結月でございます。
昨日は愛娘を連れて栃木県の「なかがわ水遊園」へ。行ったのは2度目で、それは屋内だから暑くても大丈夫だろうという理由。
動物園はこの炎天下じゃ、ちょっと歩ききれないね。
さて、「なかがわ水遊園」は水族館と呼ぶにはショボすぎるとはいえ、場所がきれいだし、敷地は広いしで、いいところ。暑くなければ整備された公園を歩くのもいい。
この水遊園の目玉は、淡水魚最大のピラルクが悠々と泳ぐのが見られることで、さらにそこにはカピバラもいて、カピバラが泳ぐ姿を真下からも見ることができ、それは実に間抜けな姿で愛嬌がある。
水遊園にはアマゾンカフェという飲食店が併設されており、こういうところでは基本、食事しないわたしも愛娘にアイスを食べさせるために中へ入った。
夏休みのど真ん中とだけあって水遊園は内も外も人が多く、駐車場にはクルマがいっぱい。だからアマゾンカフェも満席との看板があり、少し待つかなと思ったら席は空いていてすぐに座れた。
わたしは家でゆっくりハイボールでもっていうタイプなので、中途半端な外食はしないのだけれど、ここに入ったのは愛娘のアイスのためだけでなかった。そこのメニューにナナナンント!ピラルクの肉を使ったハンバーガーやカレーがあったからなのだ!
今はおいしいものを探求する欲求はまったくなく、それは自慢じゃないがおいしいものはたくさん食べてきたからで、
「もういいや、馬鹿らし」
という境地に至っているから。
だから、おいしいものよりも、普通は食べられない珍しい体験、そういったものに興味があって、というかそれは前からだけれど、ピラルクの肉を食べるのはネタ的にもおもしろいから食べてみたかった。
そもそもピラルクは絶滅品種だし、古代魚。しかし、アマゾンでは昔から食用にされていたのは開高健の『オーパ!』を読んで知っていた。
とはいえ、ピラルクは日本の熱帯魚店で昔からその稚魚が売られていて、熱帯魚には実は詳しくて、それが高じて熱帯魚店でバイトしていたこともあるわたしにとってピラルクは観賞魚として憧れの魚でもあった。
ピラルクの稚魚が売られているのは繁殖業者がいるせいかもしれない。アマゾンから稚魚を確保するのは無理だろうし、値段も比較的安いから国内で繁殖させているのだろう。
しかし、ピラルクは数メートルの大きさになるから、まあ普通は飼えない。働いていた熱帯魚店のディスプレイ用の巨大な水槽にはいたけれど。
それはいいとして、ピラルクの肉なんてまず売っていないので、これを食べるにはチャンス。メニューには限定20食と書かれていて、ウェイトレスの姉ちゃんに訊いたら、
「まだ大丈夫ですよ」
とのことで、2歳児を連れて中に入る。
ピラルクのカツカレーとあったが、出てきたものはこんなの。
ムムッ!こ、これは!! 期待はしてなかったけど、いくらピラルクの肉を使ったとはいえ、これで1200円は観光地プライスとしても高いんじゃないか!?
と、思いつつ、ケチなことは言わないようにする。しかし、事情はわかりつつも、1200円でこの使い捨ての皿ってのはプライスの説得力に乏しい。
とりあえずピラルクのカツを食べてみる。おそらくカレーをつけたらカレーの味しかしないと察したわたしはピラルクだけ食べてみた。
「う〜ん。味しねえし」
と、それは身が硬めの白身魚という感じで、その硬さは冷凍によるものではないかと推測する。アマゾンで鮮度が高いものだともう少し柔らかいのではと思うけれど、それはわからない。ピラルクの巨体を考えれば、身は硬そうでもある。
ともかくそれはスーパーの惣菜コーナーで白身魚のフライを買って数日冷蔵庫に入れっぱなしだったのを思い出したようにレンジでチンしたらこんな感じだろうなというもの。
テイスト的には何の感動もなかったので、あとは普通のカツカレーの要領で食べると、やっぱりカレーの味が優って魚の味はしなかった。
あんまりネタにもならないとはいえ、
「ピラルク、食べたことあるよ〜」
というプチ自慢の1200円。
しかしながら、カレー自体はそんなにひどいものではなく、一応ちゃんとしていて、休息の場所としてのショバ代とピラルクの肉代を考えれば、1200円は妥当なところか。
ピラルクはカツではなく、寿司で食べたらおもしろいと思うけれど、それは『がきデカ』の山上たつひこの世界。
ともかく、ピラルクを食べられて、ちょっとは開高健の『オーパ!』に近づけた!なんて、思わない、思わない。だって栃木の水遊園で、カツカレーだからね。アマゾンのダイナミズムなんてないよ、当たり前だけれど。
それよりも日本でピラルクがカツカレーになっていること自体、
「オーパ!」
なのかもしれない。
アマゾンで数メートルのピラルクを釣り上げるよりもカレーになっているほうが驚き。
そんなアマゾンも開高健が訪れたときでさえ、環境破壊が進んでいて、今はジャングルの面積はさらに小さくなり、いつかは消滅するという。
ピラルクの生育地もなくなり、水族館でしか見られないものになるかもしれない。
さて、保育園の夏休みもやっとあと三日か… ずっと2歳児に付き合い続けたけど、何をしてたかあまり覚えていない。
しかし、四六時中、2歳児のモードに合わせるのはかなり過酷なもので、夜に絵本を読んでようやく寝てくれたときは、かなりグロッキーになっているのでした。