結月でございます。
今日は日光そばまつりへ。
このことは愛するとちテレでも知っていたし、先週、日光の清滝にあるヤシオマスの養殖場へ行くと出店するという話を聞いたので行こうと思った。
朝の9時に出発し、10時半過ぎに会場である日光だいや川公園にさしかかるも、駐車場は満車の看板。
おいおい、これ、すごい人なんだけど、クルマとめておくところないんじゃ…とあまりの混みように瞬時に諦めモード。
警備員の兄ちゃんに訊くと、直進したらまだ駐車場はありますとのこと。言われた通りにまっすぐ進むも駐車場らしきものはない。かなり走ってようやく臨時駐車場の文字。
これ、歩いて会場まで行くのにどれだけかかるのだろう?と思いつつ、オフロード状態の駐車場に愛車をとめる。
訊けば無料のシャトルバスが出ているという。そりゃ、そうだ。ここから会場まで3キロある。
駐車場は公園内だからそばに大谷川が流れる絶景。雲で山頂は見えなかったけれど、目の前に壮大な日光連山。
写真左が男体山。そして山ガール部として憧れの女峰山は雲で見えない。
シャトルバスに乗って会場へ。すごい数の人で、正直これまでとは思わなかった。ちょっとナメてた。初日の朝なのにこれだけの人ということは、みんな一体、何時から来てるのだろう? 明日からの土日は間違いなくもっとすごい。
バスが着く場所すぐ近くの会場にヤシオマスの養殖をしている人たちのテントがあった。いの一番に見つけられて、挨拶に行った。鮎の塩焼きなどを売っている。とりあえず、お蕎麦を食べてから戻ってくると告げる。
橋を渡り、そばの会場へ。
しかし、だいや川公園は美しい。奥日光が駄目なら、このあたりに住みたい。毎日、日光連山を拝むことができる。
雲がかかるも女峰山。
空気が冷たく、澄み切っている。そんな道を歩き、そば会場へ。
紅葉だけで満足なのに、その先に蕎麦の店が立ち並んでいるのが見える贅沢。
色彩がグラデーションになって、特定しようのない美しさ。
日光ではこの美しさが無料で見られる。金を払って美術館に行くのが馬鹿らしいと感じる。
そば会場に着くと、テントを用いた店が立ち並んでいて、すでに行列ができる賑わい。
日光そばまつりは栃木のそばだけでなく、福島、山形、茨城、群馬、そして東京からも出店されていて、むしろ栃木のそばは数えてみると、7店舗だった。
そばを食べるだけでなく、そば打ちの道具や包丁を出す店もある。
本格的なそば包丁は10万くらいするものもある。そば打ちは凝りだしたら止まらなくなるようで、道具にこだわりたくなる気持ちはわかる。
さて、かなりの数の店舗が出ていて、しかし胃袋はひとつしかない。ヤシオマスの店で魚を食べる容量も残しておかなければならない。
周ってみると、どれも魅力的なものばかりで、そばだけでなく、牛串や唐揚げなど、そばを食べた後に食べると絶対においしい品々もちゃんとある。
いろんな産地のそばがあれども、わたしは栃木のそばしか興味がない。栃木のそばはまだたくさん食べたことがないし、都道府県魅力度ランキングで43位というシカト状態の栃木のランクアップを成功させたいわたしとしては、今さら東京のそばなんて食べたいと思わないし、福島とか茨城にも個人的に興味がない。
しかし、会場では栃木でない店にものすごい行列ができていたりして、これはガチでうまくて有名なのか、それとも栃木県民はわざわざ年に一度のイベントで地元のものを食べないからだろうか。おそらく後者だと思われる。
いろいろ見て、まずはここにしようと決めた。
男体山を御神体にする日光二荒山神社に奉納しているとある。しかし、いくらなんでも看板の毛筆が下手くそすぎるんじゃないかと思いつつ、そこは気にせず二荒山神社と聞けば食べないわけにはいかない。テントの外でそば打ちのデモンストレーションも行われている。
かけそばともりそばがあり、やはり蕎麦の風味がわかりやすいもりそば(500円)をオーダー。食券をもらいできあがるのを待つ。
できあがったお蕎麦を受け取ると、テントの外にあるテーブルに座った。テントの中にも席はあるけれど、あまりに気持ちがいいだいや川公園と空気と陽光にできるだけ触れたいと思う。
頭上を見上げると、こんな風景。
この下でお蕎麦をいただく。
実にシンプル。シンプルだけれど、手抜きではないところが蕎麦の魅力。
食べてみると、
「うまっ!」
歯ごたえが最高にいい。なるほど、お蕎麦はこうして湯がくといいのか。しかし、この腰は日光二荒山神社奉納ならではのそば打ちによるもので、スーパーで買うパックの蕎麦では出せないものだろう。
生蕎麦で売っていたら欲しかったけれど売られていなかったので、名刺だけもらった。あとでリサーチして手に入るようならやってみる。
これだけでは帰れないから、もうひとつお蕎麦を食べようとぶらぶらする。無論、ほしいのは栃木のそば。
すると、「ちたけそば」の文字を見つけた。
