結月でございます。
新庄BIGBOSSの日本ハムになってから、野球はできないくせにテレビやネットで中継があったら眺めている。
戦力としては2軍か1軍半というメンバーらしく、開幕前から野球評論家になった元プロ野球選手たちは軒並み日本ハムを最下位予想。
しかし、開幕から日本ハムのゲームを見てみると、マジで弱くて、2軍ばかりと揶揄されるのは嫌がらせではなく、ある程度事実なのだとわかった。やはり元プロ野球選手はプロだから、わたしみたいなトーシロとは違い、ちゃんと分析した上で最下位を予想したのだった。
とは言え、今日はソフトバンク相手に12点も取ってしまった。開幕したばかりのときはここぞというチャンスに見事凡退することが多く、まあそれは今もなくはないが、ちょっと最近、
「強くなってきたんじゃね?」
と、トーシロのわたしも感じるようになった。
本当に開幕当初の選手の顔は2軍ぽくて、要するに「おぼこい」顔つきだったのが、最近は精悍さが出てきて、ちょっとしっかりしてきたように思う。
戦力がない中で自分たちがやらなきゃしょーがない!という状況を日々重ねることによって、自主性というか、責任感が出てきたのだろう。
ゼロから始めるスタートアップのようであり、だから探り合いながら、試行錯誤しながらであるけれど、若くて2軍か1軍半だった選手が成長していくのがわかり、3年後には精鋭部隊になっているのではないかと期待させる。
それにみんな実力がない中で「やるっきゃない!」精神で楽しそうである。
そして最下位ではあれど、ホームランの数ではトップであるらしく、なんだかよくわからないけど頼もしさがあっていい。
強い選手を金で他所から引っ張ってくるのもビジネス的には正解であれど、駄目駄目なのが「やるっきゃない!」で次第に強くなっていくおもしろさが少年ジャンプ的で、だから弱いチームなのに思わず中継を見てしまう。
チャンスなのに絵に描いたような凡打を見て、
「駄目じゃん…」
と、 BIGBOSS同様に頭を抱えてしまう駄目っぷり。しかし、それも2軍だから仕方がないと割り切れ、そのくせ次の試合ではその選手がまぐれなのかホームランを打ったりして予想外の展開。
新生日本ハムは「馬鹿な子ほど可愛い」という格言が当てはまってしまいそうで、いつの間にか面倒見のいい人になっているわたし。
しかし、この調子で行けば1週間後には最下位脱出もなくはなく、開幕から初勝利の残りアウト一つのときなんて、まるでリーグ優勝する瞬間みたいな雰囲気が漂い、あれはおもしろかった。
新たな事業を興すときは日本ハムのようなもので、弱いけど楽しい。
楽天という企業だって今でこそ巨大企業になったけれど、立ち上げ当初のメンバーと話したことがあって、最初は安っぽい雑居ビルの一室だったらしい。そこに三木谷さんを中心としたメンバーが数名。
既存のエスタブリッシュメントな企業に就職すればいい給料がもらえるだろうけど、好きなことはいきなりさせてもらえないし、会社の歯車としての働き方になる。
でも、小さいけれど「やりたいことやろうぜ!」的な会社はエッジがあっておもしろい。
そう言えば、わたしが少しだけ勤めた会社を辞めて独立したときはスタートアップという言葉はなくて、ベンチャーが流行りだった。
スタートアップとベンチャーの違いは微妙なところであれど、ベンチャーは既存のやり方があって、ある程度それに乗っかりつつ、大きな既得権益からは離れて自分でやってしまうというニュアンスだっただろうか。
対してスタートアップは今までにないことをやろうという意気込みが感じられる。
まあどちらでもいいけれど、わたしも独立して一人で始めたときはたまらないワクワク感(死語)とドキドキ感(死語)があって、それらが不安と拮抗していた。
雇われていないから決定はすべて自分。実行もすべて自分。誰に指図されることもなく自由。それはとても快適であったが、同時に掴まる杭がない大海原で泳ぐような恐怖もあった。
新規企業の半分以上が起業3年目で倒産し、10年後となると生存率は2割ほど。個人事業主だとその生存率はさらに下がる。
つまり、最初はワクワクしていてもほとんどが生き残れない。
そう考えると、楽しさはあまり持続することなく、維持することの悲壮感のほうが大きくなる。
しかしやっぱりこの世にないものを生み出すことはおもしろくて、そういう思考になってしまうと人から指図されてやる仕事ができなくなる。既存のことなんてやってもつまらないし、既存のことを真似するようなこともやりたくない。ゼロから何かをクリエイトすることこそが価値だと思う。
日本ハムを見ていて、あの弱い戦力で新しい野球を築き上げていくというBIGBOSSの挑戦は新鮮さがあって共感してしまう。
新しい試みは得てして旧態依然とした人たちから批判されるものだけれど、批判されないものはすなわち新しいものでないということなのだから価値はない。
既存のバイアスをぶっ潰すような試みこそが新たな価値を生むのであり、批判されるものこそが次の時代の常識を作っていく。
煙たがられること大歓迎。悪口を言われること大歓迎。難癖をつけてくること大歓迎。
そんな嫌がらせが多いほど、その試みはおもしろいものだということ。そして、同時に批判はされても、ちゃんと応援してくれる人が必ずいる。
そんな応援を野球ファンでもないのに日本ハムに送っている。
そして、わたし自身も既存の考えややり方を全否定するような試みをやりたいと思っている。
悪口を言ってくる人間なんて悪口を言うだけで助けてくれることはない。ならば、そんな無責任な人は相手にする価値がない。
気にしない、というより新しい試みは忙しいものだから、金にもならないような悪口を聞いている暇はないのである。
というわけで、
「頑張れ!日本ハムファイターズ!」