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万年筆の掃除をする。

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結月でございます。

テキストを読むだけじゃ、暗記が浅いし、複雑なものは一度ノートに書いて整理しないと把握できないという事情から、現在勉強中のものを使わなくなった原稿用紙に手書きでまとめてみる。

手書きでモノを書くなんて、宅急便の送り伝票くらいになって久しく、字は書けないんじゃないかと思って書いてみると、意外と書けた。

さて、そんなわけで100円ボールペンでやっていたところ、どうも色気がなくて、

「そうだ、万年筆があったんだ!

と、愛用の万年筆のことまで忘れている手書き離れ。

わたしは中学生の頃から万年筆党で、受験勉強にもずっと万年筆を使っていた。ボールペンが苦手で、あまり使っていない。

しかし、日本のペン技術はものすごくて、ボールペンはそれはそれはもう書き心地が最高のものが多数あり、

「すげえな、これ」

なんて思うけれど、それは日本車と同じく、品質は良くてもデザインにセクシーさがなくて、安っぽい事務感覚になるところがいけない。

というわけで、万年筆もドイツのペリカンをずっと使っていた。

愛用の一本が酷使で壊れてしまって、万年筆好きには知らない人はいない御茶ノ水の「金ペン堂」でペリカンを新調したのも随分昔。

しかし、買ったはいいけれど、どうもチューンがわたしに合わなくて、ほとんど使うことがなくなってしまった。

ペン先調整としては最高の腕前なのだろうけれど、スムーズすぎるところが手になじまなかった。

そこで銀座にいるときに、これまた万年筆好きの聖地である伊東屋でわたしとしては初の国産万年筆を買った。

それはパイロットの蒔絵シリーズ。

その細字を試し書きすると、そのフィットぶりに感激してしまい、即買い。その他のパイロット蒔絵シリーズも試し書きしたけれど、この一本に勝るものはなかった。

それくらい万年筆とは相性なのである。

インクは同じくパイロットの色彩雫シリーズ。色は紺碧。

この色の美しさも自分の好みに抜群にフィット。

こういう相性は人間も同じで、出会ってすぐに付き合いたくなって、ずっと一緒にいたくなるほど惚れてしまうといった具合。

しかし、出会いはまだそういう衝撃的な感動は得られやすいが、ずっと一緒にいても国ならず、楽しく、好きでいられるというのは難しい。

だから人間の場合は、いくら相性が良くて好きな相手でも毎日一緒に過ごすべきではなく、多くて週に一回程度に距離を取り、「ほどほど」で付き合うのが仲良しの秘訣。

どんなに相性が良くても人間の場合は一緒に過ごすことで、必ず険悪になる。これは真理なのである。

とはいえ、物質の場合はそこまで考えなくていい。

相性の万年筆はよほどの変化が自分にない限り、ずっと寄り添ってくれる。クルマだってそう。

と、わたしにとって最高レベルの相性となったパイロットの万年筆も、しかしスマホ時代には役立たずとなる。

だから、万年筆はずっと放ったらかしであり、主人の帰りを待つ切なさの中で過ごしていた。

数年ぶり以上に出番ができて、固まってしまっていたインクを除去すべく、万年筆を水洗いした。

さて、インクを注入と思うと、インク瓶がない。

引っ越しでどこかにやってしまったのだろう。

仕方がない、買おう。いずれにせよ、インクもかなり古くなっていたから、見つかっても使い物にはならないだろう。

金ペン堂のオヤジに古いインクは絶対に使うなと教えられたことを思い出す。

それはペンにも悪いし、色も劣化しているから。

と、パイロットの色彩雫シリーズを買おうと思うが、ちょっと待てよ、わたしは今、栃木の田舎にいる。あんな洗練されたインクは売っているのだろうか?

と、これからインク探しの旅に出る。

さて、万年筆党にとって、相性のいいお気に入りの万年筆は命である。命のくせに手書きをすることがなく、放っておいたくせに言うけれど、やはりこれは誰にも触らせたくない。

万年筆はその人の筆圧などの癖で作り上げていくものだから、その人以外は触れさせてはならぬ。

うちには3歳児がいてデンジャラス。デリケートな万年筆など簡単に潰されてしまう。

それからモノの価値を知らない家人も危ない。価値を知らない人間はモノの扱いが雑であり、ハートを理解しないから。

というわけで、デンジャラスゾーンに万年筆を持ち込むため、使うたびに必ずバッグに仕舞うことを忘れず、悲劇がおこなないようにしようと思う。

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