結月です。
ビジネス本や自己啓発本には「35歳までにやるべき**」だとか、年齢を提示して早くこれをやっとかないと今後は苦労するよと煽る本が書店ではよく売られている。
一口に年齢と言ってもそれぞれで、ものすごく老成しているのもいれば、中年になってもフリーターというものいるし、学歴は様々だし、ある年齢になるまでにやるべき何かは特定できるものではなさそう。
しかしながら、社会には40歳以降は転職が厳しくなるとか、そういうことは実際にあって、なるほどそれは「世代」というやつのせいかもしれない。
時代は否応なく進歩するから、今の40歳と今の20歳では感覚は違うし、スキルも異なる。20歳ならいわゆるデジタルネイティブで、40歳以降はある程度の年齢になってから湧き出てきたITやらネットを習得した世代だと言える。
社会はどんどん変化していき、それは新しいものが引率していく。インターネットも出だしはオタクがやるような怪しいものであったが、次第にそれは普及して市民権を得て当たり前になり、ドコモのiモードが最新だと思ったら一気にスマートフォンになって、ガラケーと揶揄されたものになっていく。
それは人間も同じで、時代の変化が早いがゆえに40代以上の人間は古いからそこに対応しきれない。だから、会社では要らなくなって早期退職を促されるのだから、40歳以降で転職となるとよほど優秀でないと叶うものでなくなってくる。それが50代となると絶望的である。
そう考えると、35歳までにやるべき云々というのは満更でもなく、「やるべき」ことはあるのかもしれない。
しかしながら、それは40代以降になって自分の過去を俯瞰できるようなくらいにわかってくるもので、リアルな35歳は等身大に生きているからなかなか「やるべき」メッセージは届きにくい。
ともかく、新しくてフレッシュな人材はどんどん出てくる。当然ながら世代的に古くなったのは引退してもらわないと会社だってやっていけない。
要するに「仕事があるうちが華」であって、30代くらいは自然に仕事があるから気づかないけれど、40代に突入してちょっと「ヤバさ」に気がついてくる。
仕事をしようとしてもさせてもらえない。仕事は若い世代に回される。しかもデジタル時代にはアナログ的な能力はあまり必要とされないので、いくら熟練の技量があってもそれがアナログなら要らなくなってくる。
あとは40代に入ると、頭の動きがだんだん鈍くなってくる。客観的なものの見方はできるようになり、考え方も奥深くなってくることがあるが、切れ味はなくなってくる。
それは肉体とまったく同様である。
ちなみにわたしはこの一年で目が悪くなった。目だけは自慢できるほど良かったのに、一気に老眼が進んで近くのものが見えない。ついでに遠くのものもちょっとだけ見えにくくなってきた。
だから、メガネをひと時に5つも買い、それぞれ度が違うわけだが、その使い分けが面倒である。
目が悪くなるとPCの文字が見えにくく、読書用の老眼鏡をバッグからわざわざ出したりしなければならない。そしてPCから目を離すとたちまち視界がボケるから眼鏡を外す。
もうこれだけの動作でスピーディーさがなくなってしまい、手間がかかる分、頭の切れも悪くなる。
それでもわたしは平均以上には仕事は早いほうだと思うのであるが、頭は鈍くなっているような気がする。
とはいえ、こうして仕事も生み出せているし、取り掛かっている仕事もあるわけだから、華なんだろう。
35歳までに云々説が正しいように今更思うのは、確かにその時期にやったことが今に生きているからで、おそらくは20代でサボると30代は華でないし、30代でサボると40代が華でないといったように順々になるのではないか。
でも、40代になるといくら30代で頑張っていても時代そのものとズレてしまうと使いものにならなくなる。スペック的にはすごい90年代の日本製の家電のようなものである。
さて、今から10年後はどんな社会になっているのだろうか? 間違いなく、様々なところで今とは変わってしまっている。
逆に今から10年前を思い出してみると、今とはまるで違う。スマホの普及率だってもっと低かったし、もちろん5Gはない。それどころか4Gもない。
どんな人間だって加齢によってキレがなくなっていく。しかし、時代はキレを増していく。
そして、時代はかつての昭和時代のように円熟をあまり評価しない。円熟したものは使えない場合が多い。
円熟を味わう暇もないし、それよりもっと端的さが求められる。
仕事があるうちが華であるが、仕事を持ち続けるのが簡単でなさそうだ。
わたしは会社で雇われるという経験が14ヶ月くらいしかなく、あとはずっと自分で仕事を生み出してきたのであるが、いつまで仕事として成立することを続けられるだろうか?
しかし、どこかに雇われる立場も同じで、いつまで仕事が得られるか?という問題はあるだろう。
いずれにせよ、好奇心だろう。それがなくなれば、もう何もできなくなる。好奇心でもっていろいろやっていれば、お呼びもかかるであろう。良くも悪くもとにかく動いていること。動いていないとお呼びもかからず、フェードアウトしてしまう。
だから、仕事があるうちが華。