結月です。
今月の26日に東京から栃木に移転するので、自宅と結美堂の荷造り。
結美堂のほうは銀座からここにくるときにかなりのものを処分して、必要なものしか持ってきていないので楽なのですが、自宅のほうはやや面倒。
本を箱詰めして、今度は結月ビデオライブラリーがあることに気づき、これが膨大な量のVHSとDVDであって、よくまあこれだけの映画を観てきたものだと改めて驚く。
しかしながら、音楽同様、映画もほとんど観ることがなくなり、最近、映画のタイトルや監督、そして俳優の名前を急速に忘れてしまっていて、先日もレッスンの時に黒澤明監督の『悪い奴ほどよく眠る』の話をしたのはいいが、女優の香川京子の名前がなかなか出てこなかった。
映画だけでなく、音楽の演奏家や絵画の画家など、どんどん忘れてしまっていて、インプットをやめると忘れるものなんだなぁと変に感心したりする。
物忘れというより、インプットしてきたものが咀嚼されて、消化されて、吸収されて形がなくなったからで、それらは今更吸収するものでないからどんどん忘れる。
今はそうやって吸収された栄養分で自分でクリエイトするほうに興味があるから、インプットするなら過去の芸術でなく、最先端の技術とかそちらのほうが感心あり。
さて、引っ越しの荷造りをしていて、これはおもしろくないものだなって思うのが、荷造りをしたからといって何か生み出されるものでないってこと。
これは会計処理など事務仕事と同じで、整理整頓の部類。
押入れなんて猫の別部屋みたいになっていて、そこから必要なものを取り出すことなんてずっとなかった。ということは、押入れの中身は全部要らないってことなんだよね。
そっくりそのままそれがなくなっても何も困らない。それどころかスッキリする。
銀座から移転した時も困ったのが年賀状など手紙類。
今はLINEなどが普及して紙の手紙はめっきり少なくなったからいいものの、昔の年賀状とか手紙は嵩張る上にどうも捨てにくい。
でもわたしは中身を見ないで全部捨てようと思った。どうしても見てしまうと思い切りが悪くなってキープしてしまう。
年賀状をはじめ、どうせ手紙の内容は大したことないのだから、ここはノスタルジックにならず一気に断ち切ろう。
あとは自分が関わった広告が掲載された雑誌とか、これも今となってはどうってことないものだし、その広告のキャッチコピーなんかも今見ると恥ずかしいし、捨てちゃおう。
また、生意気にも昔、アエラや女性ファッション誌に記事として自分が掲載されたものがあって、それらは記念として1冊くらいはあっていいだろうけど、過去のことなのでもう要らない。
とにかく、過去の自分に興味がないから、過去の自分を見られてしまうものはないほうがいいなって思う。
そういう意味で本もビデオも自分が接してきたものの歴史だから、本当は処分したい。でも、文化的なものはなかなか捨てられないし、映画もたまに観たいときがあるので捨てないということに。
もしかして引っ越しって、過去を清算するためにあるのかもしれない。
どうしても同じところに何年も住んでいると、日々のものが蓄積されて、それが大きな過去の積み重なりとなる。
そうなると人間は進歩しないから、引っ越しして場所を変え、過去のものをできるだけ清算し、新しい世界に進んで行く。
そういう意味で同じところに住み続けることで人間の成長は止まってしまうのかもしれない。
引っ越しは荷造りが億劫だし、手続きも面倒で、しかも金もかかるし、住み続けると保守的になって今のところを離れたくないって思うもの。しかし、「えいやっ!」と思い切って引越しを断行するのはいいことなんじゃないかな。
今回は愛娘の育児、教育がメインという事情がありながら、そうやって転機が訪れるように運命の力学は働くものなのでしょう。
今更使わない過去のものを持ち続けたところで、それは新しい世界を築くものでないし、食べ物を食べたら排便するようにそれらも排出して行くものなのだろう。
そして、その代謝の中でも捨てきれずにずっと残るものが本当に価値あるものに違いない。
ただし、人間だけは捨てないように。いい関係である人のことはどこに行っても気にかけ、大事にするべきだと思う。
もちろん、悪い縁だと切ったほうがいいケースはあれど、そうでないのであればむやみやたらと関係は捨ててはならず、場所は変われどいつでも会える関係でありたい。
力を与えてくるのは物質でも金でもなく、人間だからね。
人のことを大事にできないと、やっぱり、やっぱり、やっぱり駄目なんだと思う。
「持ちつ持たれつ」
なんだよね。
さて、そんな引越し作業が切羽詰まっている上に17日からは栃木の家のペンキ塗りも同時進行でやらねばならず、動画のチャンネルを更新する時間もなく、撮影したものが編集もできないという具合。
焦ってやるものでないとはいえ、月に5度は更新しようと決めたものができないとどうも気持ちが悪くてやりきれない。
こういうことがきっかけで人間は甘えが生じ、ダラダラとしたり、いつの間にかやめてしまったりするし、ちょっとした隙からなし崩し的になるのはよろしくないから引っ越しが終われば年末と言っても今まで以上にちゃんとやらないとね。
言い訳は無用。
言い訳は無用。
言い訳したらおしまいよ。