結月でございます。
今日は3歳の愛娘を保育園に連れて行って、そのままコンサート会場の打ち合わせのためにクルマで往復200キロ。
戻ってきてから、ダッシュで小さな仕事を済ませ、ダッシュで保育園に迎えに行く。
コンサートの場所はオッケー。演奏者のスケジュールもオッケー。あとは集客。これが最も難関であり、かつ最も重要。
音楽というのは聴いてもらってナンボだし、聴いてもらわないと演奏者にギャラも払えないし、つまり経費が出ない。
それを補助金とか寄付金とか助成金で賄おうなんていうプロオーケストラに蔓延する乞食根性はわたしにはないので、聴きにきてくれた人たちからの収益だけでコンサートをやる。
要はその音楽を聴いていないのに補助金などの税金、その現場にいなかった人からの寄付金で自分の音楽をやろうなんてことは思わないわけ。これはもう、わたしの信念だね。
音楽を聴いてくれた人からのチケット収入でコンサートをやるのが基本だよ。来てない人の懐を当てにするなんて乞食だよ、泥棒だよ。
それはスポンサーや協賛も同じ。
企業はオーケストラに寄付するくらいの金があったら、自分の会社の社員に給料で還元しろ。今は文化事業なんかで企業価値やイメージが上がるなんていう時代じゃないんだから。それにただでさえコロナで経済打撃が大きいのだから、自分の社員を守ってほしいね。アルバイトも含めてだよ。
わたしは今までコンサートを主催してきて、一度も協賛金とかスポンサーなんかに頼ったことがない。
サントリーホールの規模でやった時も協賛的な金は一円ももらってない。というか、そういう「お願い活動」をしなかった。招待券も出さなかった。すべてホールに足を運んでくれて、音楽を聴きにきてくれる人だけの正規料金のチケット収入だけでやったよ。
一回だけ、そこそこの赤字を出したコンサートがあったけど、その損失補填はもちろん自腹。
でも、そのビジネス的失敗があったから、次が大成功した。
と、わたしは補助金とか寄付金といった乞食根性のコンサートが許せない人なのである。
音楽は他人に金を出させていいほど崇高なものじゃない。そう思っているのは音楽関係者だけ。
だから、演奏者にも出してもらえて当たり前的な無意識が感じられて、そこは特にコロナ以降、本気で意識を変えていかないといけないと思う。
もっと自分たちの音楽を聴いてほしい、音楽を聴いたことがない人に聴いてもらえるにはどうしたらいいのかということをもっと真剣に考えなくちゃ。
それは政治家のドブ板選挙のようであり、瓶ビールのケースをひっくり返して駅前で演説する政治家を、そこは見習わなければならない。政治的信念がクソだとしても、発信しようという心がけは素晴らしいのだから。
なんてことを思いつつ、コロナのせいで数ヶ月間も音楽が窒息状態になっていることになんだかむかっ腹が立ってきて、緊急にコンサートをやることにしたわけ。
それは小さな規模だけれど、演奏者もコロナを気にせず思い切り演奏でき、そしてお客さんもガチで音楽を体感できるものにする。
コンサートホールの収容人数の半分しか入れちゃいけないとか、演奏者がマスクしろとか、演奏者同士が2メートル離れろとか、あまりにもトンチンカンな状態で音楽をやっても最高のものはできやしないし、それを見ても、
「ビミョー」
という感想しか持てないだろう。
音楽が制限されてやって、どうやって感動するというのか。それだったら最初からやるな。制限されたものでチケット代を取るなんて、水で薄めた酒を売るようなものじゃないか。水で薄めた酒でもなんとか商売しないとオーケストラが存続できないなら、潔く解散しちまえよ。そんな酒蔵の酒は買えない。
と、コンサートをやるのは2年ぶりかー
つまり、2年間、何もしてなかったってこと?
いやいや、東京から栃木に来て、新しい環境に馴染むのが時間がかかったり、ええっと、ええっと、育児が忙しかったりさ…
と、言い訳をしてみる。
いえ、本当を言うと、音楽はサントリーホールで思う存分やったから、あれ以上のものを現実的に考案できなかったのよね。
でも、いくつか構想はあるよ。ただ、実行するまではハートの中でまだ条件が揃ってない。
それがこのコロナ騒ぎのおかげで、居ても立っても居られない気持ちになったわけ。
臨場感を感じられる音楽の場が禁じられているなんて、こんな理不尽があってたまるかってんだ。
甲子園もそうだけど、やればできるし、やっても問題ないものがゼロリスクの信仰で抗がん剤的にいい細胞までぶっ壊されている。
そういうのは黙ってらんないよ。反骨精神が湧き上がってくるよ。
「やい、お前ら、音楽家たちよ!コロナが明けたら皆様に音楽の力を届けたいとか、ポエムなこと言ってんじゃねーぞ! お前ら、音楽奏でたいんだったら、自分で音楽できる場を作れよな! 言っとくけど、YouTubeで配信した演奏なんて感動しねーからな!」(by 江頭2:50 →ウソ)
なんて言いつつ、7月にコンサートやったら、またわたしは再び引きこもって、
「コンサートなんか、もうやんないよ〜」
って言ってそう。