結月です。
保育園が休みな日曜日。さあ、今日はどこに出かけて時間を潰すかといろいろ考えた結果、日光鬼怒川にある巨大迷路に行くことにした。
小さな子供といると、自分が大して行きたくもないところに行かなくてはならないのである。
しかし、巨大迷路なんて行くのは中学生の時以来で、
「男女7人秋物語!」
に感化されて行ったのか記憶が定かでない。記憶にあるのは部活の男女6人くらいで巨大迷路に行き、そこのスタッフのお姉さんがわたしたちを見て、
「グループ交際か〜 ええなぁ〜」
と言ったことだった。
グループ交際!? なんて死語! そんな恋愛のときめきは令和の時代にはなさそうだけど、当時はトレンディドラマが一世を風靡して、
「恋、恋、恋!」
な世の中だったのである。
と、そんな恋な中学生以来に訪れた巨大迷路で手をつないでいたのは5歳の愛娘。
日光の辺鄙なところにある巨大迷路はそのそばに噂に聞く日光江戸村がある。ここは内容に興味がない上、入場料が高いので訪れたことがない。
辺鄙なわりには日曜というだけあって、そこそこ人が多く、巨大迷路は男女7人時代から随分時が経っているのに一定の集客力があったのだった。
しかし、巨大迷路に限らず、土日の休みになるとどこかに出没するリーダーシップオヤジがいたのがウザかった。そのオヤジは小学生くらいのガキを相手に迷路の行き順をマジになって指図していて、
「あっ、そこ右に曲がって!それから左ね!」
などと実にうるさいのである。この手のおっさんは得てして声がデカい。指図しないと気が済まないタイプのオヤジ。一昔前の少年野球なんかの指導者にいそうなステレオタイプ。
あんなおっさんがいちいちうるさいと子供のさぞかし楽しめないだろうと思いつつ、リーダーシップオヤジはそんな子供の気持ちも察することなく、指図してあげることが善であると信じて疑わない。
結果としてはわたしたちは1時間弱でクリア。5歳児も楽しがっていたし、まあよしとする。
とはいえ、男女7人秋物語の手塚理美扮する一枝が、
「こんなのどこがおもしろいのかね…」
と、呟くシーンを思い出すのは、わたしの今日の気持ちだからで、正直、中学生の頃だってこんなものがおもしろいとは思わなかった。
しかし、男女7人の手塚理美は最上級に美人で、今はグレーヘアの初老になっているのに時の経過を感じさせる。
さて、巨大迷路は1時間弱で終わってしまい、まだ遊び足りないという5歳児。
仕方がないからそう遠くない日光だいや川公園にクルマを走らせる。ここは大谷川という東照宮のそばを流れるあの美しい川の公園で、かなり広い。毎年「そば祭り」が行われているが、コロナの影響で2年間開催されていない。
だいや川公園には子供が遊べる大きな滑り台などもある。アスレチックもあるがこれは小学生からなので5歳児は遊べない。
わたしがこの公園が好きなのは、憧れである女峰山が目の前にそびえているからで、将来、このあたりに住んでもいいと候補に考えている。
なぜなら、奥日光は物件が見当たらないし、あったとしても奥日光はスーパーもコンビニもないから、冷蔵庫に買い溜めをしておかないといけない。しかし、だいや川公園付近はスーパーもあるし、マクドナルドまである。それに病院もあるだろうから、「趣味・病院」も続けられる。
だいや川公園近辺なら窓を開けると女峰山だとわたしとしては最高の立地。そして奥日光にも車で1時間ほどで登れる。
そんな日光だいや川公園にはオートキャンプ場もあり、キャンプができる。キャンプをやってみたいというのがうちの5歳児の兼ねてからの要望で、わたしもキャンプがしてみたい。
キャンプといえばアウトドアクッキングが何よりも魅力であって、定番ならバーベキューやカレーなのであろうか。
しかし、5歳児とキャンプをするにしても、テントを張ったり、火を起こしたり、料理したりするのはほぼわたしであり、これは重労働である。わたしはアウトドアには興味がありつつ、テントを張ったりすることが面倒だから誰かにやってほしいと考える。
そして5歳児とバーベキューをしても大した量は食べられないし、片付けるのもわたし。
さらに星空を眺めるにしても、5歳児と話す内容はつまらないとわかっている。やはり身内というものはこういうシーンには向かない。
キャンプを楽しむにはトークが尽きない相手を選ぶべきなのである。
よくGWなどに家族旅行に出かける成田空港のインタビューがあるが、わたしは身内で旅行に行くことが理解できない。身内と旅行したって話すことなどないじゃないか。何が楽しいのかさっぱりわからない。
共通の趣味があるとか、話しているとおもしろくてたまらない変わり者とか、そういう人とならキャンプをしても楽しいに違いない。
そして、アウトドアの食事ではビールなど酒が主役にもなり、外で飲むビールは格別なのだろう。
しかし、飲み食いしているときは楽しくても、酔っ払えばすぐに寝たいわたしはアウトドアで快適に眠れない環境はかなりシビアなものに思える。
となると、星空を眺めるためにはノンアルコールに徹したほうがいいようで、しかしそれもちょっとつまらない。
そう考えると、ソロキャンプが一番良さそうで、一人で自分が食べたいものを食べ好きなときに一人で寝る。
というわけで、愛娘をキャンプに連れて行ってやりたいと思う気持ちはあれど、わたしに負担が大きすぎるし、それほどおもしろくないとやる前からわかっているから行動に移していない。
やはり一人でいるのが最も幸せという自分の性格は変えられそうにない。わたしは一人で好きな映画でも見ながら好きなものを食べて、ハイボールでも飲んで、猫と一緒に寝る。これがメガマックスに幸せなのである。
しかし、そんな幸せばかりだと人間は廃人になるから、エキサイトするような仕事をしてみたり、愛娘を巨大迷路をしてみたりしているのである。
何時間も話しておもしろい人なんてそういやしない。いたとしてもずっと話していたら疲れてしまう。
それなら一人でいて、ずっと黙って静かにしているほうが快感。
だから、家族旅行なんてゲスなもので、喧嘩でもしたら最悪な気分。しかし、身内は他人とは異なり、図々しくなる関係だから喧嘩が起こりやすい。
良好な関係を築くには、
「一緒にいないこと」
に尽きるわけだから、わたしも愛娘が大きくなるにつれて、距離を離していく。そもそも親と関わり続けることはいいことではない。
とはいえ、一人になれるのはまだ先のようである。