結月でございます。
わたしは普段、着物の着付けを教えたり、着物を販売したりしていて、基本、運動不足です。それ以前に子供の頃からすでに体力はなかったので、運動系はビリケツ。ですが、その反動で文化系に生きてきたので、文化面はまあまあイケます。
で、足腰弱く、体力なくて、運動してないわたしが着物だけやっときゃいいはずの結美堂に山ガール部を設立しました。それは奥日光の男体山に登ってみたいというわたしの一方的な願望で作ったものです。
結美堂山ガール部は、今のところわたしのスカウト&オファーでしか入部できないので、とりわけ募集はしてません。
さて、男体山はこんな山です。
これは5月の男体山なので、まだ緑が少ないですね。
で、この男体山を登るにも結美堂山ガール部は登山の素人ばかり。その中でもひときわ体力がないのがわたしです。
初心者でいきなりこんな山には登れないので、4月に高尾山には登ったんですよ。なかなかキツかったですが、ちゃんと山頂まで行き、大きな筋肉痛もなく家に帰れました。
そして、今回、男体山のちょうど目の前にある「社山」に挑戦することになったわけです。
キツそうだけど、そんなエゲツなくはないという甘い憶測。
そして、全国的に到来した酷暑の日々。
つまりこれは言い訳で、暑過ぎてウォーキングなどトレーニングをまったくしてないという事実。
また甘い憶測があるものだから、トレッキングポールなど登山の直前に買っている始末。
社山へ向かった8月11日!
お盆初日で高速道路が激混み!
山ガール部のメンバーたちの都合のいい日が8月11日だったのですが、ドンピシャでお盆休み初日。
朝6時半に北千住に集合し、クルマで出発しようとカーナビを見てみると、
「ゲッ!高速道路、真っ赤なんッスけど!!」
こんな朝早くからもう渋滞。どうやら国道4号で行ったほうがいいという判断。実際に走ってみると、国道4号はノーマークなのか空いていました。
それでも高速を予定していたより時間がかかる。9時過ぎには奥日光に着くというこれまた甘い憶測とは違い、実際に着いたのは、11時半くらいだったかな。
しかし、日光に入ってから雲行きが怪しくなり、そのまま大雨。フロントガラスを激しく雨が打ちつける。ワイパーはフル稼働。
今日は駄目かと思いつつ、いろは坂に入ると雨は降っていませんでした。
そして、いろは坂をちょうど登りきったところの明智平へ。ここはロープウェイが出てますね。
いろは坂は雨が降ってなかったと言っても、この有様。目の前に男体山があるはずなのですが…
雲か霧かよくわかんないけど、全然見えないし。
と、登山ができるのか自信がないまま華厳の滝のほうへクルマのアクセルを踏む。
出発点は、歌ヶ浜駐車場
社山に登るには、立木観音の前にある歌ヶ浜駐車場がいいです。ここは中禅寺湖は正面にあり、無料です。しかしながら、高速道路が激混みのお盆初日で正午前後に到着となると、空いてないんじゃないかという不安は的中するも、とりあえず一台空いたところに駐車。
しかし、お盆シーズンはサンデードライバーが多いのか、駐車の仕方がクソすぎるのが多いです。枠の中にちゃんと入れろよ!というガッデムなクルマの隣に駐車。なぜなら、そこしか空いてないから。
クルマでない方は、多分バスですね。華厳の滝にバスターミナルがあるんで、そこから歩いてという感じでしょうか。
英国、イタリア大使館別荘へまずは向かう
駐車場にはトイレがあるので、必ずここで済ましておきましょう。
そしたら、一度、道路のほうへ出て、英国大使館別荘のほうへ向かいます。ある程度歩いたら、中禅寺湖半のほうへ入ります。まだここはアスファルトで整備されています。
社山は登山口までかなり歩かねばならず、距離にしてどれくらいでしょうか? 3㎞くらいはあるかもですね。
まずは英国大使館別荘、そしてさらに進みイタリア大使館別荘。これをずっと進みましょう。
するといつしかアスファルトは途絶え、中禅寺湖に沿って自然の道を歩くことになります。
雲がかかる男体山。
登山口までは結構な距離ですが、森林が極めて美しい。自然霊が漂う霊的雰囲気が出てきます。
そして、このような通行止めのバーが出てきます。そこをさらに直進します。
ともかく、登山口までの道のりも途中で道が沢が貫いていたりします。中禅寺湖に流れ込む水は、森林で濾過され、大変美しく、夏でもキュッと冷えていて手を浸し、顔を洗い、その水を首に当てるととても心地いい。
まだまだ先へ進みます。
ようやく社山の文字。
まだ平地しか歩いてないからアホ面したわたし。肩からかけたコカコーラのポシェットはカメラを入れるためのもの。
ソニーのデジタルハンディカムを買ったらカメラバッグがなかった。昔はカメラに付属品として付いていた気がするけど。いいバッグはないかと思っていたときにコンビニでコーラを2本買ったらもらえるというキャンペーンをやってたのでゲット。ペラペラの超絶安物だけど、カメラを入れるのにはちょうどいいサイズ。ちなみにわたしはとりわけコーラが好きというわけでもなく、実を言うと、コカコーラのロゴを身にまとっていることは違和感があるのよね。
登山口に到着!
