結月でございます。
三連休。
「さて…」と、どこへ行こうか考えなければならない保育園のない休日。
3歳児とクルマの中でミーティング。
「どこ行く、今日は」
コロナがまた騒ぎ出したと言っても、三連休。天気もピーカン。外出を控える人が多いと助かるんだけど…と期待を寄せるも、
「いやいや、やっぱ多いでしょ、今日は」
なんて言い合いながら行き先が決まらない。
いや、実は昨日決まっていた。それは、
「お馬さんに乗れるところ」
というリクエストで、それはすなわち那須にある千本松牧場。
ここは以前行ってお気に入り場所になっている。でも、当日になって、
「混むんじゃないか」
と、わたしがなんとなく躊躇して歯切れが悪い。
結局、クルマの中で時間ばかりが過ぎてしまい、3歳児が、
「お馬さんのところに行くよ!」
とキッパリ言うものだから、
「そうだね。考えてる時間がもったいないもんね」
と、エンジンをかける。
1時間半ほどで到着してみると、やっぱり駐車場はほぼ満車。でも、端っこのほうの駐車場は空いていた。
GoToがあろうがなかろうが、いい季節だから千本松牧場は多くのひとの狙い目。とは言っても、それはほとんど栃木県内での話で、都道府県魅力度ランキングでわたしの懸念のまま、ついに最下位になってしまった栃木県は全国からシカト状態でGoToからもスルー。
そもそも栃木県がコロナの感染地域でないため、それを栃木県内の移動でしか消費されていないと考えると、栃木県は東京から近いのに不名誉な安全地帯になっている。
と、コロナが蔓ようがない超絶屋外の大自然の中、まずはわたしたちは名物のソフトクリームを食べた。
しかしながら、名物とは言っても、正直申し上げて味は普通のソフトクリームなのである。
そして、これまた名物のジンギスカンを食べてみた。お腹が空いていたからで、
「普通はご飯を食べてからデザートのソフトクリームだろ!?」
というわたしのアドバイスを聞かないのは3歳児ならではで、仕方ないからデザートから先に食べる。
ジンギスカンは名物とは言っても、これまたどうってことない味で、一口に言って安物なのだけれど、1人前でご飯と味噌汁がついて税込1450円だから、文句はない。適正価格。
この1人前を3歳児とシェアして食べる。
どうってことないものだと事前にわかりつつも、あえてこれを選んだのは、こうして3歳の愛娘と二人並んでジンギスカンを食べるのもいい思い出になると思ったから。
つまり、味に金を払ったんじゃない。思い出に金を払った。
わたしは小さな頃に父に連れられていろんなところに遊びに出かけていた。そしていろんなものを食べたわけだが、そういう記憶は父にも残っているらしく、わたしが大人になっても、
「木村屋のオムライス、うまかったよな」
なんて言っていたりした。
木村屋というのは、京都の三条通りにあった小さな洋食屋で、京阪三条から平安神宮の方面に向かう途中にあった。
小学生の頃は、その界隈にあった画廊に毎週のように入り浸っていて、前衛画家の作品を見たりしていた。
さらにその先には京都市立美術館などもあり、展覧会にもよく行っていて、絵を見た帰りには木村屋でオムライスを食べるのが定番だったわけである。
しかし、父は小さなわたしをよく連れまわした。新京極で映画を観れば、そのあとは寺町京極にある「キムラ」ですき焼きを食べた。そして、ロンドン焼を買って帰るのである。
とまあ、そんな生い立ちなものだから、わたしもそれを継承していて、土日になると家にいることはせず、どこかに連れて行く。
ちなみに明後日は、愛娘のとって初めてのクラシックコンサートで、今年の奥日光コンサートでも演奏してくれたメンバーによる弦楽四重奏。
未就学児童は普通は入れないところを親子席でオッケーという恵まれで、3歳にしてドボルザークとベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴く。
バイオリンを習っている愛娘はわかっているのかどうだか曖昧ながら、コンサートに行くことを実に楽しみにしていて、何度も「コンサート」と口にする。
「テレビでやってるやつ?」
と訊くから、
「そう。あれあれ」
と答える。
NHKの音楽番組をたまに見ているから、それがコンサートだという認識。
ともかく、保育園が休みのときに家にいるなんて、時間がもったいない。小さな子供にとっての一日は大人にとっての十倍以上の価値があるのだから。
さて、千本松牧場でのお目当ては馬に乗ることよりも、ヤギがいるところで餌をやること。
うちの3歳児は宇都宮動物園に行っても、餌やりが楽しみなのである。
ヤギの柵の中に入ると、貪欲なヤギたちが手元のキャベツを狙ってわらわらと集まってくる。これが結構恐怖なほど傲慢で、早くキャベツをあげられない3歳児に向かってヤギが両前足でのしかかってくる。さらにはタックルをかましてくる。
ヤギの強引さに泣き出してしまう3歳児。
しかし、ヤギというのは体が小さいのに怪力の持ち主で、普段、猫としか戯れないわたしもその壮絶さにビビってしまった。
泣きながらそこを出ると、
「ヤギくんにご飯あげる〜」
と、また餌を買いに行く。泣いているくせにまたヤギの中に入りたいというのである。
結果、餌を3皿買って、ヤギに与えた。
時刻は夕刻に迫ろうとしていて、帰りの駐車場へ向かっていると、その一点だけ見事な紅葉の場所がある。
那須はほとんど紅葉は終わっていて紅葉は気にもしなかったのにそこだけが色彩が違うのである。
それは千本松神社であり、小さな、小さな神社。
しかし、霊気が紅葉を長らえさせるのか、そこだけ異様に紅葉。
いい霊気の場所は花がやたらと元気に咲いたりする。逆に悪い場所は花がすぐに枯れる。
植物は霊的な影響を如実に受ける。
そんな神社はモミジに覆われていた。
周囲には紅葉が一切ないというのに、神社の狭い敷地だけがこの色彩。自然の紅葉なのに超自然的な現象に見える。
霊の力は本当にある。それは科学がどれだけ進歩しても解明できない人智を超えたものだけれど、確実にある。
高次元なものを感じ取ると、コロナなんかをどうこう思うのが馬鹿らしくなる。愚かに思える。
目に見ないのもウイルス。そして高次な霊も目には見えない。ところがこれは霊格がまるで違うところにあって、どこに目を向けて生きるか。
それはもう個人次第。