結月でございます。
さて、昨晩から日が変わった後まで東京は台風24号の暴風雨でした。
その雨風の音が自宅の寝室でも強く聞こるようになった夜中の0時前、わたしは寝室で一緒にいる猫たちをリビングに移し、サッと着替えて愛車にエンジンをかける。
「この暴風雨の中をクルマで走ったらエキサイティングに違いない!」
台風の中、どこかに行く用事もないんだけど、とりあえずホームロードである国道4号線を栃木方面に走らせる!
今週の5日には結美堂山ガール部平日編で奥日光に行くし、この台風の中を走れば洗車にもなる。
そして走り出したけど、
「う〜ん、それほどでもないな…」
しかしながら、埼玉を超えたあたりからフロントガラスを雨が音を立ててぶつかるようになり、路上の大きな水たまりを走行すると、小さな津波のような水しぶきが舞い上がり、一瞬何も見えなくなる。
「エキサイティング!」
そして、40キロほど走り、茨城県の五霞に辿り着く。ここの道の駅の駐車場に入る。当然、道の駅は夜中だし、台風だし、店は全部閉まってる。大型トラックが何台か駐車されていた。
5分をほどエンジンを切ってクルマの中でボンネットや屋根を叩く雨の音を聞く。試しにドアを少し開けてみると、けたたましい音を立てながら暴風が吹いていて、
「クルマの中だと静かだけど、外はこんなヤバいんだ」
と実感。
再びエンジンをかけ、東京へ向かう。
すると、行きより帰りのほうは暴風雨がガチなデンジャラスになってきて、
「WOW! エキサイティング!」
なんて悠長なことを言っている間に、強烈な雨風になって、ワイパーはフル加速なのに前が全然、見えんやないか! 視界率20%!
それもそのはず。フロントガラスに当たる雨だけでなく、雨と風が前方10メートルは視界を遮っているから、それはワイパーの問題じゃない。
風が見える!
雨粒を伴って風が見える!
風は空気なのに、その形状が雨粒で描かれ、それがうねっているのが目で見える!
これはすごい! まるで竜巻の中にいるよう!
道路はほとんど見えないし、車線も見えない。
見えないものだから、時速40キロがやっと。
これはマジでヤバいぞ!!
でも大丈夫!国道4号線はアタシのホーム!目をつぶってても走れる!(嘘)
しかし、雨と風のしぶきでほとんど前が見えないから信号の明かりも微かにしか見えない。
時折、路上には風で飛ばされたものが落ちていて、どこかから飛ばされ転がったむき出しのタイヤがあったりする。
クルマの中なのに雨風の音が凄まじい。
ともかく、視界がほぼ遮られた中、アクセルを踏む。
「エキサイティング!」
ほんの一瞬、風が弱まるとき、左車線ではハザードランプをつけた軽のワゴンが停車している。その屋根には金属の大きなポールが斜めに落ちている。おそらく屋根につけ運んでいたものが風で剥ぎ取られてしまったのだろう。
どうにかこうにか自宅までたどり着き、クルマの外に出ると吹き飛ばされそうな暴風で、こんな中を走ってたのかと驚愕。
しかし、台風が来るとじっとしていられない。
一番過激なのは、クルマではなく、チャリで走ってずぶ濡れになることかもしれない。
ずぶ濡れっていうのは、感動的なもので、ドラマティック。
クルマで走っていて、あえてここでガソリンスタンドに立ち寄り、暴風雨の中、ガソリンを入れてみようかとか、マクドナルドのドライブスルーでダブルチーズバーガーを買ってみようかとも考えた。
しかし、ドライブスルーは商品を受け取り、金を払う間だけで、開けたウィンドウからものすごい勢いで雨が入り、車内がびしょ濡れになるし、たちまちダブルチーズバーガーが入った袋も紙が溶けるほどになるのは困る。それにこんな台風の中、バイトしているマックの人も迷惑だろうから、そこまでドラマ性は求めないことにした。
本当は奥日光まで飛ばして、暴風の中で華厳の滝が見たいとか、荒れ狂う中禅寺湖を見たらすげえって思った。
昨年、台風が去りゆく時に中禅寺湖に行ったら、男体山が蠢いていて、中禅寺湖の波が地震で揺れるように激しく揺さぶられていた。
それはまさしく恐怖の風景で、わたしは本気でブルってしまった。
さて、台風の時に用もないのにクルマで往復80キロも走るなんて危ない!とかいう意見が大半だと思うけど、やっぱアタシはそういう危ないことを感じないと生きてる実感を持てないのよね。
エッジに立って、もうヤバくて、ヒリヒリした感じ。
これがないとわたしは廃人みたいになる。
そして、見たことがないものを見てみたい。台風の中を走ったら、どんな風景なのか体験してみたい。
台風ってどれほどデカくて、どれほど強大で、天気図で日本列島の上に描かれたものが本当はどんなにデカい雲でどんなものが空にあるのか見てみたい。
興味はあるのに、危ないとか言って家に籠っていると、台風がどんなものかっていうものを知ることができずに過ごしてしまう。わたしは知らずに過ごしちゃってる状態が辛い。
やればよかったののやらなかった。これは最大の後悔だから。
でも、おかげで巨大台風の下をクルマで走ったらどんなものかを知った。だからわたしは台風を表現できる。
例えば、プロ奏者でバイオリンやってるとか、指揮者やってますとか、オーケストラで演奏してますっていうのがだね、台風も知らんようで、ベートーヴェンの交響曲第6番って演奏できんのかな?
あの凄まじいベートーヴェンの音、見よう見まねで弾いてんじゃねえよ。
わたしは表現者っていうのは、デンジャラスにも興味津々でなければならないって思ってる。
まさかハリウッド映画のCGで描かれたパニックムービーをイメージしてベートーヴェン 、弾いてないよね?
ひとを感動させるには、自分がヤバいことできなきゃ駄目だよ。安全圏で過ごしているような奴にはひとを感動させられない。だから多くのサラリーマンはひとを感動させる仕事ができない。
多くのひとが知らないことを知っておくこと。これが基本。
それを求めて生きていると、エキサイティングでおもしろい。
わたしはそうやって生きてる。