結月でございます。
アンパンマンが大好きなうちの愛娘。近所のレンタルビデオ屋に週に一度は借りに行く。しかし、いつもアンパンマンばかりだから、
「ねえ、他のも見てみない?」
と問いかけた。
そして、ドラえもんの劇場版と大ヒットした『アナと雪の女王』を借りた。
アナ雪はまだ見てなくて、それはそもそも3Dのアニメに興味ないからだけど、タイムリーなことにアナ雪の2作目が間もなくロードショーらしい。全然知らなかった。
そこで昨晩、2歳児とアナ雪を見た。小さい子供が一緒だから吹き替え版で見ていたら、
「なんだ、この映画、ミュージカルなんだ。歌が日本語だと全然駄目よね」
と、途中で音声をオリジナルの英語にする。
日本語でもどうせ2歳だと全部はわからないし、だったら英語も同じなんだから、英語に慣れさせたほうが教育的にもいいんじゃね、ということ。
しかし、英語を日本語訳すると笑っちゃう日本語になるけど、英語で聞いているとその笑っちゃうセリフが自然なのは、英語っていう言語がそういう特性だから当たり前なんだよね。
と、そんなアナ雪を見終わって、
「大しておもしろくなかったんだけど…」
という感想。
2歳児はディズニーのよくできた映像にガッツリだったけど、ストーリー的にはすごくベタで、そのまんまという感じ。
ミュージカルとしても昔のMGMの時代の伝統をそのまんまアニメにしていて、手法は特に新しくない。
なんであんな映画がヒットしたんだろう?
歌も悪くはないけど、飛び抜けて名曲って気もしないし。
ラストで真実の愛が姉妹のものだったというオチを見たとき、
「おいおい!吹雪の中、助けに来た氷売りの兄ちゃんの立場がねーじゃん!」
と思った。
でも、考えてみれば、氷売りの兄ちゃんと真実の愛という流ればそれこそスタンダード中のスタンダードで、そのままのベタ。それを回避して姉妹愛っていうオチは新鮮と言えば新鮮だけど。
それでもそこに強烈な感動があるかというと、ちょっと不足。だって姉妹愛って珍しくないから。
もしかして2作目を作ることを予定して、氷売りの兄ちゃんとはデキさせなかったのかも。だってデキちゃったら、2作目で冒険できない。となると、近日公開の2作目でアナと兄ちゃんがやっと結ばれるとか?
主人公、つまり物語の中心が女性であるというのも今のトレンド。旧来の描き方なら男が主人公で女王を助けるとか、そんな騎士道精神でシナリオを作るから。
それはディズニーが手がけ始めたスターウォーズもそうだよね。ジェダイが女っていうのは新しい価値観。
ストーリー的にはあまりにも普通だったけれど、おそらくね、あの映画は5時間分くらいの脚本を書いてあったんだと思うよ。それを削って削って、最終的に90分に収めたんだと思う。
だから結果、単純なストーリーとはいえ、物語に土台がしっかりとあるのだろう。
あと、3Dであれだけ描こうとしたら、それは大変だっただろうなと思う。かと言って、実写で撮るのも大変。スターウォーズ並みの金と手間がかかる。
でも、スターウォーズがディズニーになっちゃったせいもあって、アナ雪を見ていたらスターウォーズじゃんって思ったよ。音楽の使い方とか。
あれだけ精巧な3Dをやると、3Dの意味ってあるのかなっていうのと、実写でいいじゃんという気持ちも出てくる。
これは今の高性能のシンセサイザーと同じで、生音と変わらないくらいの音が出せてくると、じゃあ、人間がやっとけばいいじゃん!というのと同じ。
シンセサイザーなら80年代あたりは、シンセならではの音がしていて、それが新しい楽器という凄さがあった。そこから新しい音楽が生まれた。
ところが技術が人間の生音と同じくらいの音を目指した結果、シンセらしさがなくなってしまった。シンセでオーケストラの曲を出しても、きっと素人では聞き分けできないリアルさだと思う。でも、それって意味あんのかな? だって、そんな音って人間が出せるから、珍しいものじゃない。技術的にすげーよってだけで。
だから、アナ雪を見た後に2Dのアンパンマンを見たら、その絵の下手くそさにむしろ感動してしまって、こっちでいいんじゃね?と思った。
あとはミュージカルの歌がアニメの絵にアフレコだから、どうもしっくりこなかった。
実写なら女優が本当に歌っていて、映像と声が同一のものとして感動できるのだけれど、アニメじゃどうもそこが弱い。
そんなアナ雪だけど、ラストで雪だるまのお化けみたいなのがクシャミしたシーンで、うちの2歳児はゲラゲラ笑っていて、
「おお、映画のおもしろさがわかるようになってる!」
と、うれしかった。
これからはどんどん愛娘と一緒に映画を楽しめる。早く一緒にトリュフォーの映画なんか見たいね。
でも、アナ雪がなんでヒットしたんだろう? わかりやすいからかな? 映画としては普通だよ。
たださすがディズニーだけあって、絵のセンスは抜群だったね。あのセンスは日本人には無理だよ。