結月でございます。
先日、栃木の益子へ行って日本酒を買ってきた。益子は益子焼きが有名なところ。って、実はわたしは益子焼きってこっちに来るまで知らなかった。
そんな益子はうちから車で十数分という場所。
そこには外池酒造という酒蔵があって、「燦爛」(さんらん)という日本酒を造っている。
栃木にはたくさんの地酒があるようで、大小合わせるとかなりの数になるのではないかと思われる。
栃木県を都道府県魅力度ランキングでひとまずは30位にすることをミッションにしているわたしは、栃木の日本酒もひとつのセールスポイントだと着目している。
でも、今、日本酒って人気ないんだってね。なんかそれはわかる気がするのは、時代に合わない感じ。
ずっと不人気だったウイスキーが、正確に言うと1950年代のトリスバーによるハイボールブーム以降、シカト状態だったハイボールが今は大人気。
それはハイボールにレモンを搾るという禁じ手がテイスト的に時代にマッチしたというわけ。
つまり、今は度数高めをガツンとやるより、発泡性のあるものをサラッと気持ち良く、酔いすぎないようにっていうトレンド。
さらに具体的に言うなら、ワインや日本酒のような醸造酒ではなく、ウイスキーやウォッカという蒸留酒を炭酸で割るっていう流れ。
とはいえ、栃木に限らず日本酒の酒蔵はかなり真面目に造るようになったから、上質な日本酒はとても増えたと思う。
と、栃木の魅力度アップを使命とするわたしは、栃木の地酒「燦爛」の山廃純米酒ってものを買ってみた。
それはこんなの。
「こら!ラッキー!そこにいたら見えないんだけど」
「ご飯、おいしかったニャ」(あまりにも禁断なネコ語)
と、猫はいいとして、こんなの。
とまあ、日本酒っぽくないラベルでキメてる。
早速飲んでみると、
「ムムッ!これはキく!」
発酵の発泡性で舌が刺激的。これは調子乗ると酔う。もしかしてこのテイストって、原酒?
と、ラベルを見ると、アルコール度数は17%。やっぱそうか。パワーがあるわけだ。
味わいはかなり深め。真正面から日本酒って感じがする。
日本酒飲んで日本酒っていう言い方は変かもしれないけれど、今は飲みやすさを優先してマイルドなものや、大吟醸で米を削りまくってサラサラしすぎっていうのが多いんだよ。
しかし、この「燦爛」の山廃純米、ガチ感がある。
これに先日買ったもの、それは栃木県民でさえ食わないという栃木の郷土料理「しもつかれ」を合わせてみた。
ほほう。結構いいじゃん。
やっぱ地元のものは地元のものが合うっていうのは王道だね。
でも、わたしが「しもつかれ」に慣れてきてるっていうのもある。
栃木に来てから、こちらの日本酒をいくつか飲んでみたけど、大雑把な印象としては栃木の日本酒は男性的風味。
お酒は男性的、女性的と表現されることが多い。つまり、テイストに腰がしっかりとあるようなものは男性的。その逆でふわっとゆるく風味が広がるのを女性的というか。
それは見た目がマッチョかどうかという肉体的外観による印象だね。だって、内面で言ったら、男のほうが内面は繊細だし、臆病だし、甘えん坊だったりする。一方、繊細な女なんてアタシは見たことないよ。それは音楽を見れば一目瞭然で、女で繊細な演奏をするバイオリニストやピアニストってお目にかかれない。
だから、内面でいうとガツンと強いのが女性的と言わなくちゃならないんだけど、マッチョ的な力強さで腰のあるお酒は男性的と言われる。
となると、栃木の日本酒の傾向はフランスワインでいうブルゴーニュ的なのかもしれない。
ワインではブルゴーニュが男性的、ボルドーが女性的なんて言われる。
しかし不思議なのは栃木という土地柄を見る限り、全然マッチョじゃないんだよね。土地のナショナリズムもほとんどないし、穏やかって感じ。それなのにお酒を作らせるとマッチョ。
熊本なんかその逆で、熊本ってすごい保守的だし、地元ナショナリズムがすごくて、考え方も気合い系の体育会っぽいところが強いのに熊本の日本酒のテイストは女性的なんだよ。
わたしが大好きな「香露」っていう日本酒もマッチョ感がなくて、ふんわり穏やかなんだよね。
日本酒は水が生命だから、その土地の水の影響も大きいとは思う。でもそれだけでこんなにも差が出るのかな。やはり杜氏のセンスが大きいと思うけれど。
栃木の日本酒は田舎臭いとも言えるかもしれない。もちろん、それはいい意味で。洗練より土着なものというかね。
京都の日本酒なんかはさすがにずっと都だけあって田舎臭さは感じられないよ。
しかしやっぱ日本酒っていうのはおいしいものだね。
お値段を考えてもお得だし。だってまともなワインだったら720mlでも何千円もしちゃうけど、日本酒なら良質な地酒でも一升瓶で買っても2千円前後だから。
世の中には素敵なものがたくさんあるものだよね。
なんてことを考えながら、栃木の魅力度ランクアップのネタを探してる。