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カメラを止めるな!がすごくいい映画である理由

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結月でございます。

今更ながらに『カメラを止めるな!』を観る。それはGYAO!で無料配信されていたからでスマホで観た。劇場で観ておけばよかったと後悔する。

この映画が話題になったとき、いつも一緒に映画を観にいく愛人に、

「カメラを止めるな!がおもしろいみたいよ」

と言ったら、

「もう観たよ」

と言われてしまってそのまま。

地上波で放映されたのも知っていたけど、3歳児がいて観れなかった。

というわけで、今頃になって観てみると、評判通りものすごくいい映画だった。

ソンビ映画から始まってそれは映画の撮影だとわかる。そのままストーリーはゾンビ映画の撮影現場として進んでいく。ずっと観ていて、

「おいおい、マジかよ、これ。映画が始まってからずっとワンシーンワンカットじゃん…!」

と、ビビり始める。スマホの画面を見ると、もう30分もカットがなく、長回しでゾンビ映画の撮影現場の映画を撮っている。

これだけの芝居をワンシーンワンカットで撮るなんて、これはかなり練り込まないといけない。普通できるもんじゃない。どの役者も一度たりともNGが許されない。

それに30分となるとフィルムではロール缶の限度があるから無理で、だからビデオを使っているとわかる。

そしてずっと手持ちカメラ。オートフォーカスだからできる映像。

「とんでもねえことやってのけるな…」

と、映画手法的に感動する。

途中、ゾンビから逃げる女の子をカメラが追いながら、その後ろ姿をズーミングするところがとてもよかった。ズームの特性が効果的に出ていた。

ゾンビから逃げる場面を追うカメラが地面に落ち、斜めのアングルのままになるところで、

「ああ、これも映画の中の映画なんだ」

と、わかった。

つまり、映画の中で映画を撮り、その映画の中で映画を撮っている構造。

映画で映画を撮る映画は『蒲田行進曲』が有名かな。そして、フランソワ・トリュフォーの『アメリカの夜』もそうだね。

さて、『カメラを止めるな!』は後半からそのゾンビ映画がどういう経緯で撮影されるかが再現される。その中の人間模様が実におもしろい。

映画をやったことがあると、それがリアルに伝わってきて、

「そうなんだよ、そうなんだよ」

と、共感する。

生意気な若手俳優やプロデューサーには頭が上がらない監督の立場、撮影現場で酒飲む俳優。それらが本当にリアルで笑えた。そして、それを描くことで『カメラを止めるな!』の監督は映画界を皮肉っている。

そんな事情を真っ向から批判するのではなく、コメディにしたところがこの映画のいいところ。

映画の中で映画を撮るだけの映画だから内容に深みはない。でも、映画っていいよなっていう初心に満ち溢れていて、映画らしい映画だった。最初から最後まで映画愛に満たされていた。

内容がディープで重い映画は衝撃的だけれど、撮るのはそんなに難しくはない。難しいのは軽いタッチで笑わせる映画。

そういう意味でエルンスト・ルビッチやフランク・キャプラ、そしてビリー・ワイルダーはすごいんだ。

しかし、ワンシーンワンカットで30分もの映画を撮ってしまうのはとてつもないこと。その臨場感が生放送というあり得ない設定であるからドタバタが成り立つ。

いやいや、参りました。素敵な映画でした。

やっぱり映画というのは楽しいものじゃないとね。映画は観て楽しいものがいいんだよ。

映画を観終わって、ちょっと幸せな気持ちになって、それからお酒でも飲みに行こうかって気持ちよくなる映画がいい。

だからこそ、映画って好きな人と行くものなんだよ。

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