結月でございます。
まずはお詫びから。
女子チーズ第2期ですが、順次発送しておりますが、残り3分の1のお客様にはまだお届けできておらず、予定より遅れております。申し訳ございません。確認したところ、まもなく届く予定でございますので、もうしばらくお待ちください。
北海道の方で燻製係が緊急入院したりしたようで、生産が少し滞りました。
なにぶん、家族経営で手作りという事情があるのでご理解いただければと思いますが、万一、来週になっても「まだ届かない!」という方がいらっしゃれば、結美堂までご連絡ください。
さて、年が明けてすぐ京都の京友禅工房に自分がオーダーした着物が染められるところをガン見するという旅行に行きます。その付下の図案が結美堂に送られてきて、毎度のことながらこの瞬間がときめきます。
原寸大の紙に描かれた図案。それを白生地に落とし込んで染めていくわけですから。
どこにも売っていない文字通りオンリーワンの付下です。
さらにここから地色などを決めていきますが、染まった反物を手にするときって本当に嬉しいものなんですよ。それが仕立てられて着物の形になる。そしてそれを自分の体に着付ける。
このプロセスをすべて体感できるのがオーダーメイド。
そして、今回は京都へ旅行もセットになっていて、国宝第一号の弥勒菩薩がある広隆寺にはみんなを連れて行こうと思っています。
あの弥勒菩薩はね、あれは見ておかないといけないよ。あの美しさね。澄み切った透明感が漂う弥勒。あれを見ると弥勒信仰がわかります。確かに何十億年後かに菩薩がやってきて、その来るべき日のために徳を積むという逆説的な考え方。
京都にはいろいろな歴史的名所があるけれど、大半はわたしは子供の頃にフツーに見てしまっているので正直、あまり感動がないんです。京都を歩いても、
「懐かしいなー」
みたいな感情のほうが先立つからね。
でも、弥勒菩薩だけはわたしにとって別格で、これはみんなに見てほしい。
幸い、京友禅の工房からもそれほど遠くないからクルマでサラッと行きましょう。
定番の夜の飲み会は場所は決めてません。女5人の女子旅だから、あまり格式のあるところだと騒げないからまあまあなところでいいかと思っています。
率先して破廉恥なのはわたしなので、ちゃんとしたところだと破廉恥を封鎖されてウズウズしてしまい、
「!”#$%%&!!」
と、叫んでしまうかも。
かと言って、京都まで行って和民じゃひどいので、どこか適当なところに行きましょう。
あとはわたしが好きな京都ラーメン「第一旭」に行きたいっていう声もありました。
新京極の小道に一軒あるから、ランチで行ってもいいですしね。
ただ厳密に言えば、この店はわたしが子供の頃に行っていたものとは異なり、オーナーが変わったというか、第一旭もいろいろ変わりながら今があるみたいなので、別のものと言えば別のもの。
でも、去年、母親と一緒に食べに行ったら、まあ味はそんなに変わらないかなって思いましたけど。
考えてみれば、自分が未成年の頃までよく歩いた場所に結美堂ガールズを連れていくってちょっとした感動というか、気恥ずかしいというか、違和感というか、変な感じがします。
わたし自身郷土意識もないし、みんなと歩くときは幻想じゃないかって思うかも。
随分前、大学のかなり年下の後輩が京都大学大学院にいたときに新京極で遊んだけれど、その時も不思議な感じがした。
だって、京都育ちでない後輩が京都にいて、自分が未成年のときによく遊んだ場所で一緒にいるってことがおかしな感じに思えたから。
とまあ、そんな具合で着物を染めに京都に行くわけですが、わたし自身も染めの現場を見るのは久しぶり。ずっと東京で受注する立場だから。
着物っていう文化はもう間違いなく絶滅することが決定しているようなもので、いつまで存続しているかというカウントダウンの状態。
今回の工房だって知り合ってもう十数年で、ということはそこの職人さんも十数年年を取っていて、いつまで仕事ができるかっていう現実的な問題はあると思う。
今は観光地のコスプレ着物ばかりになって、本当の着物が少なくなってしまっている。だから後継者となるほど仕事がないし、将来性がない。
だから、皆さんには着物を染める現場は着物文化が残っているうちに見ておいたほうがいいよって冗談じゃなく本気で言ってます。
あと10年もすれば今以上に急激に激減するから。着物を作る人たちの年齢層を考えたらそれは間違いないです。
20年でほとんど絶滅でしょう。
愛娘シャンシャンが振袖を着る頃には振袖なんか作られていないだろうから、今からキープしておかなくちゃです。でも、着物はキープしていても和裁士ってその頃、ちゃんといるのかな…?
着付けの技術は自分で習得しておけば、いい着物を持っていればずっと着ることができます。
と、本気で着物消滅のカウントダウンの中にいるので、着物は今のうちに作っておいたほうがいいです。これからどんどん着物のクオリティは落ちていくでしょうから。それはニーズと生産現場の状態を考えれば、高品質ほど困難になるからです。
さて、昨日は某所ですごい着物を見せてもらいました。
演歌歌手の石川さゆりのオーダーのもので、いやいやあんなすごい着物は石川さゆりくらいの貫禄と地位がないと着こなせないでしょう。
さらに孔雀柄の刺繍訪問着など、国宝にしたっていいような品物。
ちなみに値段はたった100万円ぽっちでは買えないし、たった200万でも買えないよ。もっともっと札束を積んでください。
ああいう着物を作れる人がまだ京都にギリギリ残っているってことだけど、やっぱ年齢的なことを考えると、絶滅路線だと思う。
着物の仕事を始めて良かったのは、ひとつの日本文化の中にいれたってこと。それを体感して、それを流通させ、たくさんの人に着物を着てもらった。
なんて言うけど、栃木に行っても着物の仕事は続けます。ただカウントダウン状態が身にしみてわかるから、ひとつの文化がなくなっていくその潮流にいるんだなっていうリアリティ。
そういう意味でも、結美堂にずっと付き合ってくれている人たちに染めの現場を見せられるっていうのはいいことかなって思います。
ともかく、来年の4月頭には日光着物女子旅もあるので、みんなと着物を通して遊べれることを楽しみにしています。
染めの現場はYouTubeの結月チャンネルでも公開しようと思います。