結月でございます。
栃木というと実は日本酒の酒蔵がたくさんある。でも、そのことはあまり知られてない。
さて、先日、結美堂山ガール部で訪れた奥日光のホテルで、栃木産の焼酎を初めて飲んだ。それも芋焼酎で、芋といえばまあ、普通は白波とか霧島とか九州のイメージ。
わたしも栃木に芋焼酎があるとは知らず、物珍しさにボトルでオーダーしてみた。
「とちあかね」というもので、栃木の那珂川町にある酒蔵。
那珂川町といえば、「なかがわ水遊園」という淡水魚の水族館があるところじゃないか。愛娘を何度か連れて行ったことがある。
この水族館は内容としてはかなりショボく、目玉はピラルクーが泳ぐところを下から見られることくらいで、あとは地元の魚とか、まあつまらないと言えばつまらない。
しかしながら、手入れがちゃんとされた水族館で水質も良く、水遊園があるところも広くて気持ち良く、その傍には那珂川がある。
魚を見に行くのはついでで、くつろぎに行くには大変いい場所。
この「なかがわ水遊園」はいつも尖った企画をしていて、それはアバンギャルドを通り越していつもゲテモノなので笑えてしまう。一体、どんな人が企画担当にいるのかと思いつつも、それを狙ってやっているのか、本気でやっているのかその辺のところがよくわからない。しかしまあ、栃木の田舎地域ならオッケーかなという気もするし、マーケティングとか、お客様目線とかそういうものを考えないところがむしろ好感が持てたりする。
そんな「なかがわ水遊園」の今年の春企画は「私立危険生物学園」というもので、絶対東京じゃ通らない企画。
実はこのチラシは、愛娘の保育園でもらったもの。
「またかよ!」
と、相変わらずのゲテモノテイストを受け入れられるのは、去年もゲテモノテイストの企画があったから。
さて、今回の「私立危険生物学園」の目玉はこれ!
ウギョ〜 またやってしまってるよ!なかがわ水遊園!
もうここまでくれば、愛すべきものになる!
本物の毒サソリを使ってピザを作る味わい工房。さらにムカデの形をしたグミでカップケーキまで作ってしまう!!
しかも恐るべしは、この内容が結構ノーマル扱いされている雰囲気があるところで、きっと企画者にとってはサソリもムカデもノーマルなのかもしれない。
しかし、わたしとしては本物のサソリは食えるけど、ムカデの形したグミはパス。
サソリはちょっとアングラの中国料理店に行けば、串刺しにして焼いたものが食べられる。ついでに言うと、本物のムカデの串刺しも扱われている。
でもさ、グミをムカデの形にしたっていうのは、ちょっとアタシとしては無理なんだわ…
料理文化としてサソリやムカデを食べることがあるというならオッケーなんだけど、グミをムカデの形にして、しかもそれをてんこ盛りにしてカップケーキって、いやいや、それ趣味悪すぎだから!
つまり、それは食文化としてでなく、ふざけただけって気がして、そういうものは口に入れたくないなって思うわけ。
しかし、保育園でチラシを配るくらいだから、子供が喜ぶと思ってやったんだろうな…
と、そんな恐るべしなかがわ水遊園があるのが芋焼酎を作っている那珂川町。
そして、初めて栃木の焼酎をオンザロックで飲んでみると、
「ほほぉ!うまいじゃん!」
この焼酎は栃木産の紅あずまを使っているらしい。芋の風味はちゃんとあるけれど、さっぱりしている。いやらしくない。上品である。
焼酎は飲みつけると、麦や米より「やっぱ芋でしょ!」となるのがドリンカーである。そして鹿児島の濃厚な芋焼酎はそんなドリンカーにとってはたまらないコクがある。
それが芋焼酎だと認識していたところにこの「とちあかね」を飲むと、ちょっと驚きがあって、
「へえ〜 焼酎にも端麗な美人っているんだ〜」
と思う。
栃木の焼酎が上品な味わいであることに感動しつつ、でも栃木には美人が一人もいないという主張をわたしは変える気はない。
文豪であり酒豪であった開高健がいいお酒とはどういうものかという問いかけに、
「こんな女がいたら、さぞかし惑わされるだろうなぁ、と思うようなお酒がいい酒なんだ」
と答えていた。
となると、この「とちあかね」は清楚な着物美人と言いたいところで、でも栃木にはそんな美人は一人もいない。
さて、この酒蔵のホームページを見ようとしたら、どうやらホームページすら開設していないという引きこもりぶり。
栃木は自分たちの魅力を外にアピールする概念がそもそもないという土地柄に思えるけれど、まあそこがむしろいいのかもしれない。
ともかく酒蔵の住所はわかるので、今度取材してこようと思う。
というわけで、栃木には最高の美人クラスの焼酎がある一方、サソリのピザやムカデのグミが食べられるという二律相反の魅力がある。
そんななかがわ水遊園の尖った企画も、残念ながらコロナ騒動で休業しているとのことです。