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残クレって悪魔のシステムだよね。

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結月でございます。

店舗を運営していると、いろいろな信販会社と付き合うようになる。それは商品を月賦で買えるようにすると、店舗は売上を立てられ、信販会社は店が販売してくれることで金利で儲かるから。

というわけで、銀座に店を立ち上げたときはいくつかの信販会社と契約し、一括で買えないひとはローンで買ってもらったことが何度かあるが、日本は茹でガエル式に所得が下がっているのでローンを組めるひとが少なくなって、結局ほとんど出番はなかった。

その証拠に肝心の信販会社が低迷して、合併してまた合併してと会社名がコロコロ変わっていたのだから、それくらいローンは使われなくなった。

ちなみにわたしは少しだけ会社員をしていたときはかなりの数をローン販売し、信販会社の営業マンとも仲が良かったので、彼の成績をあげて上げるためにも申込書をじゃんじゃんFAXしていて、決済を通していた。

それができたのもまだその頃はローンで高額商品を買える力が日本の可処分所得としてあったからで、今は昔。

でも、信販会社の営業マンは礼儀正しくて、いいひとが多かった。まあ、それだけ信販の業界は顧客第一で厳しく教育されていたのだろう。

しかし、時代がずっと不景気となり、ローン破産が問題になって、ローンを組む審査がお上の指導でものすごく厳しくなり、以前なら空欄も含めて適当に書いてれば審査が通ったものが年収欄や配偶者のきめ細かな勤務先など店舗としては聞きづらいことも必須となってローンはますます使いにくくなった。

仲良くなった営業マンとはよくおしゃべりしたから、信販会社というものがどういうものかはその内側からよく知っている。つまり消費者側でなく、提供側の見方。

「クレジットのリボ払いっていうのは絶対にやらないほうがいいですよ」

と、彼は教えてくれた。

リボ払いは月々の払いが大きく、しかも残金に対して毎月金利がかかるから元金が減らない。だからリボ払いで買い物を続けると破産しやすい。そして、信販会社は儲かる。そんなリボ払いで首が回らなくなっているひとはとても多いのだという。

とまあ、販売店をやっていると消費者が知らないこと、消費者がいかにボラれるかという構造がよくわかる。

そこでクルマに関しては免許を取得してまだ4年半というわたしは「残クレ」なるものを最近知った。

残価設定クレジットの略らしく、新車販売で多く使われているクレジットとのことらしい。

前から不思議に思っていたことがあって、それは月間新車販売数が何万台という車種があって、日本全国といえども、そんなにたくさんの人が新車を買ってるってすげえけど、ほんとかな?と感じていたこと。

日本がこんなに不景気で、所得では韓国より下になったらしいのにどうしてそんなにクルマが売れるのだろう?

どうもそれを実現させているのが「残クレ」らしく、これは販売価格の例えば40%を残価として数年後に買い取ることを前提に60%分だけの分割の支払いで新車が買えるというシステム。

これを知って、信販会社っていろんなこと考えるものだなぁとちょっと感心してしまったのだけれど、一応販売店の理屈で生きているわたしは、

「これ、やばいよね」

と、瞬時に思う。

システムとしては新車の全額を払わなくても済むから、月額の払いが低くて済む。その代わり契約の年度が来れば車は返却するか、もしくは残金を払って買い取らなければならない。

問題になるのは事故で車が全損したという場合で、こうなると査定に大きく影響が出て購入当初の残価ではなくなってくる。

事故でなくともぶつけて破損した場合も同様であるから、結局のところ高い車両保険に入っておかねばならなくなる。

事故をしなくともリセールバリューを落としてはいけないから、月間あたりの走行距離が1000kmなどと決められていて、超過すると1kmあたりいくらと金がかかる。

そして契約期間が終わると、車を返却し、同じディーラーからまた残クレで新車を購入するというスパイラルになる。

なるほど、販売価格の実質6割ほどしか払っていないからドイツの高級車やレクサスだってよく見かけるわけだ。日本ってこんなに金持ちが普通にいたんだと不思議に思っていたら実は違っていて、残クレで買っていただけだった。

これは厳密に言うと、「車を買った」とは言えない。リースに近いところがある。しかしリースと違って車検などはやらなくてはならない。

また走行距離に制限があったり、傷をつけられないとなると、「自分のクルマ」という認識が持てない。個人的にはそういう買い物って嫌だなと思う。

基本、買い物は一括払いでできるものしかしないわたしは分割期間中の気持ち悪さが嫌で、それに将来何があるかわからないから何年も先まで月々払うなんていう根性がない。

車ならまだしも、家なんて30年ローンとか、どう考えても業者の思うツボだし、日本の家は東京都心の一部を除いては価値は上がらないもので、価値が購入のその日から下がっていくものを30年かけて払うとか愚かじゃないかと思う。

それに固定資産税やマンションなら積立金があり、家を買っても結局毎月金は払ってる。

つまり、日本の家は価値的にはほとんど資産にならないのに完済するのが老後とか、

「いやいや、それなら賃貸で十分でしょ」

と思うわけである。

さて、クルマに話を戻すと、残クレだと愛車精神が生まれない。そればかりか残クレは金利は車全体にかかるわけだからトータルで考えると高い。そして、車を返却しない選択をすれば残金には通常ローンを適応するとさらに金利が高くなり、同じ車に乗っているのに毎月の支払額が高くなる。

となると、返却して同じディーラーでまた新車を残クレで買うわけだが、そうなると違う自動車メーカーにすることができないし、免許返納になる年齢までそのループが続き、最後の車は残額全部支払うことになる。

つまり、残クレは目先だけを考えた悪い買い物の仕方。

しかしこれは販売側にとっては得する話で、ずっとそれで車を買い続けてくれるわけだし、走行距離を制限し、事故を起こすとヤバいシステムにして丁寧に走らせ、状態がいいまま車を返却させ、それを認定中古車として高く売るということができる。ついでに言うと、そこに付随する信販会社も儲かる。

まさしく残クレは悪魔のシステムと言ってよろしい。

それは自己資本以上の品物をレバレッジをかけて買い物しているから。車だと2倍近くのレバレッジと考えてもいい。

しかも返済期間が終わっても車は返却。そうでなければ高い金利で残金を払うか、さらに新車をレバレッジかけて買うか。

要は自己資本以上の高級車を乗れる気分を月賦で味わえるだけで、自分のものにはならない。そして、儲かるのはディーラーと信販会社。

しかし、数年ごとに新車に乗れることが快感になれば、このループは麻薬的で抜け出しにくい。そしてずっと金利をかけ続けられる。

そしていつか全額払わなければならないゴールのポイントのとき、収入がいくらあるかは大きな問題。コロナの影響で残クレで買った車が恨めしくなっている人も多いかもしれない。

こんなシステムを使うのであれば、中古車を一括で買うほうがいいに決まってる。残クレで放出される慎重に乗られた程度のいい認定中古車が新車よるもずっと安く買えて、走行距離も少ない。それに一括で買っておけば、それは紛れもなく自分の持ち物であり、ストレスなく使える。

信販会社というのはそれを利用するひとが破産しようがそこは関係ない。いかに利益を出すかだけに徹しているのだから、そういうものだという認識は消費者に必要。

しかし、そのリアルは販売店を経営してみたいとわからないだろう。

そしてディーラーも残価設定して中古に流してもしっかりと儲かるプライスに初めから設定している。客にとってお得なことなど何一つない。

 

買い物は一括購入できることが基本。それを守っていれば、大きなトラブルになることはない。

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