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栃木プロレスを応援する。

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結月でございます。

先日、宇都宮のオリオン通りを歩いていると、そこにある野外広場でプロレスをやっていた。それは栃木プロレスで、とちテレで見たことがある。

普段は寂れたオリオン通りであるけれど、プロレス会場にはそこそこ人が集まっていた。あれだけマイクで大声出していたらさすがに立ち止まる。

栃木プロレスは昨年立ち上げられたばかりの新しい団体らしい。

そんなプロレスを遠くから眺めていたら、ものすごくB級っぽくて楽しかった。

プロレスにはあまり詳しくないわたしだけれど、プロレスの明るいアホらしさがよく、派手な攻撃をしているようでそれは力を抜いていて、受けたほうのリアクションがまた大袈裟で、あたかも大きなダメージを受けたかのように振舞う。

あくまでプロレスであって、格闘技ではない。だから乱暴に見えて乱暴ではなく、ショーなのである。

場外乱闘の盛り上がりにはこれまた笑ってしまって、プロレスとは実況があるからこそおもしろいのだとわかった。

白人のレスラーがいて、それは図体がデカく、いかにも悪役なのであるが、ヒョロヒョロ体型でピンクの衣装を着たゴレンジャーっぽいレスラーはその悪役にペシペシとチョップをする。すると白人レスラーはいかにもカタコトな日本語の発音で、

「キモチイイー!」

と、ガッツポーズ。

これには最高に笑ってしまって、わたしはプロレスのアホさをオリオン通りで愛したのであった。

そんなやらせのまま一応勝負がついて、負けた方のレスラーはいかにも悔しそうな顔でリングをうろつきながら客席を睨みつける。それはまたエンターテイメント。

地方のプロレス団体だからそんなにすごい選手はいないのだろうが、なんだか栃木プロレスには好感が持ててしまって、また見たいと思う。

乱暴であるのに平和的に感じてしまうエンタメ。こうしたイベントがやられるうちは日本は平和だと思うから、栃木プロレスを応援することにする。

また栃木の魅力はB級感だとわたしは思うが、そのB級なほのぼのさ、どこか牧歌的なダサさがあっていい。

そんな栃木プロレスを見てからそのまま二荒山神社へ。毎週、ここでお参りしている。

ちなみに奥日光にも二荒山神社があるが、この二つはまったく別物の神社であるらしい。

お参りを済ませてから、とあるビルの最上階にオタクショップに赴く。

綾波レイちゃんのフィギュアで持ってないものを見るとまた欲しくなってしまう。とはいえ、出来が悪くて綾波レイちゃんにいちいち似ていないものには嫌悪する。こんなデタラメなレイちゃんを作るんじゃねえ。

綾波レイちゃんグッズを追加する欲望を抑えつつ、でも今度行ったら多分買うと思う。

さて、オタクショップには同人誌も古本でたくさん売られていて、鬼滅の刃で煉獄さんと善逸のBLがあってこれまた笑ってしまった。

上半身の服を脱がされた善逸の胸に煉獄さんが手のひらを滑らせている表紙で、なかなかうまく作るものだなと感心した。

創作はオリジナルを生み出すのは才能であり、パロディにするのの才能。才能の違いはあれど、パロディによって生まれる世界もあるのはおもしろい。

しかし、オタクショップに入るのはほぼ初めてで綾波レイちゃんのグッズを買ってしまったわけだが、綾波レイちゃんを持ってレジに並ぶのは恥ずかしいなと思った。しかし実際は、オタクショップは客も店員もいかにもオタクであって、そのワールドに浸ってしまっているから逆に気兼ねすることがない。

思い出したのは、三島由紀夫がジーンズを穿いてみたいと思ったときのこと。三島は大蔵省に入ったくらいのお坊ちゃんで、戦前から厳格に育てられたため、ジーンズみたいなものを身につけるのに憧れはありつつ抵抗があった。だから美輪明宏に相談すると、

「あんなもの、上野のアメ横に行ったらいくらでも売ってるわよ」

と言われ、

「怖いから一緒についてきてくれないか」

と、ジーンズを買いに行ったという逸話。

この気持ちはわたしもよくわかるのであり、なぜならずっと銀座で京友禅の販売や着付けをやっていて、結美堂に来てくれる人に着物美を啓蒙していたから、綾波レイちゃんのフィギュアが欲しいなんてちょっとキャラが許さない。

それだけでなく、クラシック音楽も仕事にしているし、要するにガチなトラディショナルなのであり、オタクショップなんかに行くとわたしの仕事に説得力がなくなるのである。

でも、今頃になって綾波レイちゃんが好きでたまらない。わたしはああいう静かで、口数が少なくて、それでいて一直線な勇気があって、必要なことだけ喋る淡白さがあって、物を持つことに興味がないミニマリストとは違う殺風景さがあって、難しい本も読んで頭がよく、死ぬことに恐怖がなくて、生きていることにガツガツしない、そんな女が大好きなのである。

ちなみに綾波レイちゃんほどではないけれど、アニメキャラで好きなのは幽遊白書の幻海の若い時。シャキッとしていてストイック。そういうのも好き。

とまあ、綾波レイちゃんのことはサブカーのミライースを綾波レイちゃん仕様の痛車にしてもいいと思うくらい好き。

と、京友禅とクラシック音楽のわたしは綾波レイちゃんのフィギュアを追加で欲しい。

しかし思うに、京友禅の着物もクラシック音楽ももはやわたしにとって「好き」という対象でなくなっている。好きでやっているわけじゃない。好きなんていう境地はもう通り越してしまって、好きとかいう感情を抱かない。

自分からある程度の距離があって、客観的なものになっている。

客観的になれないと仕事として成立しないからで、ついでに言うとそこに対する感情がない。きっとそれがプロというものなのである。

とまあ、そんなオリオン通り界隈を歩いていた。

栃木プロレスをやっていた以外はそれほど活気はない。プロレスだって会場はそんなに広くない。

おもしろくもなんともない宇都宮の中心地で、でもプロレス見たり、綾波レイちゃんのグッズを手に入れたりした時間がいつしかいい思い出になるのだろう。

むしろそんな場所のほうがなんでもありすぎる東京よりも心象には残りやすいかもしれない。

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