結月でございます。
アンパンマンが大好きだった3歳の愛娘。しかし、それほどアンパンマンと言わなくなった。
毎日アンパンマンのDVDを観ていたというのに今では週に2度あるかないか。自分で「観る」と言っているくせに、観てもあまり興味がないのか、アンパンマンはBGM状態だったりする。
その代わりに『おさるのジョージ』が好きになったよう。しかし、これも数ヶ月前ほど言わなくなった。
アンパンマンからジョージへの移行は、その脚本を考えても難しいものを求めるようになったと言えそう。それでもジョージももうすぐ卒業しそうな感じ。
この間、保育園が休みの夜中、BSのどこかをつけるとクリント・イーストウッドが出ていた。かなり若いときで、西部劇。
一応、映画専門家であるわたしはワンカット見て、これはちょっとおもしろそうと思い、3歳児と一緒に観始めた。
昔ながらの西部劇で、でもこの時代の映画は、映画が映画であるからやっぱりおもしろい。
すると、3歳児もわたしの腕にもたれながら一生懸命観ている。
「あのおじさん、どうして寝てるの?」
「あれはね、病気みたいだよ」
など、質問攻めに答えていく。
ガラガラヘビが出てきたら、
「あぶな〜い!」
なんて言いながら観る。
ああ、これ、映画の醍醐味だよね、特にハリウッド映画の。
映画ってこうやって色々言いながら、その中に入っていくのがおもしろい。そんな映画の見方が愛娘とできて、ちょっと嬉しかったりする。
ところでその映画は『真昼の死闘』というもの。
一瞬『真昼の決闘』と読んでいて、あれ、ゲーリー・クーパーとグレース・ケリーのやつのカラー版リメイクなんてクリント・イーストウッドがしてたっけ? それにしてもどうもストーリーが全然、違うんだけどと思っていると、決闘ではなく死闘だった。
でもそれは邦題が勝手にそうつけただけで、本当のタイトルは、Two Mules for Sister Sara。
安っぽい西部劇で、すごい名作ではないとわかるけれど、ところがこういうB級っぽいのは結構楽しめる。
それにクリント・イーストウッドはやっぱりいいね。
その相手役の女が尼さんの格好をしている。なかなか「いい女」。
映画を観ているうちに、どうもこの女優、シャーリー・マクレーンっぽいんだけど、ちょっと違う気もするし… と思っていた。
吹き替えだからというのもある。
そして映画の後半に入り、その女が自分の友達がいるという売春宿に行き、その黒い修道服を脱ぎ捨てると、
「ああ!シャーリー・マクレーンだ!」
実は尼さんに変装した娼婦だった!
やっぱりシャーリー・マクレーンは娼婦が似合う。っていうか、尼さんが似合わない。娼婦がというより、軽いタッチの女を演じると最高なんだよね。
ちなみにシャーリー・マクレーンが娼婦を演じたのは、ビリー・ワイルダー監督の『あなただけ今晩は』。
ジャック・レモンとの共演でパリの娼婦を演じた。シャーリー・マクレーンって、ほんとあんな感じなんだよ。
代表作で、かつ世界的名作は何と言っても『アパートの鍵貸します』だよね。これはコメディの傑作だよ。もう何度も観た。
これもジャック・レモンと共演。最高のペアだね。
『アパートの鍵貸します』のシャーリー・マクレーンのチャーミングさっていったらね、もう死んでもいいよ。最高だよ。惚れちゃうよ。誰だって惚れちゃうよ。
そんな彼女が映画で主人公の上司と不倫関係にある。そういう役、うまいんだよね。
あんな女がいたら、誰だって不倫でもなんでもしたくなる。そんな超絶魅力的なシャーリー・マクレーンの『アパートの鍵貸します』は1960年作品。マクレーンが26歳のとき。
ビリー・ワイルダーの演出が粋なのもあって、エレベーターガールのマクレーン、魅力的すぎてもう最高だよ。
そんなイメージでいたから修道服を着た尼さんだとシャーリー・マクレーンだとわからなかった。それに『真昼の死闘』は彼女が36歳だからね。
でもさ、映画のラストでバスタブで男を待っている姿なんて、やっぱりマクレーンだよ。あれだよね、あれ。そして下半身の欲望を我慢できないイーストウッドが服を着たままザブンとバスタブに入っちゃう。あのアホさがアメリカ映画のいいところなんだよ。
そんな「らしい」ラストを見たうちの3歳児は、
「どうして服着たままお風呂に入るの?」
と言っていたよ。
でもさ、そうやって映画を一緒に見られるようになるのは楽しみだね。
もっと大きくなったらトリュフォーの映画なんか一緒に観たいよ。