は思いのほか寒いことを知り、要するに防寒着がなかったわけである。
東京であればすぐに地下鉄に乗ったりするし、ヒートアイランド現象もあり極端に寒くはならない。満員電車だって暑いくらいだ。
ところが田舎はスカスカで、ヒートアイランド現象もないし、風がビュービューと吹いて地下鉄もないから移動が寒い。
そんな中、戦闘機パイロット仕様のジャケットはとても良かったのである。
しかもこれは夜、光が当たると反射する高輝度の夜光反射材が縫い付けられている。そこが現実重視のアメリカンな感じがしてダサいと思うのだけれど、田舎ではこれが重宝して、街灯が少ない田舎を小さな愛娘と手をつないで歩いているとヘッドライトに反射して安全なのである。
さて、右腕に貼り付けられたTOM CATの文字。これはF-14戦闘機ではあるけれど、わたしにとってはそれよりも思い入れがあるものであり、それはTOM★CATである。
TOM CAT - ふられ気分でRock'n Roll (Furare kibun de Rock'n Roll)
ああ、最高…! たまんないよ、トムキャット。
ふられ気分でロックンロールは歌詞も見事だし、曲も見事。何度聴いても最高だよ…
と、わたしTOM★CATが大好きで、実現不能の今の夢を言ってしまうと、トムキャットのようなバンドをやりたい。トムキャットの宇宙人みたいな衣装を着て、思いきりエレキを鳴らしてみたい。
しかし、わたしはギターが弾けないのである。しかし、バンドをやっている人たちがノリノリでエレキギターやエレキベースを弾いているのを見ると、羨ましくてたまらない。クラシックなんかより、絶対に楽しいに決まってる。
聴いてくれているお客さんだってビートに胸を躍らせ、シャウトしたりジャンプしたり、その一体感と来たらクラシックなんてクソに思えるほどで、本当は音楽ってああいうほうがいいんだよね。
というわけで、トムキャットが好きだからF-14よりTOM★CAT。
さて、80年代というのは楽しい時代だったのだと思う。
その流れで斉藤由貴を見てしまって、
「斉藤由貴って、ええ女やなぁ…」
と、今更ながらに惚れ込んでしまう。
年取った斉藤由貴だけど、魅力度加速。
斉藤由貴の美声ってたまらん。思うに斉藤由貴って、大昔のシャンソン歌手のリュシエンヌ・ボワイエって感じがする。この聞かせ方は。
しかし、このAXIAはカセットテープのAXIAでCMにも使われていた。当時はカセットテープの全盛期で、主力はマクセルのUD-1、そしてUD-2。
そこに中が透けて見えるAXIAが出たときはオシャンティすぎてびっくりした。
この「悲しみよこんにちは」の「きら〜きら〜」って斉藤由貴ならではだよね。この曲を最近の人がカバーして歌ってるのを見たけど最悪だった。あれはね、斉藤由貴じゃないと無理。カバー不可能。
そして、斉藤由貴は年を取るとさらに良くなるんだよね。
こりゃ、不倫しちゃうでしょ。不倫しちゃう。たまんないもん。不可抗力。でも、いくら不倫しても男はパンツをかぶって写真は撮るな。
不倫は麗しきままが美しいわけで。斉藤由貴みたいな破滅的な魅力がアンニュイと混ざり合ってるのは堕ちていくことが快感。それは麻薬的なところがあって、魂が溶解していく危なさがあって。それでいて不倫がバレても、斉藤由貴は破滅しないところが怖い魅力であって。そして男は麻薬に蝕まれたような廃人になるわけで。
あんな歌い方ができてしまうのは、才能でも訓練でもなく、どこを切り取っても斉藤由貴は斉藤由貴だからで、そういう人だからそういう歌い方ができてしまう。
70歳、80歳になってもずっとあの調子なのだろう。
そういう意味で、斉藤由貴はやっぱりフランス的。