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猫中毒

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結月でございます。

世の中には中毒というものがあって、アルコール中毒、ニコチン中毒、ギャンブル中毒などなど、つまり中毒とはある種の恍惚状態になって、どうにもこうにもやめられず、そこから離れられないものらしい。

そういったメジャーな中毒は知られるけれど、わたしは「猫中毒」というのがあるように思えて、どうも猫は中毒になるのである。

猫を触り出すと止まらなくなる。猫がお腹の上で寝そべっていると、その顔をもじゃもじゃと触りたくなり、しまいには自分の頬を猫の頬に当てスリスリしているのだからどちらが猫かわからない。

そして、猫を触り出すと恍惚状態になってやめられず、そして仕事があったり、出かける用事があってもそれを断念してでも猫と密着していたいと思う。

猫というのはとても柔らかくて、ふわふわとした動物で、そこが犬と違う。犬も可愛いけれど、抱っこするとどうも骨がごつごつとしていて恍惚とまではならない。

また猫は勝手気ままなものだから、こちらから近づくと嫌がり、何もしないといつしか膝の上で寝ていたりする。

つまり、構う人間は猫から嫌われるわけで、猫との距離感で尺度となるのは「自由」なのである。

そんな自由のせいだろうか、猫といると気持ち良くなってしまって、駄目人間になる。

シビアな仕事をしていても、猫の寝顔を見るとなんだかどうでもいい気分になってしまうし、猫と一緒に寝ることが気持ちよすぎて遅刻したりもする。

まさしくそういうところが中毒なのであって、お酒やなんかと似ているところがある。

アルコール中毒者がのべつお酒のことばかり考えているのと同様に猫好きも絶えず猫のことばかり考えていて、アルコール中毒者が早く家に帰ってお酒を飲みたいといそいそと家に帰るのと同じように家で待っている猫に会いたくて帰路を急ぐ。

猫中毒者はとにかく猫にやさしい。

ちょっとした拍子に足の爪でもって体に爪痕がつき、リストカットのような切り傷を負っても、猫のことは恨まず、

「こら〜」

なんて言いながら、その猫の顔を揉みほぐしていたりする。

仕事をしようとパソコンデスクに座ろうとすると、椅子に猫が気持ち良さそうに寝ている。猫中毒者は仕方なしに椅子に座ることを諦め、畳の上にパソコンをおいて作業する。

猫といるだけで幸せ。

猫中毒に罹るとそんなもんであり、すなわちわたしは毎日幸せなのである。

だからこそ、仕事や旅行で数日は家を離れなければならないときは、猫のことが心配で落ち着かず、猫と一緒にいないことで不仕合せになっているのかもしれない。

人といるより猫といるほうがいい。

猫は不平不満は一言も言わず、ただ眠っているその姿だけで恍惚となるくらい可愛らしいのだから。

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