「ちたけ」とは「乳茸」というキノコであり、栃木の郷土料理として「ちたけうどん」や「ちたけそば」があるという。この情報を今月、ネイティヴから教えてもらっていて、それが早速あったためこの店と決める。
どうやら乳茸はレアらしく、この乳茸からのエキスが汁に溶け込み、独特の風合いになるらしい。
それを扱っていた店はこちら。
ちたけそばのお値段は800円。店内は賑わっている。
そしてこれが噂の乳茸そば。
これは乳茸か… ちょっとドキドキしながら食べてみる。
「ムムッ!これは、茄子のテイストにそっくりじゃないか!」
と、ここまでとろとろに柔らかくなるものかとそのレアぶりを感じつつも、
「あれ、これ、茄子じゃん!」
と、食べていたのは茄子であって、そりゃ、茄子の味がするよね。
いやいや、これはいかんと己の早とちりを反省し、よく見て、ちゃんとキノコの形をしたものを箸でつまんで食べてみた。
「う〜ん、特に目立った味はないね」
と思いながら、お汁を飲むと、
「ふ〜む、なるほど。乳茸はその風味がお汁になるところが絶品なわけね」
そばも打ち立てで、大変おいしい。
でもさ、この味って、これぞ日本って感じだよ。わたしは栃木は日本の原風景があると思っているけれど、このちたけそば、日本昔話で婆様が囲炉裏の側で食べてそうで、これが日本食の根源なんじゃないかな。
京都の懐石とか、ああいう和食は洗練されすぎてしまっていて、食べ物というより綺麗な物体に見える。
ところが栃木のちたけそばは日本の原風景だよ。
さて、そんなちたけそばで二食目となり、お腹もいっぱいになってきた。ヤシオマスのところにも行かなきゃいけない。
と思いつつ、日光そばも食べておきたいという誘惑と葛藤。
しかし、冷静に考えて、これを食べたらヤシオマスはお腹に入らないと断念。日光はよく来るから改めよう。
この日光そばまつりはたくさんの出店があって、本当は全部食べてみたいほど。食べる人は5軒くらいハシゴしそうだけど、お酒がないとそこまでたくさん食べないわたしはノンアルコールのため、お蕎麦は2食までだった。ヤシオマスを考えなければ日光そばをキメちゃってたけど、今回はヤシオマスをそばと同等のメインと考えている。
そして、バスの駐車場のほうへ向かいヤシオマスへ。
養鱒場の人といろんなことを話した。今度、ヤシオマスを一匹で買って食べてみたいから。しかし、冬の日光はスタッドレスタイヤがないと行けない。ノーマルタイヤのわたしは今年中にそれができるだろうか。年明けとなると日光のネイティヴは5月くらいまではスタッドレスらしい。
さて、ヤシオマスはこんなの。
ムムッ!イメージしていたものとは違い、かなりショボいルックスで、フランス経験のあるわたしは正直迷ってしまった。でもプレミアムヤシオマスだし、せっかくここまで来たんだから食べておこうと、鮎の塩焼きと一緒にオーダー。
まずは鮎の塩焼きから。
うん、なるほど、こういう焼き方ってあるのか。これは鮎がスナックになったようで、ヒレから骨から頭まで全部クセなく食べられる。間違いなくビールには最高。
そして、ヤシオマスのラップサンドなるものを食べてみる。
「うみゃ!」(なぜか熊本弁)
ほほぉ〜 見た目はちょっとショボいと思ったけど、ヤシオマスのテイストがなかなか濃厚さがあって、キャベツとはいいマッチング。イケるよ、これは!
先週、養鱒場でヤシオマスを買って食べたわたしの印象としては、刺身もいいけど火を通したほうが味が出ると思った。
ノンアルコールだったのが寂しかったけれど、ビールがあればもっと食べられる。
さて、そんな日光そばまつり。とにかく女峰山の麓であるだいや川公園の自然が美しい。
そばももちろん、これだけの人が訪れるのはわかる。
どうも栃木というのは、料理の腕はあまりないけれど、自然に近いものを食べるとなると極上の仕上がりになる土地らしい。
栃木のそばは本当にレベルが高いし、海がないせいか川魚が新鮮で、素朴の向こう側に奥行きがある。
料理の腕前としては東京が最高とはいえ、もはやそれは過剰と言える気がする。
そういう料理としては栃木はまったく期待できなくて、焼きそばとか唐揚げとか、学生寮的な感じといえばいいだろうか。
だからわたしはそんなものは栃木の魅力としては感じていなくて、鮎やイワナの塩焼きであったり、そば粉を練った蕎麦であったり、野菜を漬け込んだたまり漬けであったり、そっちに大きな魅力がある土地だと思ってる。
そういう日本の根源的な魅力があり、だいや川公園のような美しい場所もある。その目の前には日光連山があり、そこを登れば中禅寺湖がある。
これだけのものがありながら都道府県魅力どランキングで43位でほぼビリケツというのはおかしい。
やはり、そうした魅力をうまく栃木県がプロモートできていないんだと思うよ。
少なくともランキングでは20番台の要素は軽くある。
ともかく、この日光そばまつりは、お蕎麦が好きなら行く価値あり。駐車場が激戦になるくらいだから、電車で行ってシャトルバスでもいいかもしれない。東京から2時間か3時間で来れる。
さあ、栃木をどうやってPRしようかな!