結月でございます。
今日は4歳の愛娘と那須の千本松牧場へ。確か先週も行ったから毎週行ってる。
クルマで1時間ほどでなのと、ヤギに餌をやるのが楽しいから行く。そして、ソフトクリーム。
クルマの中では最近、カーオーディオをかける。
「モーツァルトのジュピター、ききた〜い」
と、後部座席から4歳児の声。
そうなのである。4歳児はジュピターという単語を憶えたのである。
それはマンションのミニコンポで音楽を聴くようにしているからで、わたしがモーツァルトをかける率が高く、ピアノ協奏曲や交響曲をかける。
4歳児はモーツァルトがどのCDだかわかっていて、
「モーツァルト、これだよね」
と言うと、ブルーノ・ワルターの交響曲のボックスCDを出してくる。それは36番、38番、39番、40番、41番が入っている。
そんなわけでジュピターはよく聴くのだけれど、ジュピターはクラシック史上、わたしが大、大、大、大、大、大好きな曲で、わたしは本気と書いてマジと読むほど、文字通り死ぬほどジュピターが好きなのである。
と、4歳児の前でもジュピターの好きぶりを発揮し、ジュピターがこの上なく美しい音楽であることを4歳児相手でも容赦なく力説するわたしを理解したのか、ジュピターという言葉を憶えた愛娘。
クルマに乗っていて4歳児のほうから、
「ジュピター、ききた〜い」
と言ってくれる。
「マジ!? アタシも聴きたい!」
今日は千本松牧場まで後期三大交響曲をベルリン・カラヤンのCDをかける。ちょうど牧場に着くくらいにジュピターの最終楽章。
しかし、モーツァルトのシンフォニーをかけながら運転すると、気分が高揚してスピードが超過し、さらさらと追い越してしまうアレグロ走行。
と、カーオーディオでモーツァルトを聴いても退屈しない4歳児はなかなかマセていると思う。わたしが4歳の保育園児の頃はもっとただのガキだった。モーツァルトとは無縁の世界にいた。
そして、帰りはわたしがモーツァルトのアイネクを歌うと4歳児はそれに同調して、
パン、パパン、パ、パパパパパーン!パン、パパン、パ、パパパパパーン!パッパーパパパ、パパパー、パパパ、パパパー、パパパ、パパパー、パパパ、パッパ、パラパラ、パッパ、パラパラ、パッパ、パラパラパー!
と、一緒に歌っている。
「あー楽しいわー モーツァルトを一緒に歌ってるって楽しいわー」
と、4歳児と言えども理解者がいると楽しい。
そして、マンションに戻ると、EテレでN響をやっていた。過去の名演奏でチャイコフスキーの交響曲第3番をやっていて、
「おおぉ!アタシが大好きな曲!」
チャイコフスキーの3番はマイナーではあるけれど、実に純粋な曲で、モーツァルトっぽいところもあり、まだチャイコのネチネチしたところが少ないから曲として美しい。
それを見た4歳児は、自分も弾くと言い出し、1/10サイズの子供用バイオリンをケースから出して、いきなり弾き出した。
アタシが大好きなチャイコの3番のメロディーに混入するまだ上手とは言えないキラキラ星。しかし本人は頑張って弾いている。本音は静かにしろと言いたかったが、それは言っちゃいけない。
でも、楽器というのはそうやって勝手に弾くのがいいのだ。弾けと言われて弾くもんじゃない。弾きたいから弾く。これが基本。
とまあ、子供というのはやはり環境なのである。遺伝要素はあっても環境が最も影響力が大きい。
というわけで、蛙の子は蛙。
わたしがモーツァルトが好きだから、愛娘もモーツァルトが好き。というか、まだたくさんの音楽は知らないけれど。
感受性って大事だから。
感受性がない人間って、何をやっても雑だからね。心の襞はなきゃね。音楽でも絵画でもなんでもいいけど、上質な文化に触れる効能は感受性を得られること。
そして、感受性がある人間のほうがおもしろい。おもしろいと人が集まり、いい仕事もできるようになる。
わたしが思うんだけど、仕事とか、いろんなところでつまんない思いしてる人っていうのは、多分感受性が乏しいと思うんだよね。乏しいから感受性のない雑な人が集まる職場にいる。
感受性がないと行動に色気が伴わないからますますつまらなくなる。
でも、感受性って子供の頃に身につけておかないと大人になってからどうこうなるものでないから手遅れなんだけどね。
と、わたしは音楽の仕事しているときが大変楽しくて、それは感受性がバリバリな人たちと一緒に仕事するからじゃないかな。
仕事でなくとも音楽の話をしていると楽しい。
と、そんな楽しさを4歳児と共有できて、これまた楽しい。
愛娘が大きくなるにつれて曲のレパートリーも増えるだろうし、小学生になったらコンサートにも行ける。
将来、パリに一緒に行っても、滞在中はコンサートに行きまくったりできて、これまた楽しい。
しかし、4歳でジュピターか…
わたしがジュピターをちゃんと聴いたのは高校生のときだった。家に古くからあったLPレコードで、それはグラモフォンのカール・ベームのもの。
わたしより10年以上も早くジュピターを聴いている。
やっぱり子供は環境。