着物警察なんて、いません!

結月でございます。

「着物警察」なんていうネット語があるみたいだけど、この記事の拡散でしょう?

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まあ、いかにも週刊誌っぽい書き方をしてる。それはメディアがどういうもので、どういうことを狙っているか、そしてそれをバズらせることを仕事にしているひとのやり方を考えたら、いかにも大げさに書いているってことはすぐわかりますよ。

こういうものを真に受けちゃいけません。

はっきり言うけど、この世に着物警察なんていませんよ。昔は「お直しおばさん」みたいなひとがいたとか聞くけど、今はいません。

だって、今や着物は非日常のものであって、日常的に着物を着こなすひとなんて壊滅的にいないし、たまに着物を着ているひとだってね、それが結構な年のひとでも、どこかの着付け教室で習ったっていう程度だから。

つまり、本当に幼少の頃から着物とともに育ったひとなんて今はいないんです。

だって、60代後半の団塊世代でさえ、着物を着られないんだから。戦後生まれの彼らはすでに洋服生活で、戦前世代の親が買い与えた嫁入り道具の着物も全然着ないままタンスの肥やしにして、リサイクル業者に売り飛ばしてますからね。

ということはね、他人の着物をとやかく言えるほどのひとなんていないってこと。

まあ、たまに着付け教室で言われたことを新興宗教みたいに信じ込んで、他人の着付けをどうこう言うひとはいるかもしれない。でもね、赤の他人に路上でいきなり声をかけて着物をどうこう言う根性のあるひととなるとさすがにいない。

常識的にいないんですよ。

コンサートの指定席でそこにバッグが置かれてあった。それを見て、

「すみません、そこ、わたしの席なんですけど」

って言うよね。でも、そんなことでさえ、ちょっと言いづらいでしょう? それが普通なんです、他人に声をかけるっていうのは。

だから、知らないひとの着付けにいきなり声をかけて注意するなんて、まあいませんよ。

それに着付け教室で習ったとしても、他人の着付けに文句言えるほど自分の着付けに自信を持ててるひとなんていないしね。

それはわたしもずっとたくさんのひとに着付けを教えてきてわかります。むしろもっと自信持てばいいのにって思うくらいで。

ですから、着物警察なんていう記事は、アクセス数を増やすための捏造記事っていうか、大げさ記事なんです。

この記事にね、「着物警察」のせいで和装離れが加速、なんて書いてるけど、ホント、いい加減なこと、言ってますよ。

そもそも着物警察がいたとしても、和装離れが加速するほど、着物なんて着ないじゃん、普通。

ですから、和装離れというのは、時代が変わったというだけ。着物が必要とされなくなっただけの話で、和装離れなんてもう何十年も前から進んでますよ。

とにかく、週刊誌らしい大げさな書き方をしているので、それくらいは見抜いてほしいですね。

それに万が一、他人の着付けにとやかく言うひとに遭遇したら無視しとけばいいだけで。もしくは、

「赤の他人のことを注意するなんて、あなたは失礼なひとです!」

と、啖呵を切ればいい。だって、事実そうなんだから。

そんな失礼なひと(本当は仮想)を恐れて、着物で外を歩く勇気がないとかね、そうひとは着物以前に、メンタルが弱いんです。

そんなメンタルでこの世を生きてけるの? だから、他人の目線ばかり気にして怯える性格を治しなさい!ってことなんじゃないかな。

でもね、着物は自由に好き勝手着ればいいかっていうと、そうでもないんですよ。

美しさというものがあるし、例えば結婚式に呼ばれた晴れの場でね、他人の手垢のついたリサイクル着物で、しかもクリーニングもしてないものを着て行くとか、それはマナーが悪い。そういうことに気をつけられないってところに問題がある。そこは気づくべきよね。

今は本当にひどい着物が多くて、観光地のレンタル着物なんて着物と呼べないくらいの品物だけれど、そのひどさに気づかない、そしてそんなものを平気でレンタルする業者、どっちもどっちで礼節がなくなっているとは思う。着物においての。

なので、着付けの上手い下手なんて二の次でいいんです。それよりもまず、きっちりとした着物を選んで着て欲しい。着付けなんて、後でちゃんと上手くなるから。

わたしも着付けをしていて思うもん。晴れの場に行くときに、こんなカビ臭い着物で行くの!?っていうシーン。どう見てもリサイクルの古着で色あせてるし、臭いし、タンスに何十年入ったままで丸洗いもされてなくて、プレスもしてないからヨレヨレだし。

着物をレトロと勘違いしている。着物は昔からあるものだけれど、レトロではない。レトロとなった時代に作られた着物をクリーニングもせずに着るものではない。それは洋服と同じ。だって、何十年もタンスで眠っていた洋服、洗いもしないですぐ着る? 着ないよね。防虫剤の臭いのするものなんて、普通着る? 着ないよね。

なのに、どうして着物なら平気で着ちゃうんだろう? それはレトロという意味の勘違い。

と、わたしも着物警察さながらに言いたいことってたくさんあるけど、道端で赤の他人には言わない。関係ないから、そういう他人のことは。

でも、自分の生徒ならアドバイスするかな。だって、その無知のせいで、わたしのところに来てくれているひとに恥かかせたくないし。

カビ臭い着物着て結婚式に出て、周囲はカビ臭いって言わないけど、本人がいないところでカビ臭かったよねってネタにされたら気の毒でしょう。

とまあ、着物は日常から離れすぎて、当たり前のことすら気づかなくなっているので、言いたいことはたくさんあるってひとはいて当然。

でも、着物警察なんてメディアが作り出したものにビビったり、存在しないようなものにSNSなんかで反発するのは馬鹿なんですよ。それは飛んでくるはずもないミサイルに怯えたり、文句いうのと同じでね。

とはいえ、事実としては京都の観光地のレンタル着物のひどさには、京都人たちは大迷惑しているかな。自分が旅行して楽しい!っていうことが、地元のひとに与えているダメージは考えた方がいいと思うね。

他者への想像力が大事なんだから、なんでも。

でも、他者の目線を気にして怯えて生きることは良くない。

 

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