さて、アホ面した余裕を持ちながらさらに進むと、ようやくのことで登山口です。歌ヶ浜駐車場から何だかんだ言って、1時間は歩いてそう。
ここから本格的な山道が始まります。とのことで、山ガール部員一同、トレッキングポールを取り出す。
「ちょっとピンぼけ」
というのは、この写真がピンぼけしているからです。
第二次世界大戦からベトナム戦争の前身であるインドシナ戦争まで戦争写真を撮り続けた戦争カメラマン、ロバート・キャパに『ちょっとピンぼけ』という名著があります。
キャパは第二次世界大戦のノルマンディー大作戦に従軍して、それでも死なずに写真を撮っていましたが、ベトナムで地雷を踏んで死にました。
キャパが最期に撮った写真が進軍する兵士たちの後ろ姿があるもので、その直後、キャパは地雷を踏みました。
わたしはこの少しピンぼけした山道の写真がキャパの最後の写真を思い出せるものがあって、なぜなら、これ以降、とてもじゃないが写真なんて撮る余裕はないことになるからです。
この写真を最後に登山初心者は地雷を踏んだが如く、のたうち回るのです。
重低音の爆音を立てて飛ぶスズメバチ。そして、次第に増えてくるアブとブヨ。
丸太で作られた階段の段差は高く、一段上がるたびにかなり踏ん張らねばならず、これなら階段がないほうが楽じゃん!と思い、
「余計なもん、作るんじゃねーよ!」
と、胸の中でシャウト。
しかし、山は初めてだけど、これ、トレッキングポールがないと本当に登れないね。これ、なきゃ無理だわって実感。
時折、休み休み登るも息が上がる。そして道が狭い。道幅は50センチほどのところもあり、かなり急。
こんなにハードな山だとは思わなかった。高尾山なんて比較にならん。
それでもようやく中継地にたどり着く。
阿世潟峠。広くはないが、畳10畳ほどの平地。
普段、着物の反物より重いものを持ったことがない文化人間の朦朧ぶり。ヨレヨレのクタクタ。しかし、社山の頂上はあと1.3kmとある。絶望感が脳裏に漂う中、アブが嫌味に爆音でそれを切り裂く。
さて、前に進もうか…
とにかく道が狭い。そして、道の側はいきなり急斜面。意識朦朧でふらついただけで、多分滑落して死ぬ。
途中、トレッキングポールを手放さないと登れない小さな崖。這い上がるようにして登る。部員一同、会話なし。時折、息の音だけが聞こえる。
登る。登る。とにかく登る。
広くはないが、座れるほどの石が飛び出たところにたどり着く。
「ちょっと休憩しよう」
その言葉を待っていたのか、一同、しゃがみ込む。アブは相変わらず、迫ってくる。
しかし、アブやブヨは黒い服に集まるというではないか。わたしの服は登山用品専門のモンベルで買ったものだけど、なんで登山専門の店が紺色の服なんか売るんやろ?
