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ラ・ラ・ランドは傑作だった!

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結月でございます。

NHKで映画『ラ・ラ・ランド』をやっていたので、まもなく4歳になる愛娘と観た。

2016年公開の映画なのに今更観ているのは、当時この映画の評判が良く、映画をよく一緒に観に行っていた愛人に、

「ラ・ラ・ランドっておもしろいみたいよ」

と言ったら、

「もう観ちゃった」

と言われてしまって、あとからわざわざひとりで行くのも気乗りしないから、そのまま観ていなかった。

ちなみに映画は基本、ひとりで観に行くわたしだけれど、彼女には気を許していて誘われたら映画に行って、その後は食事してお酒を飲んだ。

映画の話ができる人ってそんなにいない。相手が映画を詳しいとかでなく、映画のことを話したくなる人ってそんなにいない。

でも、映画の話は楽しい。わたしもずっと前は映画をやりたかったから。

不思議と一緒にいたら映画の話を止めどなくしてしまったり、音楽の話をやたらとしてしまったりする相手っている。そんなにたくさんいないけど、いる。

文学の話はあまりしない。きっと文学作品は暗い内容が多いからで、楽しくないから。

相手に映画や音楽の専門的な素養がなくても話ちゃう場合。機嫌よくお酒を飲み過ぎてしまう。

おそらく文化に興味があって、その興味が媚びるところがないと一緒にいて楽しい相手になる。

話を合わせようと無理に背伸びしたり、文化への憧れで媚びる人は楽しくない。

文化的な興味って人の色気になるもので、文化の理解がまったくないというのは話すことがなくておもしろくない。ただ、そういう人とは接点がないから、話し込むことはないのだけれど。

映画や音楽の話をしちゃって、上機嫌にならされてしまう人って触媒能力があるのだろうと思う。

そう。一緒にいて楽しいって、触媒なんだよね。

ただ、そういう人は生活は一緒にしないほうがいい。たまにあって映画の話して、お酒飲んでっていう感じにしないと、毎日一緒だと飲んだくれてしまうし、そもそも四六時中映画の話なんてできないからお互いがつまらなくなる。

だから時々会って、お互い楽しいっていう後腐れのない愛人関係がいいと思うわけ。

まあ、それもわたしが文化が好きだから、わたし限定の事情であって、一つの視野でしかないのだけれど。

ところで、『ラ・ラ・ランド』は映画としてはほぼ完璧な作品だった。脚本もバッチリ、演出もよく、衣装も洗練されていて、音楽もいい。全体としてたまんないほどセンスが良くて、

「はぁ〜 いい映画だった…」

と、最高のため息をつくことができた。

エンディングもベタにならないうまさで「大人」だった。

ここはもうちょっとなんていうのを感じさせないところでほぼ完璧。「ほぼ」というのはこの世に完璧はないからという意味。

映画のエッジというか、おもしろさでは前作の『セッション』のほうがあったけれど、『セッション』のような奇抜な卓越ができる人はちゃんとした映画で大ヒットできる。

とはいえ、『ラ・ラ・ランド』は古臭いと思われがちなミュージカルで、かなり斬新なことをやっていて、新鮮だった。それでいてMGM時代のミュージカルの王道もきっちりと基礎にしていて単なる破壊でなく、新たな創造をやった。

プラネタリウムで二人が空中に浮いてダンスをするのはウディ・アレンの『世界中がアイラブユー』のパリでのラストを踏襲したものだと思った。CGでいやらしくさせないロマンティック。もしかして四季に分けたのもウディ・アレンへのオマージュかもしれない。

好きなシーンは、映画のポスターにもなった場面で、ヒロインが脚を組み替えながらヒールを脱ぎ、タップシューズに履き替えているところ。すごくよかった。

あとはヒロインをオープンカーで迎えに行った男が女が助手席に乗ると、女のほうにアツアツな視線のままアクセルをぶっ放すところ。普通あんなことしたら危ないけど、映画的な王道演出がさりげなくてよかった。

とまあ、愛人と映画を観たあとは、お酒を飲みながらあのシーンの美術がよかったとか、あのシーン、いらなかったよね、だとか話しながら、パリで観たウディ・アレンの映画の話に話題が飛んだり、映画で使われたクラシック音楽の曲がどうだとか、まあまあそんな話ばかりして酒飲んでご機嫌になる。

そういう時間がわたしには至福。それも相手が要ることなので頻繁にあるものではないけれど。音楽もいいけど、やっぱり映画かな。わたしは映画が一番好きなんだよ。

そんな文化に興味があって、触媒能力がある人と一緒にもしパリなんかに行っちゃったらわたしはずっとトークしてる。興奮しちゃってもう駄目。それでいてパリでは一人になりたくて、自由時間として個別行動を設ける冷酷さ。

そんなことをこの先あるのかないのかはわからないけど、パリには行きたいね。

パリの映画館で映画観て、そのあと行きつけのキャフェでワイン飲んで食事して、映画の話ばかりするの。

映画だけは撮るほうに行かなくてよかったかなって思う。もし映画の世界に入ってたら、今頃映画のことが嫌いになったり、仕事としてのことばかりで自由がなくなっていただろうから。

他人事でいられるから、映画をずっと好きでいられる。

音楽に関しては仕事にしてしまったので、コンサートをやるにしたって音楽を楽しむなんて悠長なことは考えられず、収益を合わせる金のことばかりになって音楽そのものには興味がなくなっている。

コンサート当日だって演奏に聴き入ることはないし、だってトラブルがないか常に神経がピリピリで実務のことばかりだからね。

雨が降りやしないか、地震が来ないか、ウイルスが流行らないかなどなど音楽どころじゃない。

だからわたし自身はもう純粋に音楽は楽しめない。音楽を通してお客さんに感動を与え、それをお金にして、音楽から派生したムーヴメントを起こすことに興味がある。

なぜなら、仕事だから。仕事とはそういうもので酒飲んで好き勝手言える脳天気なものじゃない。それはお客さんがやることで、わたしはお客さんじゃない。

そういう意味で映画界に入らなくてよかった。

『ラ・ラ・ランド』。

素敵な映画でした。

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