結月でございます。
暑いと食欲も乏しくなるもので、夏生まれなのに夏が苦手なわたしは暑いと人並み以上にへばる。しかし、夏でなくとも食べたいものが特にないようになって久しく、はっきり言って何か食べてもおいしいとかそういう嬉しさはない。つまり興味がない。
なんて言いつつ、栃木の田舎にいると時々、極上のフレンチが食べたくなってしまい、
「今からパリ行く？」
というより東京でいいのだけれど、ちょっとまともなものが恋しくはなる。
ただ、食べ物というのは食べたら仕舞いであるから、食べるものに金をかけると翌日に後悔する。ああ、なんだ、あんなに金かけたものがこんな姿かよ、と朝の便座で絶望する。
お酒に関してもそうで、バッカスに愛されたわたしも今やお酒を飲むのが面倒なのである。それでも人と泊まりに行ったりしたら飲むのであるが、飲むとやっぱり疲れる。飲んだ直後から疲れる。ばったりと横になってぐったりである。
だから飲まなくてもいいかと思いつつ、飲まないのも寂しいからちょっとは飲むと、やっぱりぐったり。
今は公演の準備が本気と書いてマジと読むほど多忙であると、公演以外のことは何をするのも面倒に感じてしまい、料理を作る気もしない。
それなのに先日はゴーヤがあったからゴーヤチャンプルーを作ったら適当に作ったのに、
「いいじゃん！なかなかいいじゃん！」
なんて出来栄えになってしまう不思議な現象。
あーめんどくさー あーめんどくさー
すべてのことが短縮、最短でできればいいのにと思うと、どーでもいいことがめんどくさくなってしまい、この間は奥日光に泊まりがけで行ったら食事にすき焼きが出てその生たまごを割るのがどういうわけが猛烈にメンドーに感じて、玉子を割る気力も湧かないから隣にいた長い付き合いの生徒に割ってもらった。
ビュッフェとなると、そこまで取りに行くのがめんどくさい。あーなんでもいいから、取ってきてくんなーい。アタシ、立つ気力もないから。
すると朝食もビュッフェで仕方がないから自分で取りに行くと、食べるものを選ぶのもめんどくさい。
そういえばホテルの夕食でその説明を丁寧すぎるくらいされてしまって、早く生ビールを飲みたいわたしはイライラ度マックス。
しかし、なんでニッポンはこうも説明が長いんだ。そんなこと、言われんでもわかる。わからんかったこっちから訊くわ。
クレーム対策なのか、丁寧すぎるのがサービスの品質だと勘違いしているのか、説明過多。そういうのは丁寧というのではなく、冗長というのだよ。
まあ、今は説明されないとわからない人が多いからそうなるのかもしれない。しかし、余計な説明が大嫌いでその時間が我が人生で無駄にされていると思うともう我慢できん。
あーめんどくさー
と、そのクソ長い説明を聞く。
「もうええから、あんた、下がってええよ」
なんてホテルの女に言ってもいいが、それはそれで角が立つし、ホテルの従業員も仕事でそう説明しろと言われているだけだからそんなこと言っちゃかわいそうだから客のわたしが我慢する。
何の意味のない、無駄でしかない、何のメリットもないことにかけられる時間が反射的に受け付けなくなったのは、わたしの生き方の変化かもしれない。
どこぞの店に行って会計をすると、
「ポイントカードありますか？」
と訊かれ、
「Tカードなのか、楽天なのか、ポンタなのかなんやねん？」
と思う。
楽天を言われば、財布から楽天のポイントカードを出し、Tカードを言われればTカードを探す。
あーめんどくさー
そんな小さな時間があるなら、少しでもコンサートのチケットが売れるようなことに時間を費やしたい。ポイントなんか付与されてもたかが1円やないか。チケット一枚売れば、その9500倍やないか。
と、日本の説明過多や無駄な選択肢の多さに普通に生きててもめんどくさくなる。
そんな中、クルマの運転だけはめんどくさくない。クルマは遠いところまで行けるから楽しい。であるからして、5歳の愛娘を連れてお出かけする。
しかし、わたしがめんどくさい症候群になっているのもきっと5歳児がいるからに違いなく、ここにかなりの労力を費やされている。
というわけで、
あーめんどくさー
あーめんどくさー
とばかり言っている。
でもそれは些細なことすらメンドーに思えるくらい、充実しすぎているってこと。
やるべきことがあるからこそ、やるべきことに関係ないことはめんどくさいのである。
