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あまりにも良心的な曲:シューベルト「グレート」

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結月でございます。

愛娘と家で食事するときは音楽をかけるようにしているが、よく聴くのはシューベルトの交響曲「グレート」。

グレートはずっと前から好きな曲だし、コンサート企画でもやりたいなとずっと思っている曲。

ただ、グレートじゃ、客が入んないだろうなという確実な推測があるから、躊躇ってしまう。真正面からグレートを企画しても絶対に客は入らず、大赤字。

だから、何かプラスアルファの材料を合わせて、成立させないと無理だなということがわかっていて、でもそのプラスアルファをまだ見出せていないからできない。

グレートは大曲で演奏時間は1時間以上はある。

しかし、グレートは何度聴いても、良心的な曲だなと思う。

つまり、いやらしいところがなくて、かといってモーツァルトのように人間離れした神々しさでなく、あくまで人間的で、その人間的良心を感じさせる曲だとわたしは思っている。

ただベートーヴェンのように挑発的なところもないから、客受けは悪い。グレートの素晴らしさを実感するには時間が必要で、ファーストインプレッションで大感動とはならない。そこが良心的な曲の興業的弱さ。

演奏者は当然、シューベルトがどんなに素敵かはわかってる。それだけ研究しているし、演奏もしている。ところがシューベルトを初めて聴く人がそこに大きな感動を得るとなると話は別。

シューベルトは未完成交響曲が有名で、それは映画にもなったし、LPレコードとしてはベートーヴェンの運命とカップリングすることが定番とされていた。でも、そのどちらも大昔の話だから、今は未完成交響曲だって巷じゃ知られてないだろうね。

未完成は第二楽章までの曲だけど、これがとてつもなくいい曲で、いい曲すぎて腹が立つくらいいい曲。

演奏時間も短いので、シューベルトを知らない人にはこちらのほうがインパクトは上だろうね。

未完成はわかりやすいほどのいい曲さがある反面、グレートのすばらしさは低温の火傷のようにじわりじわりとしたもの。だから何度も聴かないとわからない。

ベートーヴェンはいきなり高温を発するくらい熱いから、そういう意味でわかりやすい。第5番「運命」なんて、いきなり冒頭から爆発するんだから、まるで原爆みたいだもの。

グレートはそれに比して、とても俯瞰的な音楽な気がする。運命みたいにガチガチの主観の爆発でなく、俯瞰的に人間というものを、その良心を描いている、というのがわたしの見解。

そんなグレートを2歳の愛娘と聴いていて、どうやったらコンサートとして成功するかなっておぼろげに考えてます。

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