結月でございます。
年齢による区分を待っていたらワクチン接種券が届くのが今月末になるということで、わたしは役所に喘息という名の基礎疾患持ちだと申請し、接種券を早くもらった。
さあ、これで大規模接種会場に行ってこようと思いサイトを見ると、7月は空きがないとのこと。
マジ!?栃木のローカル新聞「下野新聞」の見出しをコンビニで立ち読みしたときは大規模接種会場が低調で半分も予約が埋まってないと書いてあったから期待していたのに!
年寄りはそこまで行くのが遠いらしく、さらにかかりつけで受けられるようになったため低調だったらしいのが、年齢制限をなくしたせいなのか一気に空き枠なしになっていた。
なんとも羨ましいほどの即売ぶりで、クラシックのコンサートもこれほど爆速でチケットが売れてくれればと妬む。
コロナワクチンはまさしく不要不急の対極にあるもので、今、すぐに、ダッシュでほしいものだから予約が取れないほどの盛況ぶり。音楽という名の不要不急は辛いもんやデ。
そして、定期的に通っているかかりつけのクリニックに電話すると、今度診察するときに相談してくれと言われた。
今度と言っても6月25日に行ったばかりで、次に行くのは1ヶ月も先になる。やはり小さいところはワクチンの数も限られているのか、どうもシャキッとしない。
市内でやる集団接種会場もサイトから接種番号を入力してもエラーが出る。つまり、高齢者からやっているものだから、わたしがいくら喘息持ちだと言っても年齢で弾かれるのである。
仕方がないからかかりつけのところに1週間ほど間を開けて、
「すんません、診察お願いします」
と、トボけた顔をして薬をもらいに行くフリをして、
「あの、ワクチンも予約したいんですけど」
と、滑り込もうと思ったが、
「そう言えば、昨年末に人間ドックを受け、年明けに恐怖の大腸カメラを突っ込まれた総合病院があるやないか!」
と、思いたち、大きいところはケチなこと言わんやろ、と電話をかけてみる。
すると、さすが大病院は懐が大きく、定期的に通っていなくても受け付けてると言われ、ワクチン専用ダイヤルを教えてもらう。
しかし、1回線しかないから、つながりにくいとも言われる。しかも受付は9時から11時半の午前中だけ。
早速、4歳の愛娘を保育園に送り、9時に電話するもつながらない。リダイヤルするもつながらない。
まあ、1回線だけで、一人当たり3分は通話しているとなると、仕方がないか。しかも高齢者ばかりだと話が通じず、なお一層時間がかかるのだろう。
と、朝食を買いにスーパーに行き、そこの駐車場でも電話、店内でも電話。でも、ツーツーとだけでつながらない。
こりゃ、激戦やデ。と覚悟を決めつつ、結美堂に戻り、電話をしてみるとかかった。
予約を申し出ると、
「急ですが、今日って大丈夫ですか?」
と、訊かれる。
「ちょうど14時の枠でキャンセルが出たんです」
マジ!ブラボー!愛してる!行く行く、行くよ!
自営業者で自由の身のわたしはいくらでも時間の融通が利くのである。
病院側もホッとした模様。そりゃそうだ。キャンセルが出たら代わりを見つけないとワクチンが廃棄処分になる。ワクチンは1瓶で六人分だったっけ。
と、いきなりワクチン接種ができてしまうことに自らに強運を感じる。
いや、これは強運というより営業力だと思う。
14時に着くようクルマのエンジンをかける。すると、わたしがガレージから出て1分後に雨が降り出す。大粒の雨である。さっきま降っていなかったのに降り出した。
心ときめくと雨が降るという神がかり的雨女のわたしはまたしてもやっちまった。ワクチンがいきなり打てることに心昂っていた。
突然の雨が降るシーズンだとは言え、外に出てすぐに雨が降るという偶然ではない雨の降り方。これは何度も経験している雨女の実力。
時間通りに病院へ行くと、毎度のことながらじいさま、ばあさまばかりである。田舎は高齢化が如実に見える。しかも古くからある総合病院だから、余計に年寄りが多い。
わたし以外はすべて年寄りだった。待合室に大勢いるもスマホを眺めているのはわたしだけ。
どうやらワクチン1回目はわたしオンリーで、あとは皆、2回目だそうだ。
病院の職員も耳が遠くて会話が成立しない老人など、見ているだけで気の毒になる。番号を呼ばれても車椅子で自走不可。杖で立ててもヨボヨボで診察室まで職員が手助けする。
ああ、ニッポンの姿や!