と思いつつ、心臓がきつい。体力のなさを如実に表している。
誰かが言った。
「もう下りますか」
反対する声はない。わたしもとりあえず、
「どうするか…」
と一言。
迷う。スマホで調べると、山頂まで阿世潟峠から歩いた分の4倍ほどだという。
時刻は15時を過ぎている。体力のことを考えないとして山頂まで1時間として、下山に2時間。合計3時間となると18時を過ぎる。
時間的に陽が暮れるとまずい。今、下山すると時間的にはちょうどいい。ホテルにチェックインし、温泉に入ったところでちょうど晩御飯で待望の生ビールがある。
というのは、言い訳でもある。現実的に体力が無理。この細道の急斜面を登る体力もなく、登りきったとして下山する体力は間違いなく残っちゃいない。
結美堂山ガール部はみんなに役職が与えられていて、実はわたしは部長ではない。創設者でありながら、体力がなさ過ぎて部長をやるわけには行かず、「長」が付かない「庶務」である。すなわち雑用である。
しかし、今回、部長は実家の都合で来ることができず欠席である。その代わり、新メンバーの「総務」が参加することになって山ガール部は5名である。
部長不在で、創設者のわたしが判断を下した。
「下りよう」
すると、部員たちは、やっぱ時間的に無理かな、だとか、また今度来よう、だとか、今日は来る時間が遅かったからね、だとか、言い訳というか、下山理由を口々にする。
う〜ん、さすが日本のガールズ。非力さを正当化するのだけはうまい。
というわけで、結美堂山ガール部は社山をギブアップ。この風景がわたしたちの初回の達成。
考えてみれば、ここまで登っただけでもまあまあだったのかもしれない。だってズブの素人だから。
下山をしながら、お腹が減ったという話になる。みんな、朝から何も食べていなかったし、山頂で食べるつもりでいたおにぎりがみんなのリュックに入りっぱなし。
さっきの阿世潟峠でおにぎりを食べようと誰かが言うので、そこで遅いランチにすることにした。
登山口のときとはまるで違って、絶望的なわたし。おにぎりは1個だけ食べた。というのは、ホテルでの食事が楽しみだったから満腹にしないほうがいいと思ったから。みんな同じ考えのようだった。
ところで今回はスポーツドリンクとお茶をそれぞれペットボトルで持って行ったが、スポーツドリンクは甘過ぎていけない。持って行くならあれは2倍に薄めてちょうどいいと思った。お茶は心地がいい。今度からお茶だけにする。
さて、遅いランチを経て、下山。
下りはトレッキングポールの長さを長くした。下山は思いの外、早い。これだけしか登ってなかったのか、という気もしてくる。ただし、膝は笑う。ガックガク。
登山口まで下り、駐車場までまた歩く。平地と言っても3キロは意外に長い。しかも山登りした後だからする前とは体力の残量が違う。倦怠感が漂ってくる。
しかし、中禅寺湖は美しい。その水の色彩は宝石のようであり、宝石の鉱物が水に溶け込んだようである。
あまりの美しさにそこに飛び込んで死んでしまいたくなる。そうすればあの美しさの中に自身が溶け込めるかもしれない。
ヘトヘトになりながら、イタリア大使館別荘、そして英国大使館別荘を通り過ぎる。
そして、アスファルトになったときは気分的に楽になった。
駐車場が見え、愛車が視界に写ったときは心が解き放たれた。
解き放たれて、また少しアホ面に戻る。
「あれ? その服、モンベルで買ったんだよね?」
「そうだよ」
「それってもしかして!?」
「女子チーズのロゴ入りッスかー!!!」
当たり前よ。わたしは結美堂山ガール部の創設者かつ庶務でありながら、女子チーズの責任者でもある。これから女子チーズを全国的に広めたいって思ったんだから、モンベルでカスタムオーダーした。これくらいのこと、当たり前よ。
女子チーズは、結月サロンで開発・販売するチーズなんで、皆様どうぞよろしく!
これから山ガール部がもっとタフになったら、山ガール向けのチーズを開発してもおもしろいって思ってます。でも、まだ体力的にクソ過ぎて、説得力がまるでないので駄目ですけど。
女子チーズの公式サイトは、
そして、購入予約窓口は、
女子チーズは、定期的な予約受注販売です。お問い合わせは、サイトの問い合わせフォームからどうぞ。
ハーゲンダッツに生乳を卸している北海道の牧場で、ひとつひとつ手作りで作っています。北海道から産地直送ですよ!
さて、歌ヶ浜駐車場に戻り、靴を履き替えたりして男体山を改めて眺める。
必ず登れる人間になってみせる! そして、中禅寺湖。
愛車を走らせ、戦場ヶ原を抜け、ホテルにチェックインすると、温泉に浸かりました。これはもう最高だよ。
そして、ゴージャスなディナー。ここのホテルのディナーは品数が多くて最高。
このためにここまでやって来たという生ビールを一気飲み!
これはもうたまらん! お腹の底からハッピネスがこみ上げて、大爆発!
そこからハイボール飲んで、ワイン飲んで、日本酒飲んで、幸福の大絶頂! 山登りは挫折してハードだったけれど、それがあるからこそこの幸福がある!
というわけで、社山への挑戦は途中ギブアップという結果ながら、実に楽しい時間を過ごしたのでした。
そして、部員一同、和室でエアーサロンパスを吹きつけまくり、「とちテレ」を見ながら眠りについたのでした。
これからもっとトレーニングして、秋くらいにまたどこかの山に登りたいと思ってます。
男体山は年内には無理だってことがわかりました。
わたしたちがもっとたくましくなったら、山ガール部でイベントができたらいいねって考えてますから、お楽しみに!