結月です。
この間の土曜は、すでに行きつけとなっている遊園地「とちのきファミリーランド」へ。
ここは入場料が無料で、乗り物代をその都度払うシステム。
県営というダサさ満点で、スタッフがみんな定年退職後の第二の人生の高齢者ばかりで、事実として加齢臭漂う中、なんだか侘しさを感じてしまう。
昔は遊園地といえば、スタッフは若い女の人のバイトだったりして、清々しい印象があるけれど、ほぼジイサマばかりというのは高齢化社会の日本を如実に体現していて、子供達が集まる場として侘しいわけ。
そんなほぼジイサマが子供に気を利かせて乗り物に乗るときにハイタッチを求めたりして、その究極の若作りに複雑な気持ちになる。
平日はほとんど客がいなくて、屋外で食べる食堂も休みだったりする。土日はそれなりに賑わっているとはいえ、県営でないならとっくに潰れているに違いない。
そんなダサさ満点のとちのきファミリーランドは令和の時代に昭和を残しつつ、昭和を現役で生きていたであろう人がジイサマとなってスタッフになっている。
しかしながら、県営のせいかアトラクションはマイルドなものがほとんどで小さな子供にはいいかもしれない。気軽に遊びに行くのはとてもいい施設。
もうここには愛娘を連れて何度も来ている。メリーゴーランドがお気に入り。
そこにはUFOキャッチャーもある。これは平成の遺物か。
それを何気に眺めていると、アンパンマンキャラたちのぬいぐるみが入っている。その中には愛娘が本気と書いてマジと読むほど大好きなロールパンナがあって、それを見つけたわたしは迂闊にもそれを3歳児に見せてしまった。
ロールパンナの位置は取れる可能性がややあるもので、じゃあ、トライしてみるか!と100円を投入。
しかし、うまくいかない。
「これは駄目だよ。諦めよう」
と、大人の判断をしたわたしに対して、3歳児は泣きそうな声で、
「ロールパンダ…」
という。
「いやいや、あれはね、ロールパンナだよ。ダじゃなくてナ。ダはクリームパンダ」
仕方がないから500円投入すると1回オマケで6回分になるからさらにチャレンジ。もう少しというところでやっぱり駄目。
「もうこれはおしまいにして、メリーゴーランドに乗ろうよ」
というも泣きべそ状態。
急速に元気をなくして失望状態を醸し出す3歳児。
大好きなメリーゴーランドにも乗らないという。他の乗り物を指差しても、
「ロールパンナ…」
と顔をしわくちゃにする。
「じゃあ、仕方がないから買いに行こうか?」
と、乗り物券を3枚残して駐車場へ。そしてスマホでサッと宇都宮のトイザらスを検索。電話してみると、アンパンマンキャラのぬいぐるみはあるという。
とちのきファミリーランドからトイザらスはクルマでわずか10分弱だった。店員のお姉さんに訊くと、あったあった、アンパンマンのぬいぐるみ。まさしくUFOキャッチャーの商品と同じセガが出してるやつ。
しかし、探すもばいきんまんやしょくぱんまんはあるのにロールパンナだけがない。コキンちゃんもドキンちゃんも、さらにはもぐりんまであるのにロールパンナがない。妹のメロンパンナもあるのに、ホラーマンまであるのにロールパンナだけがない。
さっきのお姉さんをもう一度捕まえて、倉庫に在庫がないか確認してもらった。
数分待つも「在庫なし」の返答。
なんてこったい!在庫なしのせいでより一層、悲愴感漂う3歳児。完全に元気がない。これは困った。ずっとこのまま精神が病んでしまうかもしれない!
と、愛車にエンジンをかけ、今度は家に戻る途中の「バースデイ」という子供用品店へ行く。ここは時折訪れていて、確かアンパンマンのおもちゃが売っていた記憶がある。
しかし、おもちゃ専門のトイザらスより明らかに商品点数が少ない。アンパンマンのぬいぐるみはなさそうに見える。
陳列棚を往復すると、おお!ちょっとだけだけど同じセガのぬいぐるみがある!
と、偽りの感動。というのは点数が本当に少なく一瞥したところアンパンマンとしょくぱんまんはあったがロールパンナはなかった。
陳列棚にしゃがみ込むと、その一番下に、
「ムムッ!これは!」
と、その後ろ向きのぬいぐるみを手にとってみると、ロールパンナだ!
おおおおぉ!ひとつだけ残ってた!しかも一番下でほとんど目につかないところ!
それを手にして他のおもちゃを眺めていた愛娘を呼び、勝ち取ったそのロールパンナを突き出した。すると、悲愴感たっぷりだったあの顔が満面の笑みになりわたしのところにダッシュで走って来た。
まだタグがついたロールパンナを受け取ると大喜び。
ああ、よかった、よかった。ここになければ小山市のトイザらスにも行かなければならなかった。
超絶ご機嫌の愛娘。ニコニコしながら、何度も「ロールパンナ」と口にする。
ついでにドラミちゃんの靴下も買った。それを見つけて気に入ったらしい。
家に帰ってからは、ロールパンナのぬいぐるみを手から離さず、食事の時も自分の食器の隣に置いて話しかけている。
そして、夜寝る時もロールパンナを抱っこしていた。
まあ、いろいろ大変だったけどよかったよ。容易に得られないものだったからこそ感動があるわけで。
だから、UFOキャッチャーにあと2000円投入してでもゲットするか、探し求める苦難が感動には必要なんだ。
要領よくこなして、効率的にこなすところには感動は芽生えない。
恋人だって会いたくても会えないから会えたときに抱きしめたくなる。
なんて思いながらも、UFOキャッチャーを3歳児に見せるのは面倒になるからやめておいたほうがいいというお話でした。