と、バリバリ現役世代のわたしは格の違いを見せつけて、スタスタと診察室に行く。そしてワクチン注射。
ところでこの日はモンベルのTシャツを着て行った。予約の時に肩を出しやすい服と言われたからである。
しかしわたしは半袖が嫌いで一着も持っていない。脱げばいいかと思いつつ、それも手間だと感じ、そう言えば宇都宮のセレクトショップで買った恐ろしく趣味の悪いTシャツがあった!
それは前も後ろも金色で龍がプリントされたヤクザ仕様で、あまりの趣味の悪さに面白半分で買ったものだった。
しかし、それは値札がついたまま1ヶ月以上も下駄箱の上に買ったまま放置されていて、自分の身なりに興味がない性格のままになっていた。
それを着てもいいが、値札を取るのが面倒だし、ワクチンを打ちに行くのに過激に趣味の悪い服じゃ、ちょっと病院では場違いだと思う。せっかくキャンセル分を回してもらったのに柄の悪い身なりはちょっと非礼な気もする。
と、思い悩んだところで、そう言えば昨年の初冬、奥日光の太郎山を結美堂山ガール部で目指した時に買ったモンベルのTシャツがあるのを思い出す。氷点下になるであろう太郎山にビビって買ったものだった。
というわけで、モンベルの無地で大人しくする。
打ってもらうと普通の注射だった。当たり前だ。ワクチンなのだから。
あっという間に終わり、15分経過観察をして結美堂に戻る。
副反応とか言われるけれど、なんともない。しかし、なんともないとちゃんとワクチンが入ってるのかとも思う。
そうすると、押さえるとちょっと痛い感じになってきた。よかった、よかった。ちゃんとワクチンは効果を発揮するプロセスに入っている。
ということで、来月のはじめに2回目を打つことを考えれば、お盆が終わる頃にはわたしは安全な体になる。
有効性は100%でないにしても90%以上はあるし、変異株にもしっかりと対応している。お盆を過ぎれば、現実的にはコロナに感染することはないと考えていい。
と、予想外にいきなりワクチン接種できてしまった喜びを自慢しようと取引先業者の馴染みの女に電話した。すると彼女はまだ接種できていないという。
よかった、これで自慢が成立した。先に打たれていると、
「へえ〜そうなんだ」
と、涼しい顔を演出しなければならなかった。
しかし、こんなしょーもないことで会社に電話できるのも気のしれた仲であるからである。
「緊急事態宣言が終わったら、飲みに行こうや」
と、電話を切る。
さて、今回のわたしのワクチンはファイザー製であった。わたしとしてはモデルナがカッコいいと思っていて、大規模接種会場を狙っていたがまあ仕方がない。中身はそれほど大差がないから。
とは言え、モデルナのほうがバイクで言うとカワサキって感じがして、わたし好み。と、バイクは乗れないくせに乗ってみるならカワサキがいい。
ファイザーはホンダって感じがする。さらに言えば野球のセリーグ、パリーグみたいなものか。
と、くだらないことを考えつつ、3週間後の2回目を心待ちにする。
新しいものが好きだから、新製品、しかも人類史上の英知の傑作と言ってもいいmRNAワクチンを早く肉体に取り込みたい。
1回接種は一次試験を合格した大学受験みたいな気持ちで、二次試験をいち早く突破したいのである。
ともかく、河野大臣も早ければ10月までには希望する全国民にワクチン接種が終わる予測であるから、涼しくなった頃にはコロナは話題になることは少なくなるだろう。
時々、ワクチン未接種の人が感染するくらいで、ワクチンがあるのに打たない選択をした人が感染しても社会は同情しやしない。打たないあなたが悪いんでしょ、と。
11月の公演はもう間違いなく大丈夫だろう。もしかすると公演後の打ち上げだってできる状態かもしれない。
しかし、ワクチン接種に関しては本当に政府はよくやっている。1日で100万回どころか150万回の日だってある。驚異的なスピード。あまり知られていないけれど、コロナに関してはものすごく大きな予算を組んで実行している。
あとはワクチン陰謀論などの悪質なデマをどうやって駆逐していくか。それが政府の大きな課題。
厚生労働省も子宮頸癌ワクチンの失敗からか、らしくないほど頑張っている。
政治的なことはあまり言いたくないけど、わたしは菅政権でよかったと思うよ。菅首相でないとこれだけの実行力はなかったと思う。
でも地味だし、色気路線の政治家じゃないから、やることはちゃんとやっていても支持率が上がらないのが気の毒だけれど。
さて、1回目のワクチン接種も終わり、わたしは公演に向けて一直線だよ。公演の頃はオーケストラメンバーも合奏団もソリストも、そして来てくださるお客さんのみんなワクチンが完了している頃だから、安心してコンサートがやれるね。
気兼ねなく音楽を体感してほしいよ。