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柏餅より桜餅

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結月でございます。

桜餅は桜の葉を使うから春の食べ物かしらん?と思うも、スーパーでは「道明寺」として年中売られているような気がする。

桜餅には薄皮のクレープ状を巻いたものともち米のつぶつぶ状のものがあるが、前者が関東で後者が関西らしい。

実は上方の人間であるわたしは東京に来てクレープタイプを初めて見たのだが、この間、駒込のスーパーで買った「道明寺」はそれぞれが2つずつ入っていた。

お味としてはつぶつぶタイプが断然好きで、やはり小さい頃からの馴染みがあるからだろうか。

現在、急速減量中であるわたしは主食がほうれん草や菜の花、そして木綿豆腐であるが、先日、東京に行ったときにスーパーで菜の花の胡麻和えと桜餅を買ってスタジオでブランチとした。

あんは断然、こしあん派であって、つぶあんはそれほど好きでない。何と言ってもこしあんがよろしい。

桜餅は桜の葉の塩漬けの程よい塩味がよろしいわけだけれど、葉っぱは剥がして食べる。

やりきれないのは桜餅によって葉っぱが餅にべったりとこびりついていて、無理に剥がすと中のあんまでパックリと割れてしまうことで、それが面倒になって「エイヤ!」と葉っぱも一緒に食べるとせっかくの柔らかい食感の中にギザギザした葉っぱが紛れ込んで後悔する。

であるからして、葉っぱがスッと剥がれない桜餅は勘弁してほしいが、それは買ってみないとわからない。

実はわたしは大学生の頃までこの葉っぱが食べられるものだとは知らなかった。いつだったか図体の大きい先輩が桜餅を葉っぱのままガブリとやったのは驚いてしまって、野生的にも思えたし、

「うえ… 田舎もん…」

と、上方から九州にやってきた当時のわたしは都会人の誇りがあって上から目線なのであった。

でも、あのワイルドすぎる食べ方、桜餅を葉っぱも取らず、僅かふた口で食べてしまうような豪快さに田舎っぽさを感じたのは事実であり、そういう食べ方は今でもあまり好きじゃない。

マックのダブルチーズバーガーをガブっといくのならいいが、あんな可愛らしい桜餅をガブっといく神経がわたしには驚きであったのである。

そう言えばフランスのリヨンにいたとき、年上の友人と一緒にブルゴーニュのボーヌで開かれるワインフェスティバルに行った。リヨンから汽車と呼びたくなるような特急列車に乗った。

そのとき友人はリュックからスーパーで買ってきたというカマンベールチーズを取り出し、その丸い箱を開けフィルムを取ると、カマンベールチーズをまるでダブルチーズバーガーを食べるようにガブっと食べたのである。

カマンベールチーズは切って食べるものだと思っていたわたしは驚いてしまったが、その後、わたしも行きつけのスーパー「カジノ」でカマンベールを買い、アパルトマンでガブっとやってみた。するとそれが実に美味しくて、なるほどカマンベールチーズはナイフによるきれいな接断面よりも歯形がつくような断面がいいことを知った。

であるからして、それ以降、カマンベールはナイフでは切らずに手で割いて食べることにしている。荒々しく、雑に手で割いたほうが絶対的に美味しいのである。

バゲットを買ってきて、それに包丁で切り込みを入れ、バターを大雑把に塗り、さらにオリーブオイルを垂らしたら少しだけ塩を振りかける。できれば岩塩がよろしい。そこに雑に手で割いたカマンベールをいくつも挟み込んでガブリとやる。これはわたしのジャン・ギャバン式サンドウィッチで、まことに美味しい。

ジャン・ギャバンが映画『ヘッドライト』だったかで、貧乏な我が家に帰ってきた際、そうやってサンドウィッチを食べていた。ジャン・ギャバンがやると労働者風なガツガツした雰囲気がよく出て、わたしはそこに「フランス」を感じるのである。

というわけで、カマンベールチーズは労働者風でいいと思うが、桜餅はちょっとお上品な上方文化なような気もしてガブっとやるのは頂けない。

ところでわたしが桜餅は好きだが、柏餅は好きじゃない。

柏餅はなんだか田舎っぽくて、葉っぱもゴワゴワしていてエレガントでないし、可愛らしさがない。

桜餅は湿った葉っぱがピタリと貼り付いているのがフェミナンであるのがいい。

桜餅を買おうとしてそれが売り切れで、迷った挙句、柏餅で妥協して食べてみたらやめておけばよかったと必ず後悔する。

柏餅のダサさ。田舎臭さ。葉っぱに湿り気がない単純さ。餅の部分はただの餅。はんなりとしたところがない。

と、桜餅、しかもそれは関東のクレープ状のものでなく、もち米のつぶつぶのやつ。あれが美味しい。

しかし、昔は洋菓子は食べても、わざわざ和菓子なんて食べようとも思わなかった。あれば食べるけどという程度。

ところが今は洋菓子のバターべったりが鬱陶しくて、和菓子がよろしい。

こんな味覚の変化も自分自身の経年変化。

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