結月でございます。
昨晩はカルロス・ゴーンの会見を見ていた。
しかし、英語がフランス語になったり、ポルトガル語になったり、さらにはアラビア語になったりと、
「ゴーン、かっこよすぎるよ!」
あんなに瞬時に言語を切り替えられるって、どんな頭脳なんだろう? とてつもなく優秀で、頭が良くて、だから倒産寸前の日産を復活させられたのだと思う。
でも、日本のメディアは最悪で、検察からのリーク情報垂れ流しで、ゴーンを悪人にして視聴率を取っている。そもそも逮捕されることがおかしい案件なんだけどね。
無実なら日本でちゃんと公平に裁判を受けてほしかったみたいなアホな意見が多いようだけどさ、そもそも日本の検察がやることが公平じゃないのにどうやって公平な裁判になるのだろう? そんなこともわからないなんて論理以前の問題。
ゴーンを悪く言う世論があること自体、それは日本の民度の低さというか、問題をちゃんと客観的に見られてないことを示している。あとはルサンチマンがひどすぎる。それだけ日本人が経済的にも余裕がないってことかもしれないけれど。
ゴーンを日本で裁判を受けさせるべきなんていうのは、基本的人権がわかってないんだなって思う。人権が尊重されていない取り調べや勾留があることをおかしいと思えないんだからさ。
人権をしっかりと保障するなら、日本の検察がやってることや司法制度なんかどうやったって肯定できない。逃げて当然なんだよ。自分の人権を守るためには逃げるしかない。
だから、わたしは自分の人権を守って逃亡したゴーンさんを支持するんだよね。
でも、ゴーンさんの会見を見ていて思ったのが、あれってソクラテスだなってこと。
ソクラテスはアテナイから理不尽な罪を言われて死刑判決を受ける。ソクラテスは自分に非があるとは考えていない。それよりも周囲の無知を哲学的に訴える。
死刑判決を言い渡されて、弟子たちがソクラテスを牢獄から逃そうとし、実際にそれができる状態でありながらソクラテスはそれを拒否する。
「善く生きる」ことを説い、判決を受け入れて毒杯を仰ぐ。
それはプラトンの『ソクラテスの弁明』という西洋哲学史でとても重要な本にそのすべてが書かれている。
そんなソクラテスの姿がゴーンさんにも見えちゃってさ。最もゴーンさんは毒杯を仰がずに逃げたけれどね。
ソクラテスは美談としてはいいけれど、現実は逃げたほうがいい。逃げないとああやって日本のクソすぎる司法制度を批判できない。
さて、会見は特に真新しいことはなかったけれど、そのせいか日本のマスコミでは冷ややかな意見が多いように思う。
それも日本の井の中の蛙的なところで、だってゴーンさんは日本のクソぶりを世界に訴えているんだから、日本はもはや関係ないのね。世界は日本のクソ司法制度のことをほとんど知らないのだから、一応先進国と言われる国でそんなひどいことがまかり通っているというのは衝撃なんだよ。それを衝撃として捉えられないってことが日本人に人権的な感性がないってこと。
あいつ、悪い奴だから刑務所で当然でしょ、みたいなのは人権意識がない証拠。
しかもゴーンさんの案件は会社内で処理すべきものだからね。そんなものを司法取引して、国家もどこかで後押しして、一人の人間を拘束するっていうのは人権の抹殺だからさ。
さらに司法取引して、マジで悪い奴らが起訴されずにいる。こんなおかしいこと、こんなアンフェアなことはない。
そんな不公平で、日本で公平な裁判を受けて自分の無実を訴えるべきなんていうのは、もう頭悪いっていうか、その頭の悪さ、もう人間的な罪悪だよ。
でも、これで日本の司法制度はヤバいってことが世界的に知られて、海外の優秀な人は日本で仕事をしなくなるだろうね。ものすごい経済的な打撃になるよ。
優秀な人材が集まってこなくて、日本人の陰湿なのしか会社に残らないなんて、まるでグローバルじゃない。実際に日産は猛烈な勢いで業績を下げているわけだし。
ともかく、日本のマスコミは検察とつるんで視聴率を上げることしか考えていないから、コメンテーターが偏ったことを情念で煽る。それを客観的に分析できない層がルサンチマンでもってマジに信じて世論を作る。
人権を否定していることに気づきもしないで、世論で加担するというのは恐ろしいことなんだよ。
ゴーンさんは逃げられてよかったよ。あのままズルズル日本で裁判やって、検察がでっち上げた筋書きで一方的に進められて、最高裁まで行って刑務所に入って刑期が終わるのが生涯を終えそうな年齢になるなんて、人権の抹殺だから。
ソクラテスの時代は人権という概念はなかった。でも今はちゃんとある。だから、理不尽な罪状で毒杯を仰ぐことはしなくていい。
ゴーンさんの逃亡こそが人権だよ。