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猫を膝の上に乗せながら振袖を考える

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結月でございます。

うちには猫が三匹いて、わたしがパソコンに向かっているときなどはずっと一緒にいる。

猫たちはわたしの足元で寝ていたり、膝の上で寝ていたりしていて、とにかく寝てばっかりいる。

時折、目が覚めては耳の後ろを掻いたり、毛づくろいしたりしているけれど、また寝てしまう。

わたしが休憩がてら畳の上で寝転ぶと、それを察知した猫はポツポツと歩いてきてお腹の上に当然のように寝そべる。猫の顔がちょうどわたしの顔の正面にあって、ペロペロとそのザラザラの舌で顔を舐められたりしている。

そんな風に猫と密着しながら、うつらうつらと考え事をする。

「振袖、作りたいな」

なんて思いながら、それをどうやって紹介していこうかなどそのロードマップを思い描いたり。

振袖は結美堂オリジナルのもので、オーソドックスな、これが振袖だよねっていうものを作りたい。

今、流通しているほとんどの振袖はクオリティ的にも図案的にも色彩的にもとてもじゃないが「振袖」とは呼べないものばかりだから、これが日本の振袖ですという当たり前のことをキッチリとしたオーソドックスな振袖を作りたい。

一枚きりのもので、同じものがないという代物。

猫を抱きながらそんなことを思ったから、早速、京都の京友禅工房に電話をかける。そして、考えていることを伝え、いろいろと話をした。

製作期間は最短でも半年。でも、半年じゃ、できないっていうのはわかる。すべての工程を最短でやって半年という話だから、多分一年近く、10ヶ月はかかるかな。

京都は分業だし、追加の作業などが出てきて、そんな仕事をしてもらうとなると作業時間以外にも日程調整も必要になるだろうし、取り掛かれば長い仕事になる。

あとは仕立てもあるしね。

本物の振袖は今や絶滅状態と言っていいくらいだから、本物の振袖を残しておきたいって思う。

そして本物の振袖を販売して、誰かに着てほしいね。

そんな振袖の製作に取り掛かるとすれば、どうやってそれを告知しようかなんて考える。

実は作るよりもそういったことの方が難しい。なんて言ったら作る職人に怒られるか。

でも、技術と営業って違うものだからね。どちらも大事で、その両方がなければならない。

着物は着てもらってナンボだから、売れなきゃ、それがどんなすばらしい着物でも色のついた布にすぎない。

着物は着てくれる肉体を欲しているのだ。

そしてその肉体は着物を得て躍動する。

なんてことを猫を膝の上に乗せながら考えたりしていて、その道筋ができあがったら振袖製作しようかな。

猫はずっと気持ちよさそうに寝ているよ。

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