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ギャップ萌えを演出しろよ。

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結月でございます。

ここんところ、音楽事務所、あっ、クラシックのね、音楽事務所、まあ、言ってみればエージェント会社だよね、つまりプロダクションではない、と、そういうことはどーでもいいんだけど、そんな音楽事務所に電話かけたりしている。

するとさ、保留の音楽が決まってヴィヴァルディの四季だったり、ベートーヴェンのスプリングソナタだったり、クラシックの曲をちゃんと使ってるわけ。

まっ、そーゆーのがフツーだよねっ!なんて思いつつ、アタシは、

「つまんねー」

と同時に思っていて、だってクラシックの事務所だから保留中の音楽がクラシックってベタ過ぎじゃね?

アタシが事務所をやるんだったらクラシックの名曲なんか絶対に使わなくて、う〜ん、そーだなー、例えば、

「北斗の拳のテーマソング」

とか、

「長渕剛のハングリー」

とか、

「X JAPAN」

にしてみるとか、

「吉本新喜劇のオープニング」

とかにするかな。そして、担当者が保留ボタンを消すと、

「ええっと、バッハのチェロ組曲の件でしたよね?」

なんて言う。

こーいうのがシビれると思うんだけどさ、みんな真面目だよねー。

と、ふざけたことを言ってみるが、実際のところは演奏者のことはちゃんとマネージしてもらわないと困るので、ふざけないでちゃんとクラシックの名曲を鳴らしてちゃんとした会社なんだと安心させてもらうほうが有り難かったりする。

でも、

「少々お待ちください」

と、電話が保留になった途端、エレキギターのサウンドが流れ、

「YOU は SHOCK!」

って、北斗の拳のテーマソングが流れたら世の中おもしろいのになー そしたらこっちも乗せられて、保留中に北斗の拳の歌を歌っちゃったりして、

「指先ひとつでダウンさ〜!」

と歌ったところで、

「お待たせしました」

なんて担当者が出たりして。

まあでもさ、アタシなんて生き方がマルチプルだから、いろんなことをやったりしちゃうわけで、そういうタイプから見るとアンビバレントなものがおもしろいって思うわけよ。

相反するものが内在しているって、ギャップ萌えとも言えるけれど、人間、見た目のまんま、なんてつまんないよ。

クラシックやってるからクラシックしか知らないって演奏者でもそういう人が多いけど、クラシックやるんだったら、クラシックでないことをたくさんやったほうがいい。

バイクを乗り回してみるでもいいし、オリ番のときは必ず釣りに行くでもいいしさ、クラシック以外のことをやることだよ。

まあ、一流の奏者ほど演奏会で忙しくてその暇もないって事情があるにせよ、音楽しかやらないと世界観が狭い音楽にしかならないよ。

音楽とは森羅万象であり、すべての行為が人間の行為なのだから、すなわちそれらはすべてが音楽に繋がってくる。そういう奥行きが深い人がやっぱりいい音を出す。

自分は和食の料理人だからって和食しか興味ないんじゃ、ただの和食しかできない。和食が自分の軸足でもジャングルの奥地でサバイバルやってみて、蛇を捌いて食うとか、豚を焚き火で丸焼きにしてみたりとか、要するに自分の世界観にないものに積極的に触れていこうと思わないとただの和食しかできない。

一流の料理人になると、自分の専門外の料理を研究してみたりと好奇心が強い。

ともかく、クラシックをやってるからクラシックしか知りませんじゃ、新しいことはできない。そういうことはすべての専門分野に言える。

だから、人の魅力ってアンビバレントであって、こういう人だと思っていたら真逆の趣味を持っていたとか、そういう意外性があると会話って弾むよ。

そうすると、交流範囲もものすごく広がる。専門分野だけの世界にいると同じ世界の人としか付き合わなくなる。典型例が学者の学会で、ああいうのは閉鎖的でどうかと思うよ。もちろん、とことんまで突き詰めるという意味ではいいところはあれどね。

ともかく、ひとつの世界の中だけにいると、代謝が悪くなってくる。多くの会社員が楽しそうに仕事をしていないのは、会社という組織に代謝がないからで、淀んでんのよね。そういうのって、酸素濃度が低い泥水の中にいるようで、魚だとどんどん死んでプカプカと水面に浮いてくる。

まあ、一番淀んでるのは役所だよね。市役所に住民票を取りに行っても、職員が仕事している風景って思いっきり淀んでる。

わたしには愛している女バーテンが銀座にいるんだけど、彼女なんておもしろいよ。バーテンやってるけど、プロのダンサーなの。そして歌も歌える。ミュージカルにも出てる。だから、よくカウンターで飲んだんだけど、バーテンだけど酒の話するよりタップダンスの話を聞いたりするとおもしろいんだよね。わざわざ酒飲みに行って、酒の話するとかくだらない。酒でない話ができるところに魅力がある。

わたしなんかもクラシックの仕事をしている反面、正直言って今更クラシックの話をするのってつまらないんだよね。バーに飲みに行って、バーテンと酒の話をする客もものすごく多いけれど、わたしは同じ世界の話はしたくないタイプ。

そんなことよりもツヴィリングの店で包丁の話を聞いたり、モンベルに行ってリュックサックの話を聞くほうがおもしろい。だって、知らないことばかりだからね、自分にとって。

でも、そういう話をたくさん聞いていると、なんていうかさ、表現の幅が広がってくるんだよ。感性の幅も広がってくる。

高級な包丁を買って喜んで料理していると、いろんな材料を切ってそれらを炒めたりする。ああ、これってオーケストラだよねって思う。食材のひとつひとつが楽器のパートでさ、その割合も大事で、それらが調和しながら料理になるってオーケストラの音楽だよ。刺身なんて無伴奏みたいなものだね。

だから、多分わたしの音楽に対するイメージって音楽から来ているものでなく、音楽とは関係のないところから来ていて、それが音楽に向かっている。

演奏家だったら譜読みは大変重要だけれど、その音符に落とし込む素材が自分の中にないと机上空論っていうか、リアルな存在感が出ないよね。一流奏者とそうでない奏者の差ってその素材の量だと思うね。

だからまあ、音楽は森羅万象。

森羅万象なんだから、音楽だけやってても世界観の広い音楽はできないよ。

というわけで、クラシックの事務所だからって保留の音楽がヴィヴァルディとかじゃなくて、北斗の拳のほうがおもしろいということ。

言いたいことは本当に北斗の拳にしろという意味でなく、アンビバレントを破れってこと。

でも、さっきも言った通り、事務所はエージェントだから余計なことはせず、ヴィヴァルディでいいッス。あくまで北斗の拳は思想の比喩です。

まあ、なんだかつまんないなとか、ちょっとメンタル病んでるなってときは自分にないことをやるのがいいよ。

髪切ってみたり、髪染めたりしてみるっていうのでもいい。

自分らしくないことを敢えてやってみる。そんなギャップ萌えを自己演出していくといつしか世界が広がって楽しくなるから。

ただし、そのギャップ萌えのための行為は真剣にやること。中途半端じゃ、世界は広がらない。

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