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パクチー食べると思い出すのはフランス

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結月でございます。

ちょっと最近までパクチーって何なのか知らなかった。訊けば、シャンツァイ(香菜)のことをパクチーというらしい。

そこでネットで調べてみると、香菜をタイ語でパクチーというそうな。

いつの頃からか、日本はタイ語由来になったのだろう?

わたしが大昔、渋谷の百貨店の地下青果売り場で働いていた頃は、香菜、もしくは英語でコリアンダーと言っていた。

東京にタイ料理店がたくさんあるから、少しずつパクチーという呼び名が広まったのかもしれない。あとはパクチーという発音が、コリアンダーよりもちょっとフレンドリに感じて、シャンツァイよりも言いやすいという言語発声的なものがあるかもしれない。

わたしは中国語のシャンツァイと呼んでいる。

それはタイには行ったことがないし、タイ料理も好きだけれど頻繁に食べるものでもなく、むしろ中国料理はよく食べて、自分でもよく作るし、しょっちゅう中国語は聞いているからシャンツァイが馴染み深い。

ところでわたしはシャンツァイが大好物なのである。

といっても、それをモシャモシャとバッタみたいに食べることなんてしない。中国料理で魚の蒸し料理、清蒸魚を作ったときは積極的に使う。

シャンツァイの香りは紹興酒に実に合う。

しかし、シャンツァイの香りを味わうと、いつもフランスのこと、パリやリヨンのことを思い出す。

中国ではたくさんシャンツァイを使った料理は食べたのに、フランスなのである。

それはリヨンの住まいがあった近所に中国人がやる乾物屋があり、そこの豚まんをよく買って食べていたから。

その豚まんにはシャンツァイが混ぜ込まれていて、いい香りがした。

そして、行きつけだった中国料理店でも春巻きを頼んでもシャンツァイが入っていた。ちなみにフランスの中国人が作る春巻きは日本のものとは皮が違っていて、見た目も春巻きっぽくない。

それは中国でも見たことがないものだから、おそらくフランス在住の中国人がフランス仕様にしているものだろうと思う。

そして、さらに行きつけだったベトナム人の惣菜屋でもシャンツァイがよく使われていた。

しかしながら、その頃は若かったし、それにインターネットもない時代だったから、その香りがシャンツァイだとは知らなかった。漠然といい香りだと思っていて、それを味わうことを漠然と求めていた。

今はグーグルですぐに調べられるから、そういう意味ではちょっとおもしろくない。つまり、謎がないから。

知らないでいたほうが優雅な気持ちになれるもので、何か知らない話題が出て、すぐにこれですかとスマホを出されて、そこにグーグルの解説があったりするとなんだか寂しくなる。

もし、あの頃、学生だったあの頃のフランスで今のようにネットが当たり前だったら、きっともっと過ごしやすかっただろうし、もっとフランスのことを知り得たと思う。

生活に必要な手続きなどなど、海外での生活は面倒なことが多く、それがネットですぐに検索できたらさぞかし楽だろう。

評判の料理店もネットの口コミですぐに調べられて、ピンポイントに狙えて行けたに違いない。

でも、そうでなくてよかったと思う。

便利さがなかったから、役所で役所用語のフランス語に悪戦苦闘したり、日本から住まいも確保できず、いきなり現地調達でアパートを探さなければならなかった。

ところがそういう苦労があったから、出会えた人もいる。

レストランだって、知らないから体当たりで食べてみるしかなかったから、いい店を見極める勘も身についた。

そして何よりもスマホの画面なんてなかったから、いつも視線はフランスの風景にあり、SNSもなかったからフランス以外のものは接することができないことがよかった。

つまり、それだけの忘れられない感動をたくさん得ることができた。

もし今、フランスにいたなら、せわしなくSNSに投稿したり、シャンツァイ入りの春巻きの写真を撮ったりで、注意が散漫になって忘れられない経験にはならなかったと思う。

パリかリヨンに行けば、またあの春巻きが食べたい